思い出す限り、もっとも暖かった秋が終わり、ようやく冬が近づいてきたと感じています。みなさまいかがお過ごしでしょうか。
日頃は大変お世話になっております。誠にありがとうございます。
このブログでは、ドラッカーの『現代の経営(上)』を読んでおります。
今回は「第13章 組織の文化」の「報奨と動機づけとしての報酬」の節からご紹介します。
報奨は仕事の目標と直接結びつける必要があり、短期的な利益と結びつけるのは、マネジャーに対する方向付けとしてよろしくない、というのがドラッカーの考えです。
能力を十分生かせなくなったために会社を移りたがっている役員がいる。何度も転職の誘いがあったが、いつも最後には、あと五年いれば功労金の付加分が増えるという理由で断ってきた。その人はいまもその会社にいる。相変わらず悩み、いらだち、苦い思いをしている。そしてマネジメント全体に不協和音と不満の空気をもたらしている。
忠誠心を買うことはできない。忠誠心は獲得すべきものである。金の力で引き留めようとすれば、引き留められた者が誘惑に対する自らの弱さを会社のせいにするだけである。
『現代の経営(上)』 p211より引用
一般的に、給料が高ければ、それだけでも退職を防いだり、先延ばしさせたりすることは出来ます。
しかし、高い給料は、その従業員の会社に対する忠誠心を高めることや、会社をもっとよくしよう、成果を上げようという気持ちにさせることにはつながらないのです。
このことをドラッカーは「忠誠心を買うことはできない」と言っています。
コンプライアンスを重視することは絶対ですので、賃金規定などを作成すると、ルールによって昇給が決まります。
中小企業であっても、社長の自由な意思で報酬を決めることはできずらくなります。
状況によっては、仕事をしないマネジャーが高い地位にしがみついて、部下の昇進を抑えようとし、力のある部下が能力を充分に発揮できなくなります。
週ごとに刻々と状況が変わっていく動きの激しいいま、社長の裁量や決断を自由に迅速に行う必要性を感じます。
いつもご利用ありがとうございます。今月もよろしくお願いいたします。

参考文献:
『現代の経営[上]』 P.F.ドラッカー (ダイヤモンド社)
https://www.amazon.co.jp/dp/B0081M7YFS/ref=nosim?tag=shachouinshin-22
"The Practice of Management" Peter.F.Drucker HarperCollins e-books
https://www.amazon.co.jp/dp/B003F1WM8E/ref=nosim?tag=shachouinshin-22
Hitoshi Yonezu at 09:56
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