中国問題に切り込む石平さんの講演会のお知らせ

2012年07月10日

 最も中国の実情を知る石平氏が鋭く切り込む!

激動する中国の動向と今後必要な中国でのビジネス基礎知識

 日 時 : 7月19日木曜日 講演会13:30~15:00  交流会15:00~16:00 
 場 所 : THE SAIHOKUKAN HOTEL ボールルーム (長野ホテル犀北館)
 参加費 : 1,000円(ソフトドリンク付き)


 一般社団法人21世紀ニュービジネス協議会が、対外交流事業として主催する経済講演会です。

 私も会員になっておりまして、この講演会の企画を担当しております。

 テレビなどマスコミでも活躍されている石平(せきへい)さんが、激動する中国の動向と、今後必要な中国でのビジネス基礎知識をお話しされます。

 石平さんは1962年、中国四川省成都生まれ、北京大学哲学部を卒業後、四川大学哲学部講師を経て、1988年に来日、1995年、神戸大学大学院博士課程を修了されました。2007年には日本に帰化されました。中国や日中関係について精力的に講演活動や執筆活動をされている方です。

 このブログでも石平さんのご著書『中国人の正体』をご紹介したことがあります。

 参考ブログ「『中国人の正体』を読んで」
 http://highlyeffective.naganoblog.jp/e1007694.html

 私の知らなかった事実がたくさん紹介されていて大変興味深く拝読いたしました。

 石平さんはこの会のためにわざわざ長野までお出でくださるそうです。面白いお話をお聴きできそうです。

 21世紀ニュービジネス協議会の事業として行いますので、一般の方にもリーズナブルな参加費で聴講して頂けます。

 ビジネスで中国と関わりのある方、中国の政治経済社会に興味をおもちの方、中国のことをもっと知りたい方、ぜひご参加ください。

 お申し込みは、住所、氏名、電話番号を明記の上、協議会の事務局までお願いします。

 ファックス 026-217-1915
 メール   21nbc@avis.ne.jp 


 私も会場でお待ちしております。
 
  

 米津仁志 at 10:00  | 経済

日本の存在の希薄化

2010年06月28日

 先週、ある会合で、大学時代の友人と久しぶりに話をする機会があった。

 彼はいま日本で、外資系グローバル企業のファイナンス部門のマネージャーをしている。いくつかの業種を転職してきたが、一貫してファイナンスの専門家であり、海外の駐在も長い。


 その彼が心配していたことは、 日本の存在の希薄化である。


 彼が勤める会社には、日本だけで数千人の社員がいるが、日本の市場を重要視しておらず、今後、基本的には人員も設備も削減の方針とのこと。
 既に開発やマネジメントの拠点はアジアへ移り始めているそうで、自社施設の売却の仕事もしている。
 
 外資系の企業だから、特別日本にこだわることはない。ビジネスになるところへ自然に動いているのだ。


 海外でおこなわれたマネージャー研修では、アジア各国から同じ立場の同僚が集まったが、中国や韓国、インドなど、勢いのある国のマネージャーは、グループ討議で、おれがおれが、と自ら前へ前へどんどん出てきて、謙虚な日本人とは全くかみ合わなかったという。

 「このままではアジア諸国に追い越されてしまう、日本は本当にヤバイですよ!」と、彼は不安そうだった。


 外資系企業に勤めていると、いつどんな理由で解雇されてもおかしくないという厳しい一面がある。その中で生き抜いているエリート社員がそう言っているのだ。重みがあった。

 経済書を読めば国際マクロ経済のことは大体分かるが、実際に現場を聞いてみても、悲しいかな、こういう現実があるのだ。

 過去からつながってきた内需でなんとか生きている私のような地方のビジネスパーソンは、世界のことがよく分からないだけに、こういう話を身にしみて理解しなくてはいけないと思う。

 もうこの先、昔のような良い時代に後戻りすることはないという現実だ。


 日本が経済的に衰退するの仕方ないとしても、では、何で優位になるるのか?何が特徴の国か?

 人? 教育? 環境? 技術? 研究? サービス? 観光? 


 日本をよい国にするために、もう、もたもたしている余裕はないのではなかろうか。

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 米津仁志 at 10:00  | 経済

中国の原油輸入量

2010年06月03日

 1999年から2007年にかけて、日本の一日当たり原油輸入量は、428.8万バレルから410.2万バレルと減少しているのに対して、アメリカは884.4万バレルから1,044.6万バレルへと、およそ18%増えており、中国は74.2万バレルから330.6万バレルと、4倍以上に増加した。

 この期間、日本のGDPの成長率は、マイナス0.8%から2.6%の範囲、アメリカは1.81%から4.83%の範囲だった。

 中国は、この期間、7%以上の経済成長を維持しており、特に2003年から2007年までは10%以上の成長を果たしたので、原油の輸入量が増加したのは、当たり前と言えば当たり前のことだ。

 リーマンショック以降も、8%以上の経済成長を続けているため、今後更に原油の輸入量が増えていくことは確実であろう。

 13億人の人口を考えると、たとえどんなに環境にやさしい経済成長を目指したとしても、日本の原油輸入量を越えるのは必至であろうし、アメリカ並みの原油が必要になるのではなかろうか。

 中国がアフリカなどの資源国へ、経済的に進出していることは、つとに有名だ。

 我が国としては、今後の資源確保も重要な課題であるし、資源価格の上昇も見えすえておかねばならないだろう。

 参考サイト:『季刊 国際貿易と投資 Autumn 2008/No.73』
 http://www.iti.or.jp/kikan73/73stat.pdf

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 米津仁志 at 10:00  | 経済

空港のハブ化

2010年04月12日

 

 JALの経営が非常に難しい局面を迎えている昨今ですが、国交相が空港のハブ化問題に言及し、この問題も少し前進しそうな感じになってきました。

 日本の空港のハブ化は遅れました。今では韓国の仁川空港が立派なハブ空港になっていますから、日本各地の空港から仁川空港に飛び、そこから目的地へ乗り継いでいくのが、とても便利なのです。
 
 よいアイデアがあっても、強いリーダーシップをもって実現していかなければ、何もしない国、動かない国として、何でもスルーされるようになってしまいます。
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タグ :空港ハブ化

 米津仁志 at 10:00  | Comments(0) | 経済

日本にとっての輸出の大切さ

2010年02月18日

 『逆境を生き抜く 名経営者、先哲の箴言』において、北尾社長は2002年2月から2007年10月まで続いたいわゆる「いざなみ景気」について、この景気の一番の要因は、ゼロ金利や量的金融緩和など、日本銀行による異常な低金利政策と、円安に誘導してきた政府の輸出振興策だったとし、この期間に内需を刺激する政策が全くなされなかったことを問題視しておられる。


 先般、ある勉強会で、日本の実質GDP(国内総生産:2008年は約540兆円)と、その内訳である、個人消費、住宅消費、設備投資、民間在庫品増加、政府消費、公共投資、輸出、輸入などの、この15年の推移をグラフにしたものを比べてみた。
 そして、唯一、「輸出」のグラフだけが、これらの総合である実質GDPのグラフと相似形であることを見て、驚いた。

 実質GDPの約6割を占める「個人消費」は、GDPと似ていると言えなくもないが、「輸出」の推移は似ているどころか、瓜ふたつの形をしていたのだ。

 経済分析を「ぱっと見」で判断するというのは大変乱暴な話だが、実質GDPの十数パーセントを占めるにすぎない輸出が、実は日本のGDPの推移に最も関係している、すなわち、景気の変動に最も影響を与えていたのだ。

 冒頭に御紹介した北尾社長の考え方でわかるように、経済の構造が変わっていない現状においては、すぐに景気を回復するためには、やはり輸出部門がよくなるしかないのである。

 いまようやく回復しはじめたといわれる日本の製造業だが、なんとしても力強く回復して頂きたいと思った。


 私は直接的には輸出に関係が薄い仕事をしておりますので、後方から応援いたします。
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 参考文献:『逆境を生き抜く 名経営者、先哲の箴言』 北尾吉孝 (朝日新書)
   

 米津仁志 at 10:00  | Comments(3) | 経済

日本の財政赤字

2010年02月13日

 ギリシャの財政赤字が大問題となったが、日本の財政赤字は840兆円とも、1000兆円を超えるとも言われ、世界最大規模に膨らんでいる。

 どこの企業も、どこの家計もそうであるように、国といえども永遠に借金を増やし続けることは出来ない。 ましてや日本は人口が減少していくのである。

 今後、できる限り速やかに基礎的財政収支のバランスを取っていかねばならない。

 日本が莫大な財政赤字を抱えているにも関わらず、財政破綻の話が現実化しないのは、国債を引き受けているのがほぼ日本国民で、海外の引き受け手は6%程度であることと、政府の金融資産が約550兆円あるからである。
 
 ここが日本と、アメリカやギリシャとの大きな違いである。

 いま破綻懸念のある国は、海外から借金をしているので、貸し手が資金の供給をやめたら、お金が回らなくなってしまうのである。

 日本の場合は、自分たちでお金を出して、必要なもの、不要なものなどをたくさん作り、その結果、国債残高が残ってしまったという状況だ。

 だから、いまのところ、外国がお金を貸さなくなったら困る・・・という心配がない。
  
 そういう意味では、現在のように経済が大変なときには、いまだけの緊急的手段として、財政支出をする余地はまだ残っている。
 
 しかし、最終的には、収支バランスを取っていかねばならないから、そのあとの始末としては、消費税の増税が検討される可能性は非常に高くなってしまうだろう。

 世界の国々も、日本が消費税の税率を上げる余地があるところを担保として、いまは黙って見ているような感じがある。 
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 参考文献:『逆境を生き抜く 名経営者、先哲の箴言』 北尾吉孝 (朝日新書)
 
 『金融大崩壊「アメリカ金融帝国」の終焉』水野和夫(生活人新書)
 
 参考サイト:大和総研『財政赤字と通貨の信認:日本は大丈夫か?』
 http://www.dir.co.jp/souken/consulting/researcher/insite/090805.html
   

 米津仁志 at 10:15  | Comments(0) | 経済

パックスアメリカーナの終焉

2010年02月11日

 昨日ご紹介しました新書『逆境を生き抜く 名経営者、先哲の箴言』の後半部分は、世界経済や日本経済の状況について北尾社長の考え方が分かりやすく解説されています。
 
 世界経済に言及されている部分ついて、誤解を恐れずに簡単にまとめると、次のようになります。

 1.2008年のリーマンショックから始まった金融危機の原因は、「過剰流動性」と「過度のレバレッジ」にある。
 
 2.過剰流動性の原因は、金とドルの兌換を停止した1971年のニクソンショックを端緒とする、米ドルの大量発行にある。

 3.ニクソンショックの後、米ドルは、アメリカの経済力、政治力、軍事力を基盤として、世界から支えられてきたが、昨今のアメリカの双子の赤字(財政赤字、貿易赤字)は尋常な額ではなく、基軸通貨としての地位は危うい状況にある。(注:ドルの基軸通貨としての地位が崩れることは日本にとって大きな問題です。)

 4.しかし、それに代わる通貨も、いまのところない。

 5.アメリカの軍事力、経済力が陰りを見せている。アフガニスタン、イラクとの戦争をすすめ、市場原理主義ともいえる経済政策をとり、好き勝手を通したブッシュ政権は「パックスアメリカーナの終焉」を象徴する、アメリカが繁栄したよき時代の最後の政権になるかもしれない。

 6.今後はアメリカの一極主義から、多極化した世界に変わっていく。中国を中心としたアジアの時代になっていくだろう。

 以上のような枠組みについて、私は既に別の先生に2007年に教えて頂きましたが、当時は少々危ない、極端な考え方として見られていて、世の中にはほとんど受け入れられていませんでした。

 いまでもまだ、新聞やテレビなどでメジャーな論調として出てくることはないと思います。

 しかし、かの有名な、北尾社長がご著書に書かれているのですから、社会でもだんだんとコンセンサスが得られつつある話です。 
 
 にもかかわらず・・・

 いまだに、相変わらず、米ドルを支えようとしている日本は、いったいどういうつもりなのでしょうか???

 私にはとても気がかりなことです。
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 関連した私のブログ:『今後の政界経済』
 http://highlyeffective.naganoblog.jp/e208552.html
 昨日のブログ:『泣いて馬謖を斬る』
 http://highlyeffective.naganoblog.jp/e399790.html
 参考文献:『逆境を生き抜く 名経営者、先哲の箴言』 北尾吉孝 (朝日新書)
 
 SBIホールディングスの北尾社長は、2005年のライブドアによるニッポン放送買収騒動のときに、フジテレビのホワイトナイトとして登場し、一躍有名になりました。
 ご著書を拝読すると、立派な経営者であることがよくわかります。ぜひみなさまに読んで頂きたい本です。  

 米津仁志 at 10:00  | Comments(0) | 経済

米地銀の破たん

2009年10月03日

 昨年9月に勃発したリーマンショック以降、その真実がはっきり見えてこないアメリカの金融業界だが、証券会社の大幅な収益改善や、大手金融機関の経営の安定化など、よいニュースは目立っている。

 一方、あまり知られていない事実として、アメリカの地銀の経営破綻が相次いでいる。

 8月14日に閉鎖したアラバマ州のコロニアルバンクは今年最大の破綻と言われ、その総資産は250億ドル(1ドル90円として約2兆2500億円)、米連邦預金保険公社(FDIC)の預金保険の支出は28億ドル(約2520億円)だったという。

 FDICによると、2009年はこれまでに92行の銀行が破綻した。昨年1年間では25行だったというから、今年は破綻が大幅に増えている。預金保護のために、預金保険から今年だけで190億ドル(1兆7100億円)強が支出されているそうだ。

 サブプライムローン問題から始まった金融恐慌だが、アメリカの地方ではいまだにその始末が終わっていないことがうかがわれる。
 
 日本ではバブル崩壊後、不良資産の処理に相当な年月がかかってしまった。アメリカには日本の教訓を生かしてほしいのだが、分かっているのかどうか。 

 リーマンショックの全容でさえ、まだはっきり分かっていない。隠されている部分があるように思える。世界経済を一刻も早く回復させるために、実態を明らかにしていくことが必要だ。
 
 参考サイト:
 「ロイター」
 http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-11036420090816
 「NIKKEI NET」
 http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20090916AT2M1101O15092009.html
 http://www.nikkei.co.jp/news/main/20090815AT2M1500M15082009.html 

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 参考ブログ:
 『預金封鎖』http://highlyeffective.naganoblog.jp/e158119.html
 『今後の世界経済』http://highlyeffective.naganoblog.jp/e208552.html  

 米津仁志 at 10:26  | 経済

フランスのバカンス

2009年07月27日

 世界的な不況の最中だというのに、フランスでは相変わらず優雅に長期バカンスを取る人が多いという。日本では生産調整等の休暇はあっても、長期バカンスという雰囲気ではないだろう。

 私の友人が昨年から某企業のフランスの駐在責任者として赴任しているので、別件でメールが来たついでに、フランス人は、この時期に一体なぜそんなに休みをとっていられるのか、聞いてみた。

 以下は彼の回答から引用したものである。

 ①労働者に有利な休暇制度が浸透していること。(未消化の有給休暇は企業が買取る仕組みのため、企業側が積極的に有給消化を奨励している。)

 ②手厚い社会保障制度があること。(失業しても、2年近く、失業直前の手取り給与とほぼ同額の失業保険が支給される。ただし、手厚い社会保障を支えるため、消費税は約20%である。)

 ③給与上昇よりも休暇取得による満足度向上を重視する人生観や労働観をもつ人々が多いように感じられること。(ワーク・ライフバランスでは先進国といえるかもしれない。)

 ④地方に別荘を持つ人が少なくなく、休暇といっても、別荘でお金を掛けずに過ごす人も多い様子であること。(タクシーの運転手さんからも、夏は南仏の別荘で過ごすと聞かされた。)

 このうち①~③は、景気が良い時期には、フランス企業の国際競争力の低さの原因と指摘されていたことで、これで経済がよく回るとはいえないだろう。
 ただ、フランスには、日本が近年目指してきたアメリカ型経済とは異なる面が多々あり、人々はそれなりに暮らしているようにみえるそうだ。

 日本も他国の真似ばかりしていないで、日本らしい幸せな生き方を堂々と披露していきたいですね。
   

 米津仁志 at 10:00  | Comments(0) | 経済

新自由主義はどこからきたか?

2009年02月21日

 ミルトン・フリードマン(1912-2006)は、ノーベル経済学賞を受賞したアメリカの有名な経済学者である。
 
 私が大学で経済学を学んでいた20年前には、経済政策に関してマネタリストとケインジアンという対立の構図があった。

 ケインジアンとはケインズの理論を、マネタリストはフリードマンの理論を信奉している人たちのことである。ケインジアンVSマネタリストの大まかな理解としては、財政政策を有効とするのが、ケインジアンであり、金融政策、とりわけ貨幣供給量の調節を有効とするのがマネタリストであった。
 マネタリストは財政政策を無効とするわけだから、その帰結として小さな政府を推進することになる。

 当時、アメリカは時あたかもレーガン政権である。レーガン大統領はフリードマンやサプライサイド経済学の影響を受けて、小さな政府、規制緩和、減税という供給重視の政策を進めていた。いわゆるレーガノミックスである。イギリスではサッチャー首相、日本では中曽根総理の時代だ。

 ベンジャミン・フルフォードさんの『アメリカが隠し続ける金融危機の真実』によれば、フリードマンこそが、いま盛んに論じられている新自由主義の礎を作った人物であり、レーガノミックスが、いまに続く新自由主義の始まりだという。

 私の記憶が正しければ、少なくとも20年前、大学では「新自由主義」という言葉をほとんど聞いたことがなかった。フリードマンの論理はマネタリズムと呼ばれていた。マネタリズムの派生的な一派としてサプライサイド経済学があった。しかも、マネタリストにせよ、サプライサイダーにせよ、その論理はあまり評価をされていなかった。

 「ラッファー曲線」がサイプライサイダーを嘲笑する話題として、マクロ経済学の教科書に掲載されていたのを思い出す。当時はケインジアンがほとんどを占め、マネタリズムやサプライサイドの論理を唱える経済学者は異端派だったはずだ。

 そのマネタリズムが、いつの間にか、新自由主義に変わったのか?それとも、新自由主義とは思想を含む大きな概念のことをいうのか?

 いまでは新自由主義らしきものを唱える経済学者が一群を形成している。

 「競争市場は常に公平だ」というフリードマンの考え方が、レーガノミックスに影響し、世帯の格差を広げた。(いまアメリカの人口の1%の人々に総資産の40%が集中しているそうだ。)この流れが昨今の日本の新自由主義、小泉内閣の政策にもつながっているという。

 そうなのだろうか・・・あのマネタリズムがいまの新自由主義なのか、新自由主義が見直されようとしているが、日本の経済政策が新自由主義といえるのかどうか、もう少し複雑のような気がするが・・・。

 (この本はお世話になっているN先生にご紹介して頂いたのですが、ジャーナリストだから書ける興味深い話題がたくさん出てきます。論理についてはやや大雑把な箇所もありますので、一つの考え方として、ご参考になさってください。また私の上記の文章ですが、しばらく経済理論の勉強をしておりませんので、わからないことが多く、お詳しい方に教えて頂きたいと思います。何卒よろしくお願いいたします。)

 参考文献:『アメリカが隠し続ける金融危機の真実』 ベンジャミン・フルフォード著 (青春出版社)
 
   

 米津仁志 at 23:18  | Comments(0) | 経済

今後の世界経済

2009年02月08日

 水野和夫さんは三菱UFJ証券のチーフエコノミストです。そのご著書『金融大崩壊「アメリカ金融帝国」の終焉』を拝読いたしました。
 この書籍は新書でコンパクトながら、今回の金融危機の意味と背景が分かりやすく解説されています。思い切った仮説もたてられていて大変興味深い書籍です。ぜひ読んでみてください。

 以下の文章は、第5章『「アメリカ金融帝国」終焉後の世界』から、ドルの今後について書かれた部分を内容が変わらないように要約したものです。

 (以下要約引用)
 アメリカの国債の購入者は、新規国債発行額が年間平均4000億ドル以上になった04年以降、外国人の割合が94%に達しています。しかし、アメリカは財政赤字のため、国債償還のあてがありません。公的資金の注入はドル危機の危険をはらんでいます。
 アメリカは外国人が国債を購入しないと、景気対策も金融安定化策も事実上できなくなってしまいました。09年度に08年度に比べて国債が5500億ドル増発されるとすると、アメリカの金融機関が新たに購入できるのがせいぜい2000億ドルくらいです。差し引き3500億ドルが外国人の追加購入額となります。ヨーロッパや中国、日本も不況対策として財政出動をしますので、アメリカ国債を追加購入していく余裕はないはずです。国債発行のたびにドルが下落していく可能性が高いでしょう。
 各国政府はドル急落の事態を受けて、ドル防衛策の名目で国債を買うことになります。値下がりするのが分かっているドル建てのアメリカ国債の購入を、各国が応じるのかどうかです。アメリカは円建ての国債を発行せざるをえなくなるかもしれません。結局最も多くの出資に応じるのは、中国と中東と日本になるでしょう。
 仮にドルの買い支えに成功しても、次の5年が過ぎるころ、アメリカがこれまでと同じような世界の中心、あるいは世界の最後の買い手として世界経済を引っ張っていくことはおそらくできないでしょう。
 (以上)

 私が日頃ご指導頂いているN先生は、これとほぼ同じことを一昨年から指摘されておられました。この仮説が現実になるとしたら、世界経済の構図は大きく変わることになります。
 大東亜戦争以降、アメリカはずっと世界の中心でした。世界のどこへ行っても、ドルは最も信頼される通貨だったのです。しかし、振り返ってみれば、あれだけ隆盛を誇ったローマ帝国も、大英帝国も、終焉を迎えました。アメリカの覇権だけが永遠に続くのでしょうか。

 20年前のことです。大学の経済政策の講義で、有名な教授が、
 「パクス・ブリタニカのあと、アメリカが覇権をとった。しかし、そのパクス・アメリカーナも終わろうとしている。次の時代は経済力をもとにしたパクス・ジャポニカである。」
 というような話をされました。その話を聞いて、これから日本は経済の国としてどんどん良くなっていくのだな~と、将来に夢を描いたことを思い出しました。

 アメリカではIT革命の起ころうとしていた時期ですが、経済はガタガタで、旅行に行くにも危険な一面がありました。日本はバブル経済の末期で、経済の状況はまるでお祭り騒ぎでした。多くの人々が経済の繁栄が永久に続くものだと勘違いをしていたのです。

 件の教授の話は、好調な日本経済のもとで、思わず出てきてしまったものだと思います。その後、大方の予想は外れ、日本のバブルは崩壊してしまい、教授の唱えたパクス・ジャポニカも夢と化しました。

 いま日本は、アメリカに頼っている政治・経済体制を、真剣に見直さなくてはならない時期に来ているのではないでしょうか。
 我が国が、小さくとも、強く、意思のある、平和な国家であり続けたらうれしいです。国民一人一人が人間性を高め、独立自尊の精神をもって、誇りと自信に満ち満ちているような状態になったらいいな~と思います。

 参考文献 『金融大崩壊「アメリカ金融帝国」の終焉』水野和夫(生活人新書)
  

 米津仁志 at 22:00  | Comments(0) | 経済

どうなる 経済

2009年02月07日

 書店の経済書コーナーに立ち寄ると、このご時世のこと、経済情勢について解説した書籍がずらずらと並んでいる。

 私見だが、経済書を書くエコノミストには大きく分けて二系統ある。一方は一流大学を卒業し、国内もしくはアメリカの大学院で経済学の学位をとって、研究所の研究員や大学教授になっている正統派のエコノミスト、かたやアカデミックの世界ではなく、実業や金融機関などで活躍し、その実体験から独自の論理を展開し、やや秘密めいたことや預言的なことまで書いてしまう異端派のエコノミストである。

 私が大学や大学院で学んでいたときには、当然のことながら前者の書籍しか読まなかった。正統派のエコノミストは、一次データからの根拠を示し、経済学の論理をもとに実証を組み立てて、科学の流儀を守っている。
 後者の書籍は興味を引くストーリー性はあるものの、論理やデータなどについて、主観性が高いことがある。万が一、論文作成などで後者の書籍を参考にしたら、指導教授に怒られてしまったことだろう。

 学生ではない今となっては、どんな本でも読める。正直に言ってしまうと、読む側としては後者の書籍のほうが面白い。正統派の書籍はやや難しく、経済学の知識がないと理解しずらい部分もある。

 私は経済書を読むことで、ビジネスや生活の羅針盤にしたいのだから、将来の予想や予測が当たったり、考える道筋をつけてくれたりしないと、読む意味がない。その意味では、正統派エコノミストだから正しいとは一概に言えないのである。

 とりわけここ1~2年の経済の動きを振り返ってみると、あり得ないようなことが起こっているからかもしれないが、正統派よりも異端派のエコノミストが主張してきたことのほうが当たっているのである。異端派が言い続けてきたことを、今になってようやく正統派が主張し始めているという部分もある。

 さて、以下は、上記とは独立した話題である。

 藤原直哉さんのご著書『アメリカ発2009年世界恐慌』を読んだ。この本は有名な経済アナリストである藤原さんが、金融危機から始まった今回の景気後退について解説し、今後向かうべき方向性について提案している書籍である。

 この本では、興味深い箇所が3か所あった。

 一つ目は、アメリカが金融危機の対処に行き詰まり、ドルの流通に関して大きなルール変更をせざるを得ないようになると予想していることである。この件については、やや飛躍している話かと思っていたが、最近はいろいろな方が同じようなことを言い始めている。

 二つ目は、理屈や理念で集まった組織や集団は、エネルギーが抜けると崩壊は早いということ。金融市場は、儲かるか、損をするかという理屈だけで集まっているから、崩壊が早い。
 理屈で集まっている国家も崩壊は早い。日本は地縁や血縁で構成されている国だから、失敗があっても軟着陸ができ、崩壊することはないという。

 三つ目は、今後のビジネスでは個性が大切になるということ。ただものを売るのではなく、この人の問題解決のために何ができるのか、この人のために「誂える」という、御用達の発想が重要になるとのことである。

 面白い書籍ですので、ご参考になさってください。
 
 参考文献 『アメリカ発 2009年 世界大恐慌』藤原直哉著(あ・うん)

  

 米津仁志 at 20:10  | Comments(0) | 経済

預金封鎖

2008年10月13日

 本日(2008年10月13日)の日本経済新聞によれば、ヨーロッパでは預金封鎖が現実のものとなっている。深刻な金融危機に陥っているアイスランドは、大手三銀行を政府の管理下に移行したが、某行が英国で展開するインターネットバンキングは口座が凍結され、顧客が預金を引き出せなくなっているという。アイスランドは国内の個人預金は保護する方針だが、外国人については保護策を打ち出さなかった。また英国の自治体などがアイスランドの銀行に少なくとも8億ポンド(約1400億円)を預けていることも分かった。
 アイスランドのこの措置に対抗して、英国政府はなんとテロ対策法を持ち出し、英国内にあるアイスランドの銀行資産を差し押さえてしまった。両国がお互いに預かっている資産を人質にして、外交問題にまでしてしまったのだ。個人向け口座などについては払い戻しの合意も出来つつあるようだが、先行き不透明である。
 一方、同日のYOMIURI ONLINEによれば、欧州中央銀行(ECB)、イングランド銀行、スイス国民銀行の欧州の3中央銀行は13日、金融機関が希望するドル資金を全額供給すると発表した。短期のドル資金を担保の範囲内で無制限に供給する異例の措置だという。
 米証券会社の破綻を発端として一気に広がった世界金融不安に対応して、各国が矢継ぎ早に様々な金融政策を打ち出している。しかし、巨額の損失をどうやって埋めていくのか、依然として先は見えていない。アメリカのドル資金不足から今後相当なドルの増刷の可能性もある。ドル増刷は過度なインフレと大幅なドル安の危険性をはらんでいる。
 ちなみに、の話だが、明治初期に1ドル=1円で始まった円相場は、太平洋戦争開戦直前の1940年には1ドル=4円台だったという。  

 米津仁志 at 23:15  | Comments(0) | 経済

金融不安・・・債券価格と利子率

2008年10月11日

 先日、ある勉強会で国際金融を学んでいたとき、債券価格と利子率はなぜトレードオフの関係にあるのかという話になった。利子率が上昇すれば債券価格は下落し、利子率が下落すれば債券価格は上昇するという一般的な命題がある。これはなぜか?という問いである。
 私はすぐに大学のマクロ経済学の教科書を思い浮かべた。貨幣需要の章にこれを証明する計算式が出てきたよな、さて~?と思ったのだ。
 教科書で勉強していた学生時代は、社会での体験がなく、実際の経済を知らなかった。計算式は覚えたが、現実の経済と結びつけることができなかった。今は感覚的に債券価格と利子率の関係を理解できるが、勉強したはずの計算式はすっかり忘れてしまった。
 この問題を提起してくださった友人の某君は工学部の出身だったので「それはマクロ経済学の教科書で、基本として出ているところなんだよ」と偉そうなことを言ってしまったが、その証明を説明しようとした次の言葉が出なかった。そのときは先生が説明してくださったので、それで済んだのだが、我ながら情けなくなった。家に帰ったら教科書をもう一度開いて、この命題の証明を確かめてみようと思った。
 感覚的に理解するには、満期に満額で戻ってくる割引債を考えると分かりやすい。1年後に100円で戻ってくる割引債があるとして、いま約5%の利子率ならば割引債の購入価格は95円である。満期までに5円の利子がついて100円で戻ってくるからである。同じ理屈で約20%の利子率ならば、83円の価格で購入することが出来る。1年後に17円の利子がついて100円で満期となるからである。5%のときには95円で、20%のとき83円であるという規則性を考えるだけでも、利子率と債券価格が逆に動くということが何となく理解できる。
 さて、教科書を開くと、やはり明快な計算式が出ていた。ここでその式を展開してみたいのだが、分母も分数となる分数や、べき指数をワープロでどうやって表現するのかが分からない。仕方ないので言葉で説明してみよう。
 現在から将来にわたって毎年1円の利子の支払いが約束されている満期のない債券があるとして、その現在の価格をPとする。いま利子率をiとするならば1年後に受け取る利子1円の現在価値は1/(1+i)となる。同様に2年後は(1+i)の2乗分の1となる。3年後、4年後も同様に計算できるから、この割引債の現在価値はこれらの無限に約束されている利子を合計したものである。つまり初項が1/(1+i)、項比が1/(1+i)の無限等比級数の和となる。途中を省くが、無限等比級数の和の公式により展開すると、最終的にP=1/iとなるのである。この関係式によりPとiは逆に動くことがわかる。って、この説明では分かりずらい・・・参考文献をご覧ください。
 実例を挙げてみよう。昨日、10月10日の報道によると、このところの金融不安が債券の売却につながり、債券価格は下落している。長期金利の指標となる新発10年物国債の流通利回りは一時、前日終値比0.11%高い1.580%まで上昇した。債券価格が下落したので、利回りは上昇したのである。株から国債に向かっていた資金が、国債も売って、より安全な現金に向かっているらしい。
 実はこの論理は株価や地価にも当てはまるのである。金利が上がると株価が下がるとか、地価が下落するとかいう、そのことである。
 論理は論理だが・・・アメリカの金融不安を発端とした世界の株式市場の大暴落は、今後何が起こることを予言しているのだろうか。
参考文献:『マクロ経済学』吉川洋(岩波書店)
  

 米津仁志 at 22:31  | Comments(0) | 経済

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