『一生お金に困らない「華僑」の思考法則』を読んで

2014年01月14日

 大城太さんの『一生お金に困らない「華僑」の思考法則』を拝読いたしました。

 大城さんは複数の会社経営を行うかたわら、社団法人理事長やベンチャー企業への投資などもされているそうです。外資系保険会社、歯科用医療機器メーカーを経て独立する際に、大物華僑に師事したそうで、その教えがこの本の元になっています。

 大城さん自身や師事した大物華僑の経歴やプロフィールについての詳細ははっきりとは紹介されていません。また、華僑の教えがどのように成果に結びついたかについても具体的には明示されていないので、創作的に感じてしまう面もあります。教訓的な話は、それなりの方が話すから教訓になるからだと思います。

 それでもいくつか興味深い考え方もあったので、ご紹介します。

 いまの日本ではお願い営業は嫌われますが、華僑の考えはまったく違うものです。

 ビジネスは継続が前提ですので、たとえ利益が大きくても1回きりのやりとりにはあまり意味がありません。顧客とのキャッチボールを長く続けることが大切です。
 商品を売る場合も同じで、完全無欠な商品を売るよりも、あえて不完全な商品をお願いして買ってもらい、アフターフォローの機会を得るほうが賢いのです。
  
        『一生お金に困らない「華僑」の思考法則』 p56より引用


 お願い営業によってクレームが出たとしても、きちんと対応することによって、接触する機会を作っていくということです。中国製のものに問題が多いのはこれとは関係はないと思いますが・・・・・・

 日本の企業においては価値観を共有することに力を入れています。華僑はやや違うようです。
 
 価値観が同じ集団の欠点は、二の矢を持たないことです。皆それぞれ違う価値観を持つ集団であれば、トップのありがたい金言を鵜呑みにすることはありませんし、誰かが間違えてもすぐに二の矢、三の矢を放つことができます。
 ですから私は、片目をつぶってちょうどよいくらいの人材、価値観の違う人材を歓迎します。「社長とは違うやり方でやってみたい」と言われたら、「とりあえずやってみろ」と背中を押します。

       『一生お金に困らない「華僑」の思考法則』 p84-85より引用


 これは大切なことだと感じました。中小企業の場合、どの会社でもその社長らしい集団が出来てしまいますから、やや危険なことでもあります。あえて違う人材を入れることです。
 
 華僑のコミュニケーションに欠かせないものは食事会です。華僑は嫌いな人をあえて食事会に呼ぶそうです。

 呼ばざるを得ないから呼ぶのではなく、わざわざ自分から嫌いな人に声をかけるのです。
 嫌いな人を呼ぶために、その他大勢を呼ぶと言っても過言ではありません。大勢の中に紛れさせれば「嫌いな人度」が薄まりますからね。

        『一生お金に困らない「華僑」の思考法則』 p139より引用 
 
 
 なぜ嫌いな人を呼ぶのでしょうか。

 嫌いな人を遠ざけると、考え方も情報も偏る。偏りは判断ミスになる。だから嫌いな人ほどつき合う価値がある。
 嫌い=価値観が違うということは、自分にない考え方や、自分のもとへは集まってこない情報の宝庫であるとも言えます。
          
        『一生お金に困らない「華僑」の思考法則』 p140より引用


 これもおもしろいですね。

 私は華僑の考え方に興味があって読んでみました。

 軽く読める本です。ご興味のある方はご参考になさってください。
 
  


 参考文献:『一生お金に困らない「華僑」の思考法則』 大城太 (日本実業出版社)
 
 


  

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『世界一のおもてなし』を読んで

2013年12月20日

 宮崎辰さんのご著書『世界一のおもてなし』を拝読いたしました。

 宮崎さんは1976年東京都国分寺市生まれ、辻調理師専門学校を卒業後、最初に働いたレストランで「日本一のサービスマン」に出会い、サービスの道へ転向されたそうです。
 2010年にシャトーレストラン ジョエル・ロブションのメートルドテルとなり、同年、第14回メートル・ド・セルヴィス杯で優勝、2012月11月には「クープ・ジョルジュ・バティスト」サービス世界コンクール東京大会で優勝し、世界一のサービスマンとなられました。

 この本は宮崎さんの世界一になるまでの道のりや、サービス哲学を公開してくれるものです。

 宮崎さんが優勝された世界コンクールの競技種目は九種目もあるのだそうです。

 前菜、魚料理、肉料理、デザート、コーヒー、カクテル、オーダーテイク、ワイン・アルコールのテイスティング、テーブルセッティング


 これらの種目それぞれに制限時間があり、他国の審査員によって点数がつけられるそうです。しかも会話は英語またはフランス語と決められているそうです。

 日常生活からの不断の努力が宮崎さんを世界一に導きました。

 いつも、ビシッとしたスーツ姿で素晴らしいサービスをしてくれるサービスマンの、出勤途中の姿をたまたま見かけたとします。その服装が変な格好だったり、汚らしい格好だったら、どう思うでしょうか?オンとオフは違うとはいえ、やはり嫌な気持ちになるのではないでしょうか?
 最悪の場合、「あの素晴らしく見えたサービスも、あの楽しかったひとときも、実はハリボテに過ぎなかったんだ」と、魔法が解けたようになって、レストランから足が遠のいてしまうかもしれません。
 ですから、レストランでサービスする人間ならば、店の外でも、その店の顔であることを意識するべきです。サービスをする瞬間だけいい恰好をすればいいというものではありません。

             『世界一のおもてなし』 p43より引用
 

 お世話になっているサービスマンの方に街で偶然出会ったとき、あまりにも違う姿をされていたので誰だか分らなかった、という経験が私にもあります。

 私自身はサービスマンではありませんが、お客さまに奉仕する立場としては、ある一つのイメージで見て頂いているということです。

 服装だけの問題ではなく、生き方の問題でもあります。

 外すようなことはないと自分では思っていますが、自分で思っているだけかもしれません。気を緩めないようにしたいことです。
 
 世の中にはいろいろなコンクールがありますが、サービスの世界の話も興味深かったです。

 どうぞご参考になさってください。

  


 参考文献:『世界一のおもてなし』 宮崎辰 (中経出版)
 


  

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『「新しい働き方」ができる人の時代』を読んで

2013年12月04日

 セス・ゴーディンさんのご著書(神田昌典さん監訳)『「新しい働き方」ができる人の時代』を拝読いたしました。

 セス・ゴーディンさんは、Yahoo!の元副社長で、『パーミッションマーケティング』などマーケティング関係のたくさんの著作を出されている有名な作家です。神田昌典さんはマーケティングで有名な作家、コンサルタントですね。
 
 ある勉強会で講師を担当された大学の先生が紹介されていたので読んでみることにしました。

 題名にある「新しい働き方」とは「アーティストのように、才能を全開にして働くこと」(p29)です。

 アーティストとは「豊かな発想をもち、既存の枠にとらわれず、自由に、新しい価値を生み出していける人」すべてを指す(p30)そうです。

 アーティストは組織のかなめとなって人々に刺激を与え、人に与えることを実践します。(p179)

 「利他的に振る舞えるのは、すでに成功して、あり余るほどもっている人だけでは?」と思うのは間違いです。逆説的ですが、実は世界でもっとも成功しているのは、お金を目的にしていない人たちなのです。

         『「新しい働き方」ができる人の時代』 p179より引用 
    
  
 一流の客室乗務員は、お金や見返りを求めてお客さまの接待をしているのではありません。

 ブリティッシュ・エアウェイズのファーストクラスの客室乗務員は、疲れきった横柄な金持ちを相手に、何時間もサービスをしなければなりません。こういった顧客たちは自分で頼んだサービスを、あとから平気で突っぱねることも多いのです。
 私が乗務員たちから直接聞いた話では、そのような職場でやっていくコツは、サービスをするのが客のためでも会社のためでもなく、自分のためだと思うことだそうです。

         『「新しい働き方」ができる人の時代』 p180より引用


 「この仕事を通じて自分は成長できる!」「人のお役に立てる!」という信念があればこそ、つらい仕事にも充実感が生まれ、楽しみも出てくるのでしょう。

 この本は神田昌典さんのご著書ではありませんが、神田さんが監訳を担当されています。
 
 いまから十数年前は神田さんの本が出版されるたびにむさぼるように読んでいました。最近は神田さんの関係する本をまったく読んでいません。

 読んだ後の結果ですが、この本は、私は読まなくてもよかったです。

 かつて神田さんの本を読んだことは、自分の成長のために通らなくてはならなかった道だったのだ、と考えています。(成長するにも段階がありますものね。)

 ご興味のある方は読んでみてください。

  


 参考文献:『「新しい働き方」ができる人の時代』 セス・ゴーディン(著) 神田昌典(監訳) (三笠書房)
 
  

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『ビブリオバトル』を読んで

2013年11月12日

 谷口忠大さんのご著書『ビブリオバトル』を拝読いたしました。

 谷口さんは1978年京都市生まれ、京都大学大学院工学研究科精密工学専攻博士課程を修了され、現在は立命館大学情報理工学部知能情報学科准教授を務めておられます。この本の題名になっている「ビブリオバトル」の考案者です。
 
 ビブリオバトルとは、自分の推薦する本をプレゼンして、聴衆の投票によって一番読みたいと思う本を選んでもらう知的書評合戦です。

 ビブリオバトル普及委員会による公式ルールは次のようなものです。

 1.発表参加者が読んで面白いと思った本を持って集まる。
 2.順番に一人5分間で本を紹介する。
 3.それぞれの発表の後に参加者全員でその発表に関するディスカッションを2~3分間行う。
 4.全ての発表が終了した後に「どの本が一番読みたくなったか?」を基準とした投票を参加者全員一票で行い、最多票を集めたものを『チャンプ本』とする。

         『ビブリオバトル』 p16より引用


 この本では『ビブリオバトル』の実際の方法が紹介されています。難しくないので、読書好きの仲間が集まればすぐにできそうですよ。

 マンガ本も選書してよいそうですし、分野を決めて選書してもらうこともあるそうです。

 投票の際に、本を選ぶのか?プレゼンを選ぶのか?ということについては次のような説明がありました。

 ビブリオバトルの相互投票において、基準は「どの本が一番読みたくなったか?」であるが、その評価対象は「本そのもの」なのか「プレゼン内容」なのかという質問だ。
 答えは「両方」である。公式ルールで投票基準として掲げられている「どの本が一番読みたくなったか?」というフレーズは本そのものの良さも、プレゼンの良さも両方を求めているフレーズなのだ。本の意味や価値は読まれて解釈されて初めて生まれるものであるし、また、その両方が良いことがビブリオバトルの場を参加者にとってより良いものにするからだ。

               『ビブリオバトル』 p94より引用


 ゲームのように読書会ができるのは面白いですね。私が主宰している読書会でもビブリオバトルをやってみたいなあと思いました。

 みなさまもどうぞご参考になさってください。
 
  



 参考文献:『ビブリオバトル』
 

  

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『何のために働くのか 自分を創る生き方』を読んで

2013年08月22日

 寺島実郎さんのご著書『何のために働くのか 自分を創る生き方』を拝読いたしました。

 寺島さんは日本総合研究所理事長、多摩大学学長、三井物産戦略研究所会長を務められています。マスコミにもたびたび出演されていて有名な方ですね。私は寺島さんの御本も何冊か拝読いたしましたし、ご講演も拝聴したことがありますが、切り口が斬新で、論理が明快です。
 
 この本はご自身の経歴を披露しながら、生き方、働き方を教えてくれるものです。冒頭、ヨイトマケの唄から話は始まります。

 寺島さんが三井物産のご出身ということは存じ上げていたのですが、調査や研究畑と聞いていたので、商社でそういう分野で出世していく道もあるのかな、とずっと疑問に感じていました。この本を読んで謎が解けました。

 三井物産130年の歴史で寺島さんのような経歴をもつ社員はいないということです(p97)。

 三井物産のユニークな点は「出すぎる杭は打たれない」ということだ。「出る杭は打たれる」かもしれないが、私の場合、経営幹部から同僚まで配慮し、力づけてくれる環境があったことは事実だ。
 たとえば、新入社員のときから「自分は自分だ」という風情で態度が大きく、夜九時以降の”夜のつき合い”にも参加したことがない。そんな商社マンは、めったにいないだろう。「あなたたちとは酒なんか飲まない」と言っているようなものだから、同僚や先輩は最初は「イヤな野郎だ」と思っていたかもしれない。

        『何のために働くのか 自分を創る生き方』 p94より引用


 寺島さんの詳しい経歴に興味がある方は、本書の「第三章 わが人生を振り返って」をご参考になさってください。

 働くことの意味について寺島さんは次のように述べています。

 「カセギ」だけを目的に働いていては、我々はいつまでも「賢いサル」にはなれないであろう。「ツトメ」を果たし、社会を少しでもよりよいものに変えていこうと努力することではじめて、我々は「賢いサル」になれる。そんな結論が見えてくる。

 (中略)

 働くことを通して、世の中や時代に働きかけ、歴史の進歩に加わること。
 少々大げさかもしれないが、それが働くこと、生きることの意味ではないだろうか。むろん個人がいくらがんばってみたところで、世の中はそう簡単に変わらないかもしれない。だが、そのような思いを心に抱いて生きることが大事なのだ。

    『何のために働くのか 自分を創る生き方』 p47-p48より引用


 カネ、カネ、の人生が空しいものになることはもはや自明の理です。

 売上げや利益を追うのではなく、寺島さんの述べているように「社会を少しでもよりよく変えていこうと努力すること」、社会に少しでも役に立とう、社会に価値を提供していこうとする態度が、人生を変えていきます。

 原子力の利用については次のような見識を示されています。

 また、原子力の議論は常に軍事利用の核と民生利用の原発が裏表となってからみついていることを認識する必要がある。その意味においてアメリカの「核抑止力」に依存しながら「脱原発」を目指す、というのも実はおかしな話である。日米安保を解消してでもアメリカの「核の傘」の外に出て「脱原発」に踏み切るというのなら、賛成はしないが論理的には一貫しており傾聴に値する。

   『何のために働くのか 自分を創る生き方』 p162より引用


 テレビなどに登場されるときには、柔らかな物言いしかできないと思いますが、本の中ではご自身の考え方をはっきり主張されています。

 私は寺島さんの考え方を参考にさせていただいています。寺島さんをテレビでしか見たことがない方は、一度ご本をお読みになってくださいませ。
       
  


 参考文献:『何のために働くのか 自分を創る生き方』 寺島実郎 (文春新書)
 

 寺島実郎さんのご著書を読んで書いたブログ

 『世界を知る力』を読んで
 http://highlyeffective.naganoblog.jp/e414196.html

 『世界を知る力 日本創生編』を読んで
 http://highlyeffective.naganoblog.jp/e815083.html

 強い日本?
 http://highlyeffective.naganoblog.jp/e815601.html

 太平洋側と日本海側のリンク
 http://highlyeffective.naganoblog.jp/e817323.html
 
  

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『40歳を過ぎたら、三日坊主でいい。』を読んで

2013年07月23日

 成毛眞さんのご著書『40歳を過ぎたら、三日坊主でいい。』を拝読いたしました。

 成毛さんは1955年北海道生まれ、中央大学商学部卒業後、アスキーに入社、のちにマイクロソフトに転じて、代表取締役社長を務められました。2000年、インスパイアを設立し、、代表取締役社長に就任、現在は取締役ファウンダーに、また、おすすめ本の紹介サイト「HONZ」の代表も兼任されています。

 以前、成毛さんのご著書『マーケティング辻説法』がビジネス読書会の課題図書になったことがあり、このブログでもご紹介しました。

 『成毛眞のマーケティング辻説法』を読んで
 http://highlyeffective.naganoblog.jp/e1078029.html

 道中すべてをマーケティングせよ
 http://highlyeffective.naganoblog.jp/e1081577.html

 「最低レベル」を切る
 http://highlyeffective.naganoblog.jp/e1082189.html
 
 8月の読書会(平成24年)
 http://highlyeffective.naganoblog.jp/e1084078.html

 この本は40才代以上の会社員の方に向けて、脱力した生き方を進めるものです。マイクロソフトの社長まで務めた方が後進に対して脱力系の生き方を進めるのは意外です。
 経営者に向けてではなくてあくまでも会社員に向けて書かれています。

 いま、四十代以上のビジネスマンが考えるべきは、いかに会社で息を潜め、”外の世界を切り拓くか”である。ストレスがかからない仕事を選び、健康な身体を保ちながら、趣味やサイドビジネスに全力を注ぐ。クマムシは仰向けになるとなかなか起き上がれないので、転ばないように注意しなければならない。

      『40歳を過ぎたら、三日坊主でいい。』 はじめに p3より引用

 
 成毛さんはマイクロソフトの中で出世をして社長にまで上り詰めた方ですが、そのイメージとは違って、仕事に打ち込むというタイプの方ではなかったのです。
 
 私は人生とは道楽だと思っているし、とことん楽しむために生まれてきたのだと思っている。仕事もその道楽の一つであり、生きがいや自己実現を考えたことなど一度もない。

           『40歳を過ぎたら、三日坊主でいい。』 p37より引用
      
 
 オーナー系社長ではなく、雇われた社長としての考え方です。

 私は四十五歳のときに、マイクロソフトの社長という肩書をすっぱりと捨てた。
 IT業界の成長が頭打ちになるのはわかっていたし、仕事にもそろそろ飽きていた。そのままマイクロソフトに居続けたところで、アメリカ本社に栄転というゴールしかなかった。私にとってそのゴールはとくに魅力的ではなかったので、「すごろく」でゴールにたどり着く前に、さっさとゲームを降りてしまったようなものだ。

           『40歳を過ぎたら、三日坊主でいい。』 p57より引用


 私のような零細企業の社長と並べるのは大変失礼ではありますが、私には「飽きたから降りる」という考え方はあり得ないので違和感があるところです。

 成毛さんはミドルエイジの「七つの武器」というものを紹介されています。本来ミドルエイジにとって弱みになるはずの七つの特徴を逆に武器にしてしまうのです。このあたりはとても実際的ですのでおもしろかったです。私にも使えそうなものがありました。

 ミドルエイジの武器①未来がない
 ミドルエイジの武器②ハングリーではない
 ミドルエイジの武器③冒険心がない
 ミドルエイジの武器④体力がない
 ミドルエイジの武器⑤記憶力が弱い
 ミドルエイジの武器⑥感性がにぶい
 ミドルエイジの武器⑦ずるい


 成毛さんはいろいろなこと知っておられますし、本も相当読んでおられるようですので、読み物としては大変興味深いです。
 
 ただ、やや「上から目線」であることと、ビジネスでも大成功された方だからこそ、後から「脱力」といっているのかな、という感がないでもありません。開き直っているような感じも受けました。

 仕事以外に何か太いものをもつことには賛成ですが、一般の会社員全員がこの生き方ができるわけでもないですし、そうなってしまったら日本のビジネスの将来は心配です・・・・・・

 ビジネス関連はまじめな本が多いですから、こういう視点が違う本もいいですね。ご参考になさってください。

  


 参考文献:『40歳を過ぎたら、三日坊主でいい。』 成毛眞 (PHP研究所)
 

  

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『タイムデザイン』を読んで

2013年07月18日

 泉正人さんのご著書『タイムデザイン』を拝読いたしました。

 泉正人さんはファイナンシャルアカデミー代表、一般社団法人金融学習協会理事長、神戸夙川学院大学客員教授を務めておられます。

 ある書評で紹介されていたので、時間について今まで知らなかった新しい視点がもてればいいな、と思い購入しました。

 「はじめに」を読み始めたら「読書慣れしている人であれば1時間もかからず読めるこの本は、・・・・・・」(p11)という文章が目に入りました。
 この部分を読んだだけで、私の求めているものは望めないかもしれない、と悪い予感がしました。

 本当に一時間以内で読めましたが、案の定、・・・・・・でした。

 有名な本や偉人の言葉からの引用が多い本です。

 泉さんは「人生の減価償却」という考え方を紹介されています。

 新築で買った寿命50年のマンションは、一般的に年々価値が下がっていき(つまり減価償却していき)、50年後に価値がゼロになると考えられます。
 
 それを私達人間に置き換えてみると、人生80年という寿命が決められているとすれば、時間的視点でみると年々減価償却していると考えられます。

                  『タイムデザイン』 p053より引用


 生まれたときに80年生きるという時間価値が決まっていたとしたら、80年という時間価値はゼロに向かって毎年1年ずつ減価償却されていることになります。 
 
 残酷ですがこれが現実です。

 時間は数字ですから着々と償却されてしまいますが、人生の進行については抗うことができるでしょう。豊かにするのも貧弱にするのも自分です。自分自身に新たな投資をしていけばいいのです。

 時間管理の本を読んだことのない人はご参考になさってください。

   


 参考文献:『タイムデザイン』 泉正人 (フォレスト出版)
 

 時間管理について私がおすすめする三冊です。

 『経営者の条件』 P.F.ドラッカー(著) 上田惇生(訳) (ダイヤモンド社)
 

 『7つの習慣』スティーブン・R・コヴィー(キングベアー出版)
 

 『TQ 心の安らぎを得る究極のタイムマネジメント』 ハイラム・W・スミス(著) (ソフトバンク文庫)
 

  

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『100のスキルよりたった一つの考え方で仕事が変わる』を読んで

2013年07月17日

 高橋政史さんの『100のスキルよりたった一つの考え方で仕事が変わる』を拝読しました。
 
 高橋さんは1967年高崎市生まれで、現在、クリエイティブマネジメント株式会社の代表取締役を務めておられます。

 いままで読んだ高橋さんの本がおもしろかったので、その流れと期待から読むことにしました。

 『すべての仕事を紙1枚にまとめてしまう整理術』を読んで
 http://highlyeffective.naganoblog.jp/e762540.html

 『必要な知識を15分でインプットできる速読術』を読んで
 http://highlyeffective.naganoblog.jp/e976406.html

 題名にある「たった一つの考え方」とは「フォーカスする」ということです。
 明かしてしまえばあっけないものですが、この本はどのようにしてフォーカスすればいいのかを実践的に教えてくれるものです。
 総合的にみて私にとっては、前の本に比べるとあまり刺激はありませんでした。
 
 高橋さんは「時間の器」という考え方を紹介されています。

 「時間の器」とは、自分が決めた時間でことを成し遂げるというものです。3分と決めれば3分ですし、1カ月と決めれば1カ月になるのです。

 時間単位について説明するときに、私は「ご飯茶碗1/2の法則」の話をします。ダイエットをするには、摂取カロリーを減らせばいいわけです。でも理屈ではわかっていてもなかなかできません。一番カンタンな方法は、ご飯茶碗のサイズを1/2にすることです。
 「仕事=ご飯」、「時間=ご飯茶碗」とすると、仕事の作業時間を1/2にしたければ、「時間の器」を変えること。
 つまり、まずはじめに仕事を盛る時間の器を決めるところから仕事をはじめるようにしてみてください。

      『すべての仕事を紙1枚にまとめてしまう整理術』 p119より引用


 このやり方はいいですね。

 私は今年もたくさんの仕事を並行して頂いて、心のなかはいつも相当焦っていましたが、結果的には時間がなければないほど出来てしまいました。

 結局のところ、自分なら1時間でできるはずのところを、根拠もなく3時間だろうと見積もって自分の頭の中で焦っていただけなのだと思います。

 読書にかける時間も同じことです。この本は1時間で読むとか、あさま号で東京駅に着くまでに読むとか決めると、スリリングで楽しく読めます。特に新幹線の中で読むときは大宮あたりになると焦ってきて読むスピードがどんどん速くなっていきます。それでも内容の理解が悪くなるということもありません。

 ブログも30分で書くと決めて書き始めると、本当に30分で書けてしまいます。

 なんでもやればできるものです。

 自分は全然仕事をしないのに他人に仕事を回してばかりいる人に遭遇して少々困ったことがありました。時間を決めないで仕事をしているのでしょう、漫然と仕事をしていました。

 何かを成し遂げるなら多少の負荷をかけることが必要ですね。
 
 みなさまもご参考になさってください。 

   


 参考文献:『100のスキルよりたった一つの考え方で仕事が変わる』 高橋政史 (クロスメディア・パブリッシング)
 


  

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『3年で7億稼いだ僕がメールを返信しない理由』を読んで

2013年07月10日

 小玉歩さんのご著書『3年で7億稼いだ僕がメールを返信しない理由』を拝読いたしました。

 小玉さんは1981年生まれ、2003年新潟大学卒業後、キャノンマーケティングジャパン株式会社に入社されました。就職後、趣味で活動していたストリートライブが音楽関係者の目に留まり、会社員のままメジャーデビューされたそうです。社内では優秀写真として表彰されましたが、副業の収入が1億円を超えたことが会社にばれて、2011年に解雇されたそうです。現在はFrontline Marketing Japan株式会社の代表取締役を務めておられます。

 帯には「人間関係は増やさず、むしろ切り捨てる。それだけで、人生が劇的に変化する!」と書いてあります。

 なんとなく内容が想像できる感じがしましたが、好奇心が私をくすぐったので、購入して読んでしまいました。

 第1章には「人生を奪う不要な人間関係を切る19のリスト」が紹介されています。

 01 「いい人」になるな
 02 空気は、あえて読まない
 03 陰口はむしろ喜べ
 04 急な「頼まれ仕事」は断る
 05 早朝出勤、残業はやめろ
 06 退社するときには挨拶しない
 07 会社から一歩出たら、仕事のことは忘れろ
 08 愛想笑いとヨイショはするな
 09 好きな人と行く以外、お酒の席は意味がない
 10 部署単位でランチにいくな
 11 メールの返信はしない
 12 転勤命令はなるべく断れ
 13 交流会・パーティーにはいくな
 14 知り合いを増やすな
 15 いらない関係は金を払ってでも切れ
 16 つきあいの結婚披露宴は欠席で
 17 「会社員」という枠に縛られるな
 18 進んで和を乱す人間になれ
 19 行き当たりバッタリの生き方をしろ


 こんな感じですので、おおよその内容の予想はつくかと思います。

 同じようなことがいろいろな角度から書かれれています。こんなことを長々と書くことでもないだろうにと思うと、読んでいるうちに疲労感を覚えました。

 経歴を拝見すると、組織に所属するよりも、飛び出るべく飛び出た方だと思いますが、組織の全員がこの考え方では組織が崩壊しますし、独立して企業の社長として活躍するとしても、この態度ではいかがなものかと思います。
 
 私は社内の社交辞令的なことは嫌いで、社員にお酌もさせませんし、年賀状も送らせませんが、それでもこの本とはまったく逆の考え方です。

 若い人が人生訓のようなことを書いて、どういう意味があるのかと考えてしまいます。こういうことを書けることが一つの強みなのでしょうか。そこにすがすがしさはあります。

 読まれる方は本当に良いと思ったことだけを参考にしてください。あおられないようにした方がいいと思います。

   


 参考文献:『3年で7億稼いだ僕がメールを返信しない理由』 小玉歩 (幻冬舎)
 
  

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『負け方の極意』を読んで

2013年06月18日

 野村克也さんのご著書『負け方の極意』を拝読いたしました。

 野村さんは1935年京都府生まれ、プロ野球選手として南海ホークスで三冠王に輝き、1970年には捕手兼任監督に就任、引退後はヤクルトスワローズ、阪神タイガース、東北楽天イーグルスの監督、社会人野球シダックスのゼネラルマネージャー兼監督などを務められました。野村さんを知らない人はいませんよね。

 「負け方について書いてください」という出版社からの要請を受けて、書いたのがこの本です。

 その話を聞いたとき野村さんは腹が立ったそうです。

 だがー。
 考えてみると、私の人生はある意味、負け続けであった。何をするにしても、すべて負けからスタートしている。最初からうまくいくことなど一度もなかった。うまくいくように思えたときでも、必ず壁にぶつかり、跳ね返された。

                 『負け方の極意』 p2より引用

 
 野村さんを成長させたのは、失敗や負けであり、失敗や負けを経験したからこそいまの野村さんがあることに気が付いたそうです。

 「よい負け方について、すなわち、明日勝つために今日の負けといかに向き合い、糧とするかということなら、書けるのではないか。いや、私以上の適任者はいないのではないか・・・・・・」

                 『負け方の極意』 p3より引用


 この本には野村さんがどのように負けてきたかが隠すことなく紹介されています。
 
 インコースのボールをスタンドに運ばれたキャッチャーに監督が「どうしてインコースに投げさせた?」と聞いたとします。

 「自分はアウトコースを要求したけれど、ピッチャーがコントロールミスをしてインコースに入ってしまったんです」
 たとえそれが事実であっても、打たれたのをピッチャーのせいにするキャッチャーは、チームメイトの信頼を得られないし、なによりそれ以上成長しない。
 ピッチャーにアウトコースに正確に投げるだけのコントロールがないのなら、別のボールで勝負すればいいだけの話である。それくらいの工夫をしようとしないキャッチャーが、どうしてそれ以上成長できようか。

                  『負け方の極意』 p178より引用


 経営者についても同じようなことがいえるそうです。すぐれた経営者に共通する資質について野村さんは次のように述べています。


 「ローカス・オブ・コントロール(LOC)が自分の内側にあること」

 すなわち、「行動を統制する意識が自己にあるのか、他者にあるのか」という意味だが、言い換えれば、「仮に事業に失敗したとき、その原因と責任を外部ではなく、自分に求めることができるか」ということである。
 「自分の選択した方法以外に、うまく対処できた可能性はあった。にもかかわらず、自分はその選択肢を取らなかった。だから、失敗の責任は自分にある」
 すぐれた経営者は、例外なくそのように思考できるのだという。

                 『負け方の極意』 p180より引用 


 私は、南海ホークスでの野村さんの活躍を覚えています。素晴らしい成績を残されているのに、巨人軍の王さんや長嶋さんに比べると、地味な印象でした。

 厳しい境遇のなかで地道に積み重ねてきたのだ、ということを改めて感じました。

 野村さんの監督としての判断や他の選手などとのかかわり合いもいろいろ紹介されています。どうぞご参考になさってください。

  


 参考文献:『負け方の極意』 野村克也 (講談社)
 
  

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『営業マンは断ることを覚えなさい』を読んで

2013年05月23日

 石原明さんの『営業マンは断ることを覚えなさい』を拝読いたしました。

 石原さんはヤマハ発動機を経て、1985年外資系教育会社代理店に入社、約6万人のセールスマンの中でトップクラスの成績を収め、「セールスマネージャー世界大賞」を受賞されました。1995年、日本経営教育研究所を設立し、経営コンサルタントとして独立され、以来講演活動、執筆、企業の顧問、幹部教育などでご活躍されているそうです。

 この本は2003年に明日香出版社より刊行された単行本を加筆のうえ、再編集したものです。話題になった本ですので、題名を聞いたことがある人は多いでしょう。5月29日の第29回ビジネス読書会の課題図書です。

 前半は営業を担当する人の具体的なの営業方法について書かれており、後半は企業としての営業、マーケティングの仕組みのつくり方について解説されています。

 読み始めると、実際の営業の現場における話の進め方やテクニックばかりが説明されており、方法ばかりに走っていることに疑問を感じました。人間性という基礎の大切な部分を飛ばしてしまって、この方法だけを使ったら、非常に危ないのではないかと思ったからです。

 しかし、後半部分は企業としてのマーケティングの仕組みづくりについて、非常に論理的に解説されていて納得でき、興味深く読むことができました。今頃読んで叱られそうですが、前後の構成を逆にするか、前後で別冊に分けたほうがいいのではないだろうか、と思いました。

 営業の担当者は売上げ至上主義になりがちです。私は経営者として全体を見ています。売り上げはむやみにつくればいいものではないという考え方です。
 
 昔私がいた営業の現場では、相手がどういう状態であろうと関係がなく「とにかくがんばって売ってこい」という感じでした。

 売れそうにない相手に無理に営業をしてはいけない理由について石原さんは次のように述べています。

 売るのが大変だから・・・・・・ということも確かにそうですが、本当の理由は売りやすい人に一年を通じてセールスした時と、売りにくい人に一年間セールスを繰り返した場合の生産性と、その後得られる紹介者の人数(紹介率)や、紹介されたお客様の成約率、お客様の質などを考えた時に、その差が大変な結果として現れるからなんです。

          『営業マンは断ることを覚えなさい』 p147より引用


 
 従来のマーケティングは、集客、販売、顧客化、の3ステップでしたが、石原さんの「売れる仕組み」は、集客、見込み客フォロー、販売、顧客化、の4ステップです。
 今ではよく知られた手法ですが、改めて読んでみて頭がよく整理されました。

 気合で営業をする時代はとっくに終わりました。気合で営業をする人が来たら怪しいと思ったほうがいいですね。

 営業に関わっている方はご一読くださいませ。 

  


 参考文献:『営業マンは断ることを覚えなさい』 石原明 (三笠書房 知的生き方文庫)
 
  

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『すごい説得力』を読んで

2013年04月11日

 太田龍樹さんのご著書『すごい説得力』を拝読いたしました。

 太田さんはソニ―生命のライフプランナーで、NPO法人ザ・エンターテインメント・ディベートBURNING MINDのファウンダーで理事を務められています。

 この本は、人を説得するために論理的に考え、分かりやすく伝える話し方を教えてくれるものです。

 話し方のテクニックはもうすでにだいぶ世の中に敷衍していますね。テクニックに頼り切った話し方をする人をときどき見かけますが、少しおかしい感じがします。

 話し方のテクニックについてはこの本をご参考になさってください。

 太田さんは説得において一番大事なものは「誰が話しているか」だといいます。
 
 この本の終章は『最後は、この「人間力」がモノをいう!』という題名で人間的魅力の必要性が述べられています。

 人に強く訴えかけるためには、あなた自身の人間的魅力をオーラとして身にまとって、信頼感や安心感を人に与えていくプロセスが大事なのです。

                   『すごい説得力』p216より引用 

 
 人間的魅力とはなんでしょうか。太田さんは次の10の要素を挙げています。

 ①知性がある
 ②性格が明るい
 ③力強い
 ④人付き合いがいい
 ⑤ユーモアがある
 ⑥色気がある
 ⑦誠実で、素直
 ⑧謙虚
 ⑨経験値が高い
 ⑩オーラがある


 私には足りないものだらけですが、色気というのは特になさそうです。

 色気を簡単に身につける方法として、香水が有効だそうです。香水で色気が出るなら意外とあっけないですね。
 ただ、ここにおいても、表面的な形ばかりにこだわることで、品が悪くなってはいけません。


 「色気」は、身なりだけでなく、仕事や趣味、遊びを通じて、多くのことを学び、経験して、人間的な深みが増すことで出てくるのはいうまでもありません。

           『すごい説得力』p221より引用


 素直に柔らかく受け止めることができるかどうかが、人生の基本的な問題だと思います。

 がちがちに固まった思考の人は、人間性を高めるのも、人を説得するのも、なかなか大変ですね。表面をいくら繕っても本性が透けて見えてきてしまいます。
 いろいろな方とお付き合いさせて頂いて感じることです。

  


 参考文献:『すごい説得力』 太田龍樹 (三笠書房)
 

  

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『一流の男の勝てる服 二流の男の負ける服』を読んで

2013年03月28日

 政近準子さんのご著書『一流の男の勝てる服 二流の男の負ける服』を拝読いたしました。
 
 政近さんは1965年広島県生まれ、大手アパレル企業でデザイナーとして勤務した後、25歳でイタリアへ移住、帰国後、2001年に日本で初めて個人向けスタイリングサービスを提供する「ファッションレスキュー」を創業されました。現在は同社の社長、パーソナルスタイリストプロ養成学校・PSJ学院の学院長を務められています。政治家、タレント、経営者など幅広い層のスタイリングを手がけ、顧客は1万人以上おられるそうです。

 この本には男性が洋服をビジネスの武器にするための着こなしについて基本的なことが書かれています。

 「何を着ていこうか、いつも考えている」という友人の女性経営者がいます。
 
 彼女の話を聞いたとき、自分もそういうことを考えるようにならないと、よい発想なんか浮かびっこないよね・・・と思いました。自分は洋服でワクワクすることがあまりないのです。洋服なんてなんでもいい、と思い始めたら、かなりまずい状態ですね。

 この時期、私はほとんど毎日スーツですが、ファッションにはとても疎いのです。ときどき姿見を見て「ありゃー」と思うこともあります。

 そういうことで、東京駅エキュートのHINT INDEX BOOKでこの本を見かけたとき、衝動的に買ってしまいました。

 印象に残った文章をご紹介します。

 服への妥協は、毎日に張りがない証拠です。まあこれでいいか、という服を着ていても、決して自分を上げられることはありません。
  
      『一流の男の勝てる服 二流の男の負ける服』p31より引用
     

 服への妥協・・・・・・ドキッとしました。
 
 自己満足ではなく他人のために装える人は「憧れ」の存在となり、人々を幸せにすることができます。
 
      『一流の男の勝てる服 二流の男の負ける服』p38より引用


 自分が楽しいからというのではなく、他人のために洋服を着るという発想に驚きました。自分の着る服が人を幸せにする・・・・・・リーダーや公の立場にある人はそれも責任のうちかもしれない、と感じました。

 では、私はどうすればいいのか、というところまでは書いてありませんので、誰かにアドバイスをもらうしかありません。

 休日に妙に似合わない格好をしている男性をちらほら見かけますが、奥様の考える理想の姿なのでしょうかね・・・・・・

 政近さんのようにパーソナルスタイリストというご職業もあるわけですから、センスの良い人のアドバイスは必要ですね。

 なんだか洋服にもお金がかかって大変だなあ、とも思ってしまいました。

 洋服に興味のない男性のみなさまはぜひご参考になさってくださいね

  


 参考文献:『一流の男の勝てる服 二流の男の負ける服』 政近準子 (かんき出版)
 

  

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『絶対達成マインドのつくり方』を読んで

2013年02月13日

 横山信弘さんの『絶対達成マインドのつくり方』を拝読いたしました。

 横山さんは1969年名古屋市生まれ、独立系ITベンダー、日立製作所の勤務を経て、現在はアタックス・セールス・アソシエイツの代表取締役社長を務めておられます。中央アメリカのグアテマラで3年間青年海外協力隊としての活動をされていたこともあるそうです。

 この本は思考を「当たり前化」することで「どんなことでもできる」という自信をつける科学的方法を伝授してくれるものです。

 比較的早く読める本ですが、内容は深いですので、この方法を本当に身につけようと思うのなら、繰り返し読む必要があると思います。

 Part1に紹介されていた話です。
 「朝10時にお客様を訪問する」という予定があれば、その時間に間に合うように、朝起きて、準備をして、会社に行って、電車に乗って、・・・・・・と当たり前に行動できます。

 これは「当たり前」になっているからこそ「時間が未来から流れてくる」わけで、ストレスなく目標を達成できるのです。
 
 「お客様を訪問する」という単純な目標でなくて、もっと大きく複雑な目標でも「当たり前」になっていれば達成は可能になるでしょう。

 確かにそういわれてみればそうですね。

 この本では、ペーシング、ラポール、リーディングという方法が繰り返し紹介されています。

 詳しくは本書に譲りますが、この作業は対人関係だけでなく、自分自身に対しても応用できるということです。
 
 自分に対してあまりにもリーディングが強すぎる場合、例えば営業の目標などで自分を追い込みすぎると、体がネガティブな反応を起こしてしまうそうです。
 この場合は自分とのラポールを構築するために、自分とのペーシングをする必要があるそうです。
 結局のところ、人間は自分自身のこともあまり分かっていないのです。このあたりのことは、p72を読んでみてください。

 落ち込んでしまったら精神論だけでなくて、この本のような心理学的な要素を論理的に検討してみるのもよいでしょう。

 私としては知らず知らずのうちに自然にやってきたことかな、と思います。

 自分に自信がもてない方は読んでみてください。

  


 参考文献:『絶対達成マインドのつくり方』 横山信弘 (ダイヤモンド社)
 


  

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『ハーバード流宴会術』を読んで

2013年01月31日

 児玉教仁さんのご著書『ハーバード流宴会術』を拝読いたしました。

 児玉さんは1972年静岡県生まれ、1997年三菱商事に入社され、鉄鋼商社マンとしてご活躍されました。2004年ハーバード経営大学院に入学され、同校で学んだリーダーシップ論、ビジネス論を宴会術に応用するようになったのだそうです。2011年三菱商事を退社され、企業に人材育成プログラムを提供するグローバルアストロラインズ株式会社を立ち上げたそうです。

 ハーバードビジネススクールの教えが宴会術になるの!と驚いてしまいます。表紙の児玉さんの肩書にはThe Chief Entertainment Officer(CEOをふざけたわけですね)と書いてありますので、冗談の本なのかと思いながら読み始めました。

 少し冗談もありましたが、ほとんどの部分は真面目な宴会術や国際ビジネスマナーの話でした。(もしこの本が冗談本だとしたら、そう読めなかった私は相当な堅物ということになります。)

 宴会で気を付けるべき48の注意が紹介されています。

 児玉さんは宴会での自己紹介は手を抜いてはいけないといいます。

 宴会での自己紹介のポイントは、2つ。キラリと光る強みを見せること、意図的に隙を見せることです。
  
          『ハーバード流宴会術』p127より引用  

 
 キラリと光る強みとは、たとえばフルマラソンを4時間で走れる人は、マラソンの紹介だけで終わってはいけないのだそうです。

 「フルマラソンを4時間切れます」と自慢したら、「へえー」で終わるネタも、「仕事が超忙しくてもプライベートの時間は死守するタイプです」「走る前後に欠かさないストレッチのほうが上達して『ストレッチの魔法使い』と呼ばれています」など、工夫によっていくらでも相手が食いつかざるを得ない極上のネタに仕上がります。

          『ハーバード流宴会術』p128より引用 


 特徴的な自己紹介をした人はなかなか忘れませんね。私は自己紹介は控えめにしてしまうタイプですので、こうやってぐいぐいと自己主張していくのも大切だな、と思いました。

 あと宴会でよくあるのがこれです。

 じつは、宴会における最大のボトルネックは「人」です。「参加者全員を主役にしていきたい」宴会で、「エアータイムを独り占め」にしようとする人はやっかいです。どんな話題でも、とにかく自分の話にもっていかないと気がすまない人がいます。その人が話をはじめると、なかなか他の人が話せない状況になってしまうのです。つまり、「会話のボトルネック」です。

           『ハーバード流宴会術』p93より引用


 周りの人のことを考えないで自分ばかりがしゃべる人は困りますね。私も気をつけたいことです。

 三菱商事の商社マンが仕切るそつがない宴会の様子が目に浮かんでくるような本です。

 宴会を仕切ることの多い方はご参考になさってください。

  


 参考文献:『ハーバード流宴会術』 児玉教仁 (大和書房)
 

  

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『世界一のサービス』を読んで

2013年01月27日

 下野隆祥さんのご著書『世界一のサービス』を拝読いたしました。

 下野さんは1946年東京都生まれ、銀座「マキシム・ド・パリ」のソムリエ、銀座「レカン」のシェフソムリエ・支配人、ロンドン「レストラン・ミラベル」総支配人を務められました。1993年、世紀のシェフと呼ばれたジョエル・ロブションによる日本第一号店、恵比須「シャトーレストラン タイユバン・ロブション」(現ジョエル・ロブション)の初代総支配人に就任されました。1996年健康上の理由により退職され、現在は後進の指導にあたられているそうです。2010年にはフランス共和国農事功労章「シュバリエ」を受賞されています。

 超一流のレストランで支配人を務められた方です。サービスに対する考え方は大変厳しいものです。

 下野さんはレストランの入店時にエントランスで「確認いたしますので、少々お待ちくださいませ」と言われたら、それはサービスではない、と述べています。

 個人宅を訪ねたシーンを思い浮かべれば分かりやすいそうです。
 
 夕方のしかるべき時間に、かねてから約束していた友人宅を訪ねてベルを押した時、玄関先で「少々お待ちください」という声が返って来ることがあるでしょうか。そう言って客を待たせておいて、メモ帳を調べるホストがいるでしょうか。それがゲストに対する歓迎の行動にあたるでしょうか。

       『世界一のサービス』p4より引用


 私も飲食店を経営しておりますが、対応が形式的になってしまうことがあり、気をつけなければならないことです。自分の家に友人を招くような温かい気持ちでお客様をお迎えすることが大切です。全ての従業員がそういう気持ちになるようにしたいと思います。
 
 高級レストランといっても、いまではお金を払いさえすれば誰でも行かれるようになりました。リッツカールトンのクレドではありませんが、「紳士淑女が紳士淑女にサービスする場」になったのだ、と下野さんはいいます。そうなると、何が大切になるのでしょうか。

 それは、サービスマンも普段の生活の中で、紳士淑女としてのプライドと折り目正しい態度をしっかりと身につけることだと思います。仕事のオフの日に街でお客様と出くわした時に、きちんと挨拶できること。恥ずかしくない服装をしていること。日頃から、時事関連の知識を身につけ、TPOに相応しい話題を選べること。様々なことに興味を持ち、良質の趣味を持つこと。豊富な人脈を持ち、互いに切磋琢磨していくこと、等々。
 つまり人間として研鑽を積みながら、己を磨いていくことが良質のサービスマンへの道なのです。
 
        『世界一のサービス』p41より引用


 サービスマンというまえに、一人の人間として尊敬されるようになっていないといけないのです。

 仕事でお付き合いがあっても、街で会ったとき挨拶ができない方がいます。お付き合いは商売だけと考えているのでしょうかね・・・・・
 
 レストランにご興味のあるかはどうぞご参考になさってください。

  


 参考文献:『世界一のサービス』 下野隆祥 (PHP新書)
 
  

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『督促OL修行日記』を読んで

2012年12月07日

 榎本まみさんのご著書『督促OL修行日記』を拝読いたしました。

 榎本さんは大学卒業後信販会社に入社し、支払い延滞客への督促を行うコールセンターに配属されました。多重債務者や支払困難客に怒鳴られながらお金を回収する日々の中、気弱な性格でも言い負かされず回収できる独自のメソッドを開発しました。いまでは300人のオペレーターに指示を出し、年間2000億円の債権を回収しているのだそうです。

 この本は榎本さんがお客さんから罵声を浴びてストレスで病気になりかけながらも、何とか頑張って督促の仕事が好きになっていく実体験を記したものです。著者のブログ「督促OLの回収4コマブログ」をベースにしているそうです。

 決して気の強い女性ではないのに、どんなつらい状況でも立ち向かっていく榎本さんには、底力のようなものがあります。押しが強いわけではなく、むしろ謙虚さや控えめというような印象も感じるのです。 

 仕事に追われる榎本さんの毎日はすごいものがあります。

 毎日家に帰ると倒れるように眠ってしまうので、掃除も洗濯もできずに洗濯物がどんどん溜まっていく。替えの下着がなくなると乗換駅のユニクロでパンツを買って帰った。ユニクロが閉まっているとコンビニに行く。コンビニで売っているパンツはお世辞にもあんまりかわいくないと思うんだけどこの際しかたがない。

 (中略)

 その頃私はコンビニパンツが家にあふれたため、紙パンツ生活に突入していた。これではまぁ、彼氏どころではない。「紙パンツをはいた女は、フラれても仕方ないよなあ・・・・・・」

                  『督促OL修行日記』より引用


 これには何ともコメントがつけられませんね・・・・・・

 いくつか電話のテクニックも紹介されていました。

 「とにかく、ゆっくりしゃべって。そうしたら自信がありそうに聞こえるから。」

 (中略)

 督促をする私たちがゆっくりしゃべると、お客さまも釣られてゆっくりとしゃべってくれる。人間、怒ってる時は自然と早口になってしまうが逆にゆっくりした口調で怒ることは難しい。だからゆっくりしゃべると、穏やかな雰囲気で交渉をすることができる。
 こうして先輩方はついつい険悪になりがちな督促の電話でも印象よく会話することに成功していたのだ。

                『督促OL修行日記』より引用

 
 私はそもそも早口なので気をつけたいことです。

 読み物としておもしろいのですし、難しいことは書いてないので、1時間くらいで読めてしまいます。

 OLの行う督促の世界ってどんなものなのか、ご興味のある方は読んでみてくださいね。

  


 参考文献:『督促OL修行日記』 榎本まみ (文芸春秋)
 

  

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『君は、こんなワクワクする世界を見ずに死ねるか!?』を読んで

2012年11月18日

 田村耕太郎さんの『君は、こんなワクワクする世界を見ずに死ねるか!?』を拝読いたしました。

 田村耕太郎さんは、エール大学上席研究員、ハーバード大学研究員を経て、現在、ランド研究所の唯一の日本人研究員を務めておられるそうです。2002年から10年まで参議院議員を二期務められ、その間、内閣府大臣政務官、参議院国土交通長を歴任されました。

 題名からしてもう少し大きなことを想像していたのですが、内容は若者に留学や海外での就職をすすめるものでした。私には読むのが20年くらい遅すぎました。

 「就活」を理由に留学や海外渡航をあきらめる若者も多い。でも考えてみてほしい。君はあと何年生きるのか?そして死ぬまで働かないといけないのだ。目先の1年や2年なんて20年、30年の単位で考えると誤差の範囲だ。

      『君は、こんなワクワクする世界を見ずに死ねるか!?』p66より引用


 私は若いころ海外留学の夢をもちつつ、果たせませんでした。いま顧みるに、自分が自分にいろいろな制約条件と理由をつけて、行かなかっただけです。
 そういう意味では田村さんのご意見には大賛成です。

 ただ、最終的には日本に戻ってほしいといい、日本のへ愛国心も感じるものの、国会議員までされた方が日本の悪いところをあげつらねるのはいかがなものかと思いました。それを直すのが国会議員の仕事だろうと思うからです。

 田村さんはどこへ行くべきかと問われたらアメリカと答えるそうです。その理由は次のようなものです。

 日本の有利さ→アジアに隣接→アメリカの重要性を再認識してアメリカへいけ!


 アジアの成長をけん引しているのはアメリカ経済であり、ドル決済の有利さもあり、アジアに対してアメリカの優位さは変わらないと考えておられるようです。 

 海外で事業を展開する際に見るべきポイントは次の三つだそうです。

 ・自分の武器を活かすことができる
 ・ある程度の市場規模が継続的に見込める
 ・その市場で自分の武器を使えば多くの人を幸せにできる

      『君は、こんなワクワクする世界を見ずに死ねるか!?』0175より引用 


 さすがに海外経験の豊富な方です。様々な有用な情報が詰まっている本です。

 世界に出てみたい方はご参考になさってください。 

  


 参考文献:『君は、こんなワクワクする世界を見ずに死ねるか!?』 田村耕太郎 (マガジンハウス)
 
  

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『「魚の釣り方」は自分で考えろ』を読んで

2012年11月14日

 泉忠司さんの『「魚の釣り方」は自分で考えろ』を拝読いたしました。

 空腹の人に魚を与えるよりも魚の釣り方を教えよ・・・・・・有名な説話ですね。

 最近は時代の流れが早くなっているので、魚の釣り方を教えても、すぐに魚が釣れなくなる可能性があるそうです。泉さんは「魚の釣り方を自分で考える方法を教えること」が正解だと述べています。

 この本には魚の釣り方を自分で考えることができるようになるための習慣やトレーニングなどが紹介されています。

 例えば、新しいアイデアを構築するには日常のルーティンから抜け出すことが有効だそうです。

 いつもと違う店に入ってみる。
 いつもと違うメニューや見たことのないものを頼んでみる。
 いつもと違うルートで駅まで歩く。
 これらだって十分に日常のルーティンから抜け出す行為です。
 思考パターンの固定化、つまり、ワンパターンな思考に陥る最大のわなは、毎日同じ生活を繰り返すことです。

         『「魚の釣り方」は自分で考えろ』156p~157pより引用


 東京に出張すると、私の泊まるホテルはたいてい決まっています。駅からの距離、近隣のお店の種類、ホテルの清潔度、宿泊料金などが自分の好みにあっているからです。安心して泊まれるホテルということです。

 ただ同じホテルに泊まり続けていると、その他の街やホテルの状況が見えなくなってしまうことも事実です。

 ときにはインターネットの宿泊サイトで初めてのホテルを探して予約しますが、面倒くさいな~と思ってしまう部分も少しだけあります。

 本当に面倒くさくなってしまって、なんでもいいやと思ったら、自分も終わりだな、と思います。

 新しいものに挑戦する気持ちは失わないようにしたいものです。

 みなさまもご参考になさってください。

  


 参考文献:『「魚の釣り方」は自分で考えろ』 泉忠司 (中経出版)
 
  

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『心をつかむ!誰からも好かれる話し方』を読んで

2012年10月26日

 谷厚さんの『心をつかむ!誰からも好かれる話し方』を拝読いたしました。

 10月5日に上田法人会青年部で谷さんを講師としてお招きし、研修会を開催しました。そのときに購入したものです。

 谷さんは1969年京都府生まれ、近畿大学在学中からタレントとして活躍されていたそうです。ある企業のパーティーでメインスポンサーの名前を間違えるという大失態をしたのをきっかけとして芸能界を引退し、広告会社を経て、リクルートへ転職されました。

 リクルートではグループ会社のコールセンター、CS推進室クレーム対応責任者を歴任、2000本以上のクレームに接し、「クレーム客をロイヤルカスタマーに変える方法」を確立し、驚異的に売り上げを伸ばしたそうです。

 現在は「明石家さんま風クレーム対応セミナー」と口コミが広がる「怒りを笑いに変えるクレームコンサルタント」として活躍されています。

 実際に谷さんのセミナーを聴講したのですが、1時間30分の間、漫才を聞いているかのようで、笑いの絶えない楽しいセミナーでした。

 笑いの元になっているのはどんな相手も受け入れる谷さんの圧倒的な明るさだと思います。この本を購入した際に、記念にサインをしてもらいましたが、一人一人におもしろい一言や温かい言葉をかけておられました。明るい人は周りも明るくさせますね。

 ほとんどの人は他人と自分との比較をして、不満や妬みを口にしています。谷さんは次のように述べています。

 他人と自分を比べるのではなく、「なりたい自分」と「いまの自分」を比較するのです。
 「いまの自分に足りないもの」「いまの自分がとるべき行動」を見つめ直します。

         『心をつかむ!誰からも好かれる話し方』


 そのために、自分の向かい側に空の椅子があると仮定して、そこに「なりたい自分」(未来の自分)を座らせて対話するのだそうです。
 相手が話すときには「なりたい自分」が今の自分をどう考えるかに思いを巡らします。

 比較するのは他人ではなくて、あくまでも「なるべき姿の自分」だというわけです。

 二色刷りで行間も大きいですから、1時間以内で読める本です。
 
 どうぞご参考になさってください。

  


 参考文献:『心をつかむ!誰からも好かれる話し方』 谷厚志 (学研パブリッシング)
 
  

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よく報告する

2012年10月16日

 土光敏夫さんの『[新訂]経営の行動指針』74pより引用いたします。

 よい情報にしろ悪い情報にしろ「よく報告する」ということは、非常に積極的で勇気のいる行動なのである。仕事によいことばかりあるはずがない。よいこともあろうが、必ず悪いことも混じっている。そうであるのによいことばかり報告してくるというのは、仕事の全体の遂行について確固たる自信をもっていない証拠である。自信があれば、悪いことでむしろ積極的に報告し助言を求めるはずである、

              土光敏夫著 『[新訂]経営の行動指針』より引用



 土光さんは「よく報告する」ことを「非常に積極的で勇気のいる行動」であると述べています。

 まさにその通りだと思います。

 従業員はよい情報はどんどんあげますが、悪い情報はあげないか、知らないふりをしていることが多いです。正直にすべてを報告するには勇気がいります。誰も見ていないことや軽微なミスについては報告していないことが多いです。

 上司や経営者も、悪い報告を聞くのは実は気持ちのよいものではないので、耳をふさぎたくなります。

 聞くほうにも、なんでも聞くぞ、という開かれた姿勢と覚悟と勇気が必要です。

 私は悪い情報の一つ一つに対応させていただくことはできませんが、情報の内容はすべて知っておいて、二度と起こらないように改善していかねばならないと考えます。

 「報告するのが当たり前」という状態をつくりたいと思います。

  


 参考文献:『[新訂]経営の行動指針』 土光敏夫 (産業能率大学出版部)
 
  

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求められる姿

2012年09月08日

 日高利美さんのご著書『銀座の教え』より引用します。

 お客様は、買い物や食事、おしゃべりを楽しみたいと思ってお店に来ています。
 そこへ、運営側の舞台裏を見せるのは、プロとしては失格です。
 誤解を恐れずに言えば「仕事では演じること」も必要だと思っています。
 それは接客に限らず、仕事には求められる役割、求められる立ち居振る舞い、「らしさ」があるものです。

                『銀座の教え』より引用


 以前日高さんが一人5万円もするような高級中華料理店で食事をして帰るとき、レジカウンターの前でスタッフの方が次にような声掛けをしていたそうです。

 「3番帰りま~す」


 お客様の前でどんなにうやうやしく接客をしたとしても、裏では「3番」と呼んでいるとわかってしまったら、お客様は興ざめしてしまいます。

 この他にも、お客様の前でスタッフを叱ったり、厨房の怒号が聞こえたりする例などが挙げられています。

 夫婦で営業しているような小さな飲食店で、調理している夫らしき人が、サービスの奥さんらしき人をどやしている姿なども見ることがありますが、あまり気持ちのよいものではありません。

 とにかくお客様としては、裏はといっても違った世界であってほしくないし、裏は見たくないものです。

 当社でも気をつけなくてはならないことです。
 
  


 参考文献:『銀座の教え』 日高利美 (クロスメディア・パブリッシング)
 
  

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『銀座の教え』を読んで

2012年09月06日

 日高利美さんのご著書『銀座の教え』を拝読いたしました。

 日高さんは1975年生まれ、品川女子学院を中退後、18歳から銀座のママを目指して、銀座の夜の街で働き始めたそうです。26歳で念願の銀座のクラブのオーナーとなり、現在は複数の会社を経営する事業家として活躍されています。

 この本は2012年7月に初版が発行され、私の手元にありますのは8月発行の第4刷ですから、だいぶ売れているようです。本屋さんにも平積みになっていました。

 「はじめに」を読み始めて、二行目から驚いてしまったのですが、日高さんは高校生のとき「敬語を使いなさい」という大人に対して次のように答えていたのだそうです。

 「私に敬語を使ってほしかったら、尊敬できる大人になってよ。私は尊敬できる人にしか敬語は使わない」


 自分のイメージを悪くするようなことを告白できる正直さは素晴らしいです。ただ、高校生の頃のことだとはいえ、こういうことを大人にたいして言える精神性というのはどうも理解ができませんでした。

 この考え方が根底にあるのでしょう。次のようなこともされるそうです。

 私の悪い癖で、同じサービス業の人間として、たとえば買い物をしているとき、食事のときやタクシーに乗っているときなど、「そこは違うんじゃない?」と思うと、見ず知らずの人にも意見してしまうことがあります。

                       『銀座の教え』より引用


 本当によい指摘をされるのならば、指摘された側としてもありがたいです。
 
 私もサービス業を営んでいるのでとてもよく分かるのですが、御不満を感じても黙ってお帰りになってしまうお客さまがほとんどですから、指摘してくださるお客様の言葉は本当に大切です。

 本のところどころに飲食店やお菓子屋さんなど銀座の名店が紹介されていますが、庶民の感覚からみると高いお店がほとんどですから、接待として使う方にはご参考になるでしょう。

 銀座のママの考え方を知りたい方はご参考になさってください。
 
  


 参考文献:『銀座の教え』 日高利美 (クロスメディア・パブリッシング)
 
  

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『訪問しないで売れる営業に変わる本』を読んで

2012年08月23日

 菊原智明さんのご著書『4年連続No.1が明かす訪問しないで「売れる営業」に変わる本』を拝読いたしました。

 この本は2006年10月に初版が発行されています。もう6年前の本ですが、私は2007年11月発行の9刷を買って積んだままになっていました。積んだままにして申し訳なかったです。

 菊原さんは1972年群馬県生まれ、群馬大学工学部を卒業後、トヨタホームに入社、7年間のダメ営業マン時代を過ごした後、「営業レター」を活用するようになっていきなりトップ営業マンになったそうです。その後、4年連続トップ営業マンの地位を守り、2004年には全国No.1営業マンの座も獲得されました。
 現在は営業コンサルタントとして、セミナー、コンサルティング、執筆活動などをされています。

 菊原さんは住宅営業のセールスとして、営業成績が上がらなかった頃、必死に訪問営業をしていたそうです。

 あるとき「お客様の失敗例」を編集してお客さまへおもちしたら、喜んでもらえたような気がしたそうです。続けて情報を配っていると、徐々に契約が取れるようになったのだそうです。

 資料を直接お渡しするよりも郵送したお客様のほうが再来の確率が圧倒的に多いということも分かってきました。

 お客さまからは次のように言われたそうです。

 「菊原さんは私たちのペースで考えさせてくれるから、すごく信用できるのですよ」

  『4年連続No.1が明かす訪問しないで売れる営業に変わる本』より引用


 売り込むことはしないということですね。

 はがきにも売り込みの文章は入れない方がよいそうです。

 「ご提案だけでもさせてください。」
 「ぜひ見積もりだけでも出させてください。」
 
 などといった「売り込みを感じさせる文章をいれてはならない。」ということだ。
 いきなりそういった内容のハガキを送ってしまうと、お客さまに「今後しつこく営業をかけられるのかなあ?」と悪印象を与えてしまうことになる。 
 せっかく送ったのにこれでは逆効果だ。

  『4年連続No.1が明かす訪問しないで売れる営業に変わる本』より引用


 バーター取引を求めたり、イケイケで営業をしたりするのはもう古いですね。お客さまに嫌われてしまいます。
 
 お客さまと継続的な信頼関係を作りたいと思います。

 営業をされている方はどうぞご参考になさってください。

  


 参考文献:『4年連続No.1が明かす訪問しないで売れる営業に変わる本』 菊原智明 (大和出版)
 
  

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ネクタイをほめる

2012年08月15日

 山﨑武也さんの『なぜあの人には「味方が多い」のか』より引用いたします。

 したがって、どんな男性でも新しいネクタイをしたときは、誰かが気づいてくれて褒められるのを、無意識のうちに期待しているのではないだろうか。その期待には応えるのが、人情の機微に触れる行為であり、人間関係の達人のすることである。

             『なぜあの人には「味方が多い」のか』より引用

  
 女性が髪形を変えたときや、いままでと違った印象の洋服を着ているときに「おっ!変わったね」と声をかけてあげると、うれしそうですよね。

 女性のそういう変化が分からない男性は気づきが悪いともいわれます。

 もっとも学生さんは髪の毛をいきなり金髪にしたり、夏になるとまったく違う服装になったりするので、変化が大きすぎて誰だか判別できなくなってしまうこともあります。

 私は職業柄、人の顔はよく覚えている方だと思いますが、一度しか会ったことのない学生スタッフががらりと印象を変えてしまうと「たしかこの人は・・・・・・」と考えなくてはいけないこともあります。

 声をかけてもらってうれしいのは女性だけかと思っていましたが、男性も嬉しいのでしょうかね?

 私は「新しいネクタイね」と言われたら、少し照れます。

 新しいものに気づいて声をかけるというよりも、よいものについては自然と聞いてみたくなります。

 スーツやネクタイや時計や靴などはよいものならなんとなく雰囲気で分かります。

 「このスーツはかっこいいですね、イタリアですか?」

 こう聞いてみると喜んで教えてもらえますし、こちらも取り入る気持ちは全くないので、自然と交流も進みます。

 気づいたことを自然にお話しするのが楽しいかな~と思います。 

  


 参考文献:『なぜあの人には「味方が多い」のか 一流の気くばり仕事術』 山﨑武也 (PHPビジネス新書)
 

 参考ブログ:
 「交渉に勝ち負けはない」
 http://highlyeffective.naganoblog.jp/e1048307.html
 
 「また誘ってくれるように頼む」
 http://highlyeffective.naganoblog.jp/e1046534.html

 「自分にしか分からない仕事」
 http://highlyeffective.naganoblog.jp/e1046021.html

 「自分の善行は隠す」
 http://highlyeffective.naganoblog.jp/e960914.html

 「一緒に食事をすると」
 http://highlyeffective.naganoblog.jp/e959573.html
 
 「良薬は口に苦し」
 http://highlyeffective.naganoblog.jp/e830130.html

 「清潔感とは」
 http://highlyeffective.naganoblog.jp/e829432.html

 「遅刻することは」
 http://highlyeffective.naganoblog.jp/e818827.html

 『なぜあの人には「味方が多い」のか』を読んで
 http://highlyeffective.naganoblog.jp/e1015758.html

 「お断りするときには」
 http://highlyeffective.naganoblog.jp/e1019830.html

 「自分にしか分からない仕事」
 http://highlyeffective.naganoblog.jp/e1046021.html
  

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会社が終わってからの時間

2012年08月12日

 土光敏夫さんの『[新訂]経営の行動指針』より引用いたします。

 会社での八時間を懸命に働くのは、あたりまえである。あたりまえでないのは、会社が終わってからの時間をどう過ごすかである。
 
 バブソンという人が、過去百年間に世界の実業界で活躍した人びとを調べて「その人々が成功した要因は、彼らが例外なしに、会社が終わってからの時間がたいせつだと思っていた点に求められる」といっている。つまり成功の要因は、会社での時間中になく、私生活での時間中にあるというわけだ。

              土光敏夫著 『[新訂]経営の行動指針』より引用


 仕事が終わると一直線に遊びに行ってしまう方は今でも結構多いように思います。

 毎日暑いので、一刻も早く解放されたいという気分になります。

 お客さまから「今日はもういいよ、いこうよ!」という景気のよいお誘いを頂くと、バブル景気のときのことを思い出します。とりかかっている仕事を投げ出してついていきたくなってしまいます。

 若いころの私は消防団には入りましたが、JCには入りませんでしたので、普段飲みに行く機会もなく、お客さまや先輩から飲み会などに誘われても、ほとんどお断りしていました。少し堅すぎたと思います。

 付き合いが悪くては信頼関係も生まれないことをお客さまに教えて頂いて、段々とご一緒させて頂くようになりました。

 ゴルフもだいぶ誘って頂きましたが、結局やりませんでした。私は土日も仕事ですし、父もゴルフをしないのでその影響もありました。

 お酒も、ゴルフも、その他のさまざまな遊びも、後悔することなく楽しいと思えるなら、または人生に役立つなら、どんどんやった方がよいと思います。

 家族やお子さんと遊ぶ時間も大切でしょう。

 やりたくないのに流されて付き合うのだけは気をつけなくてはいけません。

 このブログは8月6日の上田大花火大会が終わった夜10時、会社に一人残って書いています。 
 
 さて、これが終わったら何をしようか・・・・・・と。

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 参考文献:『[新訂]経営の行動指針』 土光敏夫 (産業能率大学出版部)
 
  

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好きなことを仕事にする

2012年08月09日

 竹中平蔵さんの『竹中式イノベーション仕事術 「楽には生きられない日本」で闘う12の力』からの引用です。

 アメリカの大学の留学生が世界的な大企業トップ100社のCEO(最高経営責任者)にアンケートを行ったそうです。

 興味深いのは、その中の質問のひとつとして、「あなたはなぜ成功してCEOになれたと思いますか」というのがありました。最も多い答えは何だったでしょうか。それは、「自分の好きなことを仕事に選んだから」だったそうです。つまり、本当にやりたいことを明確にして、それを職業ににすれば自ずと積極性を発揮し「熱心力」が身につく、ということでしょう。
 
                『竹中式イノベーション仕事術』より引用


 本当に好きなことを仕事にすることができたら、仕事に熱心になれますね。

 ただ、若いときには自分の好きなことや、自分が得意なことというのは、自分でもよく理解できていないのです。

 自分に合いそうだという会社に入れたら、その会社の中で自分の好きな仕事や得意な仕事を探していけばいいのではないかと思います。
 
 どうしても自分に合う仕事が見つからなければ、転職してやり直すという手もあります。

 ロシアの作家、ゴーリキーの『どん底』には次のような一節が出てくるそうです。

 「仕事が楽しければ、人生は極楽だ。仕事が義務なら、人生は地獄だ」

 
 会社の経営者としても、部下がその適性にあった仕事を担当して、活き活きと働いている姿を見るのはうれしいです。
  
  


 参考文献:『竹中式イノベーション仕事術』 竹中平蔵 (幻冬舎)
 
  

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シェフのチェックリスト

2012年08月07日

 アトゥール・ガワンデさんの『アナタはなぜチェックリストを使わないのか?』には、いろいろな分野の専門家のチェックリストの活用が紹介されています。

 「アメリカ最高のシェフ10人」に選ばれたこともあるレストランリアルトのオーナーシェフ、ジョディー・アダムズさんも、チェックリストを活用していました。

 まず、レシピという基本的なチェックリストがあった。綺麗に印刷され、透明なカバーがかかったレシピが各部署に置かれていた。アダムズ・シェフはスタッフにレシピを必ず守るように厳命し、彼女自身が調理するときもレシピに忠実に従った。彼女いわく、「料理の質を一定に保つためには、レシピは必ず守らなければならない」
 さらにアダムズ・シェフは、随時気がついたことを「キッチン・ノート」と称して各スタッフにメールで送っていた。デザート用の作業場の横の掲示板には、それを印刷したものが貼られていた。

      『アナタはなぜチェックリストを使わないのか?』より引用


 お客さまの情報についてもチェックリストが使われています。

 注文の品、テーブル番号、席番号、特別な要望や以前来店したときのデータ(アレルギー、ステーキの焼き加減の好み、誕生日や記念日、アダムズ・シェフが挨拶に行くべき要人)などが伝票に記載されている。

     『アナタはなぜチェックリストを使わないのか?』より引用


 スタッフ間のコミュニケーションにもチェックリストが使われています。

 午後五時、開店三〇分前にスタッフ全員がキッチンに集まり、問題や懸念がないか確認する。私が見学した日は、予約人数、メニューの変更点二つ、病欠のスタッフの穴をどう埋めるか、女の子二〇人がパーティーを開く予定だったが到着が遅れて一番忙しい時間帯に来店すること、などが話し合われた。全員が発言の機会を与えられ、みんなで開店に備えた。

      『アナタはなぜチェックリストを使わないのか?』より引用


 人間が行なう調理には、それでも不確定要素がでてきます。

 だからアダムズ・シェフは最後にもう一つチェックを設けていた。アダムズ・シェフもしくはスーシェフがすべての料理を一皿ずつ点検し、見た目、香り、時には味まで確認してから客に出すのだ。少なくとも五%がここで返品されていた。

      『アナタはなぜチェックリストを使わないのか?』より引用


 人間の関わる部分が多いほど、不確定要素も多いのです。

 当たり前のことを大切にして、それらを確実に行うためにチェックリストが必要です。

  


 参考文献:『アナタはなぜチェックリストを使わないのか?』
        アトゥール・ガワンデ(著) 吉田竜(訳) (普遊舎) 
 
  

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茶色のM&M'sを取り除く

2012年08月04日

 アトゥール・ガワンデさんの『アナタはなぜチェックリストを使わないのか?』より引用します。

 ある日のラジオで、ロックミュージシャンのデイビッド・リー・ロスの逸話を聞いた。ヴァン・ヘイレンのボーカルを務める彼は、コンサートの契約書に「楽屋にボウル一杯のM&M’sチョコレートを用意すること。ただし、茶色のM&M'sはすべて取り除いておくこと。もし違反があった場合はコンサートを中止し、バンドには報酬を満額支払うこと」という事項を必ず含めるそうだ。実際、ロスが茶色のM&M'sを見つけてコロラド州でのイベントを中止したこともある。

      『アナタはなぜチェックリストを使わないのか?』より引用


 ミュージシャンて、わがままなんだな・・・・・・と思いながらこの逸話を読んでいました。

 しかし、続きを読むと、この契約には非常に意味のあることが分かりました。

 その契約書に試金石としてM&M'sの項目を入れておく。「そして、もし楽屋で茶色いM&M'sを見つけたら、全てを点検しなおすんだ。すると必ず問題が見つかる」それが命に関わることだってある。コロラド州のイベントでは興行主が重量制限を確認しておらず、セットは会場の床を突き破って落ちてしまうところだった。

       『アナタはなぜチェックリストを使わないのか?』より引用


 つまり、茶色いM&M'sさえも取り除くこともできなような準備の体制では、必ず他のどこかにも落ちがあるだろう、というロスの読みなのです。

 日常生活でも、いつもと違うことを発見すると「おかしいな???」と思いますよね。

 いつもは空になっているごみ箱にゴミが山のようになっていたり、ライン内にきちんと停めてあるはずの自動車がはみ出して停めてあったり、切手が斜めに貼ってあったり・・・・・・

 そういうときはその担当者や組織に何らかの乱れがあるものです。
 
 いつもと違うときには「どうしたの?」「大丈夫?」と聞いてみます。

 私はミュージシャンではないので、ロスのようなユニークな契約を要求することはできませんが、仕事の上では必ずチェックポイントを決めて定期的に点検しなくてはならないのだと思います。

  


 参考文献:『アナタはなぜチェックリストを使わないのか?』
        アトゥール・ガワンデ(著) 吉田竜(訳) (普遊舎) 
 
  

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プロフェッショナリズムの四つの要素

2012年08月03日

 アトゥール・ガワンデさんは『アナタはなぜチェックリストを使わないのか?』の中で、どの専門職のプロフェッショナリズムにも必ず含まれる三つの要素を指摘されています。

 第一に無私であること。
 
 第二に腕があること。

 第三に信用に足ること。

 
 昨日のブログではこの本に紹介されていた航空機事故の詳細を引用しました。
 航空業界は四つ目の要素を加え、プロフェッショナリズムをさらに強化しているそうです。

 航空業界の人々は、そこに四つ目を加えた。規律だ。よくできた手順には絶対に従うこと。必ず他者と協力しあうこと。医療を含む、他の多くの業種では考えられないようなことだ。医療では自主性こそがプロの証だと考えられているが、自主性は規律の対極にある。だが、大きな病院、何人もの医者、リスクの大きい治療法、そして一人ではとても習得しきれない膨大な量の知識を要する現代医療では、個人の判断に任せるのは愚策だ。古い価値観にしがみついていては良い医療は提供できない。時々思い出したように「仲良く協力しあいましょう」と言っているようでは駄目なのだ。本当に必要なのは、絶対に協力しあうという決まりを作り、常にそれに忠実であることだ。

      『アナタはなぜチェックリストを使わないのか?』より引用


 冒頭に紹介した三つの要素を満たしているのであれば、医師であろうと、パン屋さんであろうと、鮨屋さんであろうと、金型屋さんであろうと、どんな分野においても優れた専門家として尊敬されるでしょう。

 しかし、現代において仕事は一人で行うことは少なくなり、ほとんどは組織やチームで動きます。航空業界だけでなくすべての産業に規律が求められているのです。

 飛行機を飛ばすのも、パンを焼いて販売するのも、複雑さの違いこそあれ、手順を踏んでお客さまにサービスを提供するという意味では同じことです。

 複雑ではないから規律がなくてよいということはないと思うのです。

  


 参考文献:『アナタはなぜチェックリストを使わないのか?』
        アトゥール・ガワンデ(著) 吉田竜(訳) (普遊舎) 
 
  

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