リーダーシップとは何か?

2025年02月03日

 寒中お見舞い申し上げます。

 日頃は大変お世話になっております。誠にありがとうございます。

 このブログでは、ドラッカーの『現代の経営(上)』を読んでおります。

 今回は「第13章 組織の文化」の「リーダーシップとは何か」の節です。

 ドラッカーは、普通の人に普通ではない力を発揮させることを組織の目的の一つとしてきました。普通の人をすごい人に変える、というような話はありません。この節でようやく、リーダーシップとは何か?という問いかけが出てきました。
 
 以下の文章は、この節より抽出したものです。
 
 リーダーシップに代わるものはない。しかしリーダーシップは、創造できるものではない。昇進によって生み出すことのできるものではない。教えたり学び取ったりすることのできるものではない。

 マネジメントにできることは、リーダーの資質を発現しやすくするか、発現しにくくするか、いずれかの環境をつくることだけである。しかもリーダーの資質を備える者はあまりに稀であり、かついつ現れるかを知りえない。

 リーダーシップとは姿勢でもある。しかるに、(雇用契約がマネジメントに対し、人の個性を変える権限まで与えているかは別として) 人の姿勢ほど曖昧で変えにくいものはない。したがって、卓越した組織の文化をもたらすための方法としてリーダーシップに依存することは、何もせず、何ももたらさないことを意味する。

 リーダーシップとは、人を惹きつける資質ではない。そのようなものは煽動的資質にすぎない。リーダーシップとは、仲間をつくり、人に影響を与えることでもない。そのようなものは営業マンシップにすぎない。

 リーダーシップとは、人の視線を高め、成果の基準を上げ、通常の制約を超えさせるものである。リーダーシップの素地として、行動と責任についての厳格な原則、高い成果の基準、人と仕事に対する敬意を、日常の仕事において確認するという組織の文化に優るものはない。
               
                 『現代の経営(上)』 p221-222より引用


 最後の段落を原書で紹介します。

 Leadership is the lifting of a man’s vision to higher sights, the raising of a man’s performance to a higher standard, the building of a man’s personality beyond its normal limitations. Nothing better prepares the ground for such leadership than a spirit of management that confirms in the day-to-day practices of the organization strict principles of conduct and responsibility, high standards of performance, and respect for the individual and his work.


 引用した文章を丁寧に読んでいくと、次のようなことではないかと思います。

 まず、リーダーシップは、創造することは出来ず、昇進させて生まれるものではなく、学べば身につくものでもない、ということです。
 
 マネジメント(経営者層)にできることは、リーダーの資質を発現しやすくするような環境をつくることです。

 リーダーシップは姿勢でもありますが、人の姿勢を変えるのは大変難しく、人の姿勢の変化を待つのは何もしないのと同じことです。

 リーダーシップは、人を引き付ける魅力ではなく、人気取りでもありません。(ドラッカーはカリスマも否定しています。)

 リーダーシップとは、人の視線を高め、成果の基準を上げ、通常の制約を超えさせるものです。

 リーダーシップの資質を備える人を発現させるために、組織として、行動と責任についての厳格な原則、高い成果の基準、人と仕事に対する敬意を、日常の仕事において確認することです。
 
 まとめますと、組織内にリーダーシップを発現させて、通常を超える成果を上げられるようにしたいのですが、簡単にできるものはないということです。(リーダーシップは育てることができない。)

 ただ、リーダーシップを発現させるために、組織としてできることは、以下のことを日常で確認していくことです。
 
 ①行動と責任についての厳格な原則 (組織の目標、自分の目標、発言に忠実に行動する。責任を果たす。)

 ②高い成果の基準 (自ら高い目標を掲げる。前向きでないと高い基準はつくることができない。)
 
 ③人と仕事に対する敬意 (お客さま、同僚、社会に敬意を持つ。コンプライアンスを重視する。誠実である。二面性がない。)
 
 行動しない、成果を上げないのに、批評や文句ばかりをあげつらう人、現状に甘んじている人、他人に敬意を示さない人、他人に厳しく自分に甘い人、・・・などを許す組織風土では、リーダーシップは発現しないということになりましょうか。

 いつもご利用ありがとうございます。

 今月もどうぞよろしくお願いいたします。

 


 参考文献:
 『現代の経営[上]』 P.F.ドラッカー (ダイヤモンド社)
 https://www.amazon.co.jp/dp/B0081M7YFS/ref=nosim?tag=shachouinshin-22

 "The Practice of Management" Peter.F.Drucker HarperCollins e-books
 https://www.amazon.co.jp/dp/B003F1WM8E/ref=nosim?tag=shachouinshin-22

 Hitoshi Yonezu at 10:00  | ドラッカー

お知らせ
Hitoshi Yonezu
P.F.ドラッカーを読む読書ブログです。
 
ささや
< 2025年05月 >
S M T W T F S
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
インフォメーション
長野県・信州ブログコミュニティサイトナガブロ
ログイン

ホームページ制作 長野市 松本市-Web8