パックスアメリカーナの終焉

2010年02月11日

 昨日ご紹介しました新書『逆境を生き抜く 名経営者、先哲の箴言』の後半部分は、世界経済や日本経済の状況について北尾社長の考え方が分かりやすく解説されています。
 
 世界経済に言及されている部分ついて、誤解を恐れずに簡単にまとめると、次のようになります。

 1.2008年のリーマンショックから始まった金融危機の原因は、「過剰流動性」と「過度のレバレッジ」にある。
 
 2.過剰流動性の原因は、金とドルの兌換を停止した1971年のニクソンショックを端緒とする、米ドルの大量発行にある。

 3.ニクソンショックの後、米ドルは、アメリカの経済力、政治力、軍事力を基盤として、世界から支えられてきたが、昨今のアメリカの双子の赤字(財政赤字、貿易赤字)は尋常な額ではなく、基軸通貨としての地位は危うい状況にある。(注:ドルの基軸通貨としての地位が崩れることは日本にとって大きな問題です。)

 4.しかし、それに代わる通貨も、いまのところない。

 5.アメリカの軍事力、経済力が陰りを見せている。アフガニスタン、イラクとの戦争をすすめ、市場原理主義ともいえる経済政策をとり、好き勝手を通したブッシュ政権は「パックスアメリカーナの終焉」を象徴する、アメリカが繁栄したよき時代の最後の政権になるかもしれない。

 6.今後はアメリカの一極主義から、多極化した世界に変わっていく。中国を中心としたアジアの時代になっていくだろう。

 以上のような枠組みについて、私は既に別の先生に2007年に教えて頂きましたが、当時は少々危ない、極端な考え方として見られていて、世の中にはほとんど受け入れられていませんでした。

 いまでもまだ、新聞やテレビなどでメジャーな論調として出てくることはないと思います。

 しかし、かの有名な、北尾社長がご著書に書かれているのですから、社会でもだんだんとコンセンサスが得られつつある話です。 
 
 にもかかわらず・・・

 いまだに、相変わらず、米ドルを支えようとしている日本は、いったいどういうつもりなのでしょうか???

 私にはとても気がかりなことです。
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 参考文献:『逆境を生き抜く 名経営者、先哲の箴言』 北尾吉孝 (朝日新書)
 
 SBIホールディングスの北尾社長は、2005年のライブドアによるニッポン放送買収騒動のときに、フジテレビのホワイトナイトとして登場し、一躍有名になりました。
 ご著書を拝読すると、立派な経営者であることがよくわかります。ぜひみなさまに読んで頂きたい本です。

 Hitoshi Yonezu at 10:00  | Comments(0) | 経済

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