祈りとは

2013年12月13日

 昨日の朝は大久保秀夫塾のセミナーで学び、夜はお世話になっている先生に相談に行きました。

 人生や仕事において新しい問題は常に発生してきましたし、それぞれ簡単に解決できるものではありませんでしたが、長期で見ればすべて解決してきました。さまざまな方々の教えに触れ、ご指導を頂いたおかげです。よい御縁を頂いて本当にありがたいことです。


 人は困ったことが起こると、知らず知らずのうちに祈りをかけていることがあります。

 昨夜、先生は「困ったからといって簡単に宗教に逃げてはいけない」というお話をされました。宗教に助けられると、その時点で自分で考え、解決する、という行動をとめて、思考停止になってしまうからです。

 私は、いままで宗教に逃げることはなかったですが、祈るということについていえば、いつも祈りは捧げてきました。

 『「助けて」と言える国へ』(奥田知志・茂木健一郎著)より引用します。
 
 僕はやはり”祈り”とは、どうすることもできないものに対する、ある種の心のおさまりのつけ方だと思う。それ以外何もできないという。震災もそうですけど、何でああなってしまったのかというと、それはわからないし、どうすることもできない。そういうときに”魂”というものを考えざるを得ない。祈りが生物的にどんな意味があるのかわからないですし、それを説明する進化論的な議論があるのかもしれないですけど、とりあえず祈るしかないんですね。

     『「助けて」と言える国へ』 p199 奥田知志さんの発言より引用


 私は祈ることによっていままでずいぶん癒されてきたと思います。

 いくら祈っても、明確な答えや正しい結果が出てくるわけではないですけどね。

 奥田さんが述べておられるように、おさまらせようとした、というのが正しいのかもしれません。

 自分では満足しています。

 一年のうちでも全国的な”祈り”の季節である(笑)年末年始はもう近いですね・・・・・・

  


 参考文献:『「助けて」と言える国へ』 奥田知志 茂木健一郎 (集英社新書)
 

 参考ブログ:祈りのコツ
 http://highlyeffective.naganoblog.jp/e1027579.html
  

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『「新しい働き方」ができる人の時代』を読んで

2013年12月04日

 セス・ゴーディンさんのご著書(神田昌典さん監訳)『「新しい働き方」ができる人の時代』を拝読いたしました。

 セス・ゴーディンさんは、Yahoo!の元副社長で、『パーミッションマーケティング』などマーケティング関係のたくさんの著作を出されている有名な作家です。神田昌典さんはマーケティングで有名な作家、コンサルタントですね。
 
 ある勉強会で講師を担当された大学の先生が紹介されていたので読んでみることにしました。

 題名にある「新しい働き方」とは「アーティストのように、才能を全開にして働くこと」(p29)です。

 アーティストとは「豊かな発想をもち、既存の枠にとらわれず、自由に、新しい価値を生み出していける人」すべてを指す(p30)そうです。

 アーティストは組織のかなめとなって人々に刺激を与え、人に与えることを実践します。(p179)

 「利他的に振る舞えるのは、すでに成功して、あり余るほどもっている人だけでは?」と思うのは間違いです。逆説的ですが、実は世界でもっとも成功しているのは、お金を目的にしていない人たちなのです。

         『「新しい働き方」ができる人の時代』 p179より引用 
    
  
 一流の客室乗務員は、お金や見返りを求めてお客さまの接待をしているのではありません。

 ブリティッシュ・エアウェイズのファーストクラスの客室乗務員は、疲れきった横柄な金持ちを相手に、何時間もサービスをしなければなりません。こういった顧客たちは自分で頼んだサービスを、あとから平気で突っぱねることも多いのです。
 私が乗務員たちから直接聞いた話では、そのような職場でやっていくコツは、サービスをするのが客のためでも会社のためでもなく、自分のためだと思うことだそうです。

         『「新しい働き方」ができる人の時代』 p180より引用


 「この仕事を通じて自分は成長できる!」「人のお役に立てる!」という信念があればこそ、つらい仕事にも充実感が生まれ、楽しみも出てくるのでしょう。

 この本は神田昌典さんのご著書ではありませんが、神田さんが監訳を担当されています。
 
 いまから十数年前は神田さんの本が出版されるたびにむさぼるように読んでいました。最近は神田さんの関係する本をまったく読んでいません。

 読んだ後の結果ですが、この本は、私は読まなくてもよかったです。

 かつて神田さんの本を読んだことは、自分の成長のために通らなくてはならなかった道だったのだ、と考えています。(成長するにも段階がありますものね。)

 ご興味のある方は読んでみてください。

  


 参考文献:『「新しい働き方」ができる人の時代』 セス・ゴーディン(著) 神田昌典(監訳) (三笠書房)
 
  

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『「助けて」と言える国へ』を読んで

2013年11月29日

 奥田知志さんと茂木健一郎さんの対談を記録した新書『「助けて」と言える国へ』を拝読いたしました。

 奥田さんは1963年滋賀県生まれ、日本バプテスト連盟・東八幡キリスト教会牧師で、NPO法人「北九州ホームレス支援機構」理事長を務めておられます。
 茂木さんは1962年生まれ、脳科学者で、ソニーコンピューターサイエンス研究所シニアリサーチャーを務めておられます。

 11月に博多で開催されたドラッカー学会で奥田さんのご講演をお聞きし、その場で購入しました。「絆が人を生かす」の言葉とともに奥田さんがサインをしてくださいました。

 奥田さんはホームレス支援を続けてきた方です。どうして茂木さんとの対談なのだろう?と思いましたが、NHKの番組『プロフェッショナル 仕事の流儀』が機縁になっているようです。また、茂木さんは人々の連帯と倫理について社会的に発信をされてきた方なのだそうです。

 気になった部分を引用いたします。

 奥田 不登校がつらいのは、本来学校に行くか行かないかということがその子の人生の一部にすぎないにもかかわらず、その子の全部であるかのように周りや本人が思ってしまうことです。中学生にとって自己実現できる場所が学校しかない。クラブ活動も塾も学校を核として存在している、いわば付属品みたいなものです。

              『「助けて」と言える国へ』 p101-102より引用


 奥田 支援の現場で「ホームレスになった理由」を尋ねます。最後の引き金は何であったか。第一は「仕事」にまつわることです。失業とか。しかし、少なくない答えとして「家族と別れた」とか「離婚した」ということを言う人がいます。つまり、縁が切れて孤立するとき、人は働く意欲をなくし、金とも切れる。縁の切れ目が金の切れ目というわけです。人は、誰かのため、家族のために働くという面がある。だから、金がないから無縁になる一方で、無縁になったから仕事ができなくなり、金がなくなったということもあるわけです。

              『「助けて」と言える国へ』 p153-154より引用


 「なぜ、困窮者を支援するのか」。私はこの問い自体にたじろぐ。質問者に問い返したい。「なぜ、そんなことを問わねばならないのか」と。「困窮者を支援することに、理由が必要か」と。この質問の根っこには、困窮は自業自得であり、助ける必要などないという現代社会の掟が見え隠れする。あえて答えるならば、こう言いたい。「それが人間だからだ」「それが社会だからだ」
 なぜ、そう答えるのか。それは「人は一人では生きていけない」からだ。野宿者であろうとが、富裕層であろうが同じこと。この事実からは誰も自由ではない。私も、野宿者も、同じ現実を生きている。どちらも誰かを必要としている。「自己責任だ」ですますなら、社会も国家も不要となる。

             『「助けて」と言える国へ』  p208より引用


 ご講演をお聞きしなければ、自分からは絶対に読むことのなかった本です。

 私とホームレス支援はだいぶ離れたところにありましたが、この本を読んで自分の至らなさに気づきました。

 引用した部分はすべて奥田さんの言葉です。茂木さんよりも奥田さんのおっしゃっていることのほうに学びがありました。

 みなさまもどうぞご参考になさってください。

  


 参考文献:『「助けて」と言える国へ』 奥田知志 茂木健一郎 (集英社新書)
 


  

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仕事に打ち込むとき

2013年11月25日

 白取春彦さんの『生きるための哲学』より引用します。

 人に仕事が必要なのは、そこから得る賃金でさまざまな支払いをしたり、過剰な贅沢をするためではない。人は、仕事によって良い人間となることができるからだ。仕事をこなしていくことで少しずつ良い人間になり、総じて良い人生を送れるようになる。
 たとえば、仕事に打ち込むことによって、悪から離れることができる。妄想や悪をなす時間と機会を仕事が奪ってくれるからだ。犯罪者やギャンブラーを見れば明らかだ。彼らは自分の仕事に身を打ち込むことを知らない。

                    『生きるための哲学』より引用

 
 「大切な人を亡くして悲しかったら、一心に念仏を唱えなさい。そうすれば、少なくともその間は、悲しさから離れることができるから」という話を聞いたことがあります。

 同じような理屈だと思いました。仕事に打ち込むことができれば、少なくともその間は悪から離れることができます。


 良い仕事をすることで、悪から離れ、良い人間になる・・・・・・

 そのためには、打ち込んでいる仕事が社会に価値をもたらすものであるべきです。

 現代の仕事はほとんどの場合、組織で行われています。一人で仕事をしている人のほうが圧倒的に少ないでしょう。

 そうなると、仕事に打ち込むといっても、その仕事の内容は組織に依存する部分が非常に多いです。

 組織の中で一人がんばるということも大切ですが、一人の力ではどうしようもない部分もあります。

 仕事を通じて良い人間になるためには、良い組織に所属していなければなりません。
 
 仕事において、もはや自分のことだけで済まされることはなくなりました。組織との関係を避けるわけにはいきません。

 個人として仕事に熱心に打ち込む、と同時に、所属する組織がいかなる理念をもっているか、ということも問われるわけです。
  
  


 参考文献:『生きるための哲学』 白取春彦 (ディスカヴァー・トゥエンティワン)
 
  

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『ど真剣に生きる』を読んで

2013年11月20日

 稲盛和夫さんのご著書『ど真剣に生きる』を拝読いたしました。

 この本は、NHK教育テレビにて2006年6月に放送された「NHK知るを楽しむ 人生の歩き方~稲盛和夫 ど真剣に生きる」をもとに再構成した本です。各章は番組のテキストを、章末のインタビュー採録は番組でのインタビューをまとめたものだそうです。

 稲盛さんは、私にとっては人生の支えです。

 お会いしたことはありませんし、盛和塾にも入っておりませんが、困ったときにはいつも稲盛さんの本を読み返してきました。

 相談する人がいなかった30代のころは、稲盛さんの本が頼りでした。大きな問題があったとき、心細いとき、私には稲盛さんの本を読むしかなかったです。(いまでは相談する人が身近にたくさんいます。)

 この本でも、いつもながらの力強い稲盛節を読むことができます。

 図らずも、多くの部下を率い、集団の運命を預かる身になってからは、リーダーは根気強く仕事や人生の意義を語り、それを全員で共有することが大切だと気づきました。また、そのためには、仲間に説き続けなければならないこと、またそうすることで、心が一つに結ばれた最も強い集団になるということを知りました。

                 『ど真剣に生きる』 p78より引用


 昨今はやりの「会社は誰のものか」という問いを受ければ、私は躊躇なく「全従業員の物心両面の幸福のためにある」と答えるでしょう。そして、「お客様、取引業者さん、地域の方々をはじめ、企業をとりまくすべての人々のために存在している」と続けるに違いありません。
 
                 『ど真剣に生きる』 p107より引用


 才能とは、集団を幸福へ導くために天がリーダーに与えてくれた資質だと考えるべきです。あなたでなければならない必然性はなく、他の人でもいいはずなのです。ならば、才能を授かった者は、それを世のため人のために使うべきであって、自分のためだけに使ってはならないはずです。
 集団のリーダーになろうという人は、自分を大事にしてはいけないのです。自分を脇に置いて、集団のことを最優先で考えられるような人でなければ、決して経営者にはなってはいけないのです。

                 『ど真剣に生きる』 p109より引用


 どのご著書を拝読しても、同じような話が出てくるのですが、何度でも読んでしまいます。
 
 「またこの話だな・・・」と思いながらも、真剣に読んでいる自分がいます。

 稲盛さんには本当に感謝しています。(御礼としてせめてJALに乗ります。)

 みなさまもどうぞご参考になさってください。

  




 参考文献:『ど真剣に生きる』 稲盛和夫 (NHK出版生活人新書)
 

  

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『カネ遣いという教養』を読んで

2013年11月11日

 藤原敬之さんのご著書『カネ遣いという教養』を拝読いたしました。

 藤原さんは1959年大阪生まれ、一橋大学法学部卒業後、農林中金、野村投資顧問、クレディ・スイス、日興アセットなどで資産運用の業務をなさっておられました。現在は波多野聖のペンネームで小説を執筆されています。本名での著作には『日本人はなぜ株で損をするのか?』があります。

 書店でこの本の帯に書かれているキャッチコピーに目が留まりました。

 「箸置きに20万円、眼鏡に80万円、文具、オーディオに高級車一台分・・・・・・。身銭を切らなければ己は磨かれない。」

 この人は一体何をしてきたのだろう???思わず手に取ってしまいました。

 この本を紹介してしまっていいでしょうか・・・・・みなさまを底知れない恐ろしい世界へ引きずり込んでしまうかもしれません。

 ファンドマネージャーとして億単位の収入を得ていた藤原さんは、かつていろいろなことに引き込まれ、カネを使い続けました。いまは高給を得られる職を辞し、二度の離婚でカネはすべて失ったそうですが、その散財に一切後悔をされていないそうです。

 そのカネの使い方を公開したのが本書です。

 破滅的な感じはしませんし、悲しい結末もありません。借金はせずに、もっている範囲内でカネを遣っていたからだろうと思います。
 
 例えば、本の買い方については次のように述べておられます。

 本へのカネ遣いで大事なのは、見つけた時に買う、ということです。
 「面白そうだけど、今は必要ないか・・・・・・」
 「読んでみたいけど、ちょっと高いなぁ」
 そんな時こそ買うことです。
 本は生モノです。眼の前に現れた時が一番新鮮で美味しい。その時に必ず買うことです。そして積ん読で良いのです。
 本というソフトはパッケージが優れています。積んでおくだけで必ずそれらが目に入って来ます。そうすればいつでも手にとれます。

               『カネ遣いという教養』 p61より引用
  

 これは同感です。そのとき逃してしまったら二度と会えないかもしれません。私も本はどんどん買うので、どんどん溜まってしまいます。

 本ならかわいいものですが、カメラとかオーディオとか絵画とか茶器とか時計とか、髙いものがいろいろ出てきますよ(笑)

 一方、友達についてはこんなことが書いてあります。

 友人へのカネ遣いは簡単です。五分と五分。それ以上でもそれ以下でもありません。
 友はこの世で最も大事な存在だからです。友とは全肯定する存在です。戦略的に対応する他者とは違います。肉親や配偶者とも違います。
 どんなことがあっても受け入れる。その姿勢を持って一緒にいることで気分が良いのが友です。大人になっての友とはそういうものだと思っています。

             『カネ遣いという教養 p94-95より引用

 
 遣いたいだけカネを遣うと、その先に何かが見えてくるのかもしれませんね。

 カネを遣う話ばかりですが、いやらしさは感じませんでした。カネを遣うならそこまでいかなくっちゃ、中途半端に遣うよりせいせいしています。

 煎茶の話などを読んだら、自分もやってみたくなりましたし。「教養」はマーケティングのうえでのひっかけですから、そういう難しい視点ではなくて読み物として読めば楽しいです。

 この本を機内で読んだらおもしろくて、高揚してきて、帰り道いろいろお買い物をしてしまったことを打ち明けておきます。

 みなさまどうぞお気を付けくださいませ。  

  


 
 参考文献:『カネ遣いという教養』 藤原敬之 (新潮新書)
 

  

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『やりたいことをぜんぶ実現する方法』を読んで

2013年10月18日

 ゆうきゆうさんのご著書『やりたいことをぜんぶ実現する方法』を拝読いたしました。

 ゆうきさんは東京大学医学部卒業、精神科医、作家として活躍されています。また、ゆうメンタルクリニックグループの総院長として四つのメンタルクリニックを経営されています。研修医時代からメールマガジンを発行し、読者数は16万人、ウェブサイトは1億ヒットを記録するそうです。

 この本は、著者が実践している「夢をかなえる27の心の習慣」を教えてくれるものです。精神科医が書いた自己啓発本ということで興味をもち読んでみました。

 目標を失ってしまったとき、生きがいとはなんだろう、と考えたとき、とにかく強制的にでも二択にしてみるとよいでそうです。

 「何もしないでボーッとする」「本を読む」などが思いついたら、「じゃあ、どっちが生きがいや目標につながるだろう?」と考えてみる。
 すると「まぁ、本を読んで知識を得れば、何かいい仕事内容が思いついて、生きがいにつながるかもしれない」などと考えられる可能性もあります。
 であれば、「じゃあ、この二つならば、本を読むのかな・・・」と思えます。
 内容はなんでも構いません。
 漠然と「何がいいかな」「何をしようかな」というのを、あえて「二択」にしぼること。
 そしてそのうえで「生きがいといえば、こっちかな」という行動をするだけです。
 一つ一つの行動は小さくても、これを繰り返すだけで・・・。
 連続したあなたは、自分自身が望む方向に、より近づいていくはずですよ。

     『やりたいことをぜんぶ実現する方法』 p61より引用  
 
 
 日々の生活は、小さな決断の連続ですが、その一つ一つに心をこめることで、大きな流れになるのですね。

 ゆうきさんによると、」世の中の娯楽には三つに分けられるそうです。

 最も下の幸せ度の低い娯楽とは、

 
C「たいして質が高くないものに接すること」

 
 次の段階の娯楽が、

 
B「誰かの作った、素晴らしい作品に接すること」


 だそうです。

 では一番上の娯楽とはなんでしょうか。

 A「あなたが、何かを作ること」
 今までに述べたすべてのものを、逆にあなたが「作る側に回る」こと。生み出すこと。これこそが、何よりも素晴らしい、極上の娯楽なのです。

    『やりたいことをぜんぶ実現する方法』 p182より引用


 受け身でいることではなく、何かを作ることが大きな快感につながると分かれば、少しずつでも自分から行動ができるようになりますね。

 さて、仕事のモチベーションには何が関係しているのでしょうか。

 マレーシアの心理学者であるマンショーらは、1000名以上のビジネスマンを対象にして、どんなときに仕事へのモチベーションが高まるかを調べました。
 その結果、「その会社を好きである」というときに、仕事へのモチベーションがもっとも高まることが分かったのです。

      『やりたいことをぜんぶ実現する方法』 p216より引用  



 自分の関わるものを好きになること、これが効率よく仕事を進めるためのもとになるのですね。

 いま関わっているものが好きかどうか?これから好きになれそうか?これは幸せに過ごせるかどうかの大きなポイントになりそうです。

 すぐ読める本です。みなさまもどうぞご参考になさってください。

  


 参考文献:『やりたいことをぜんぶ実現する方法』 ゆうきゆう (海竜社)
 


  

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品を保つ

2013年09月04日

 曽野綾子さんは1931年のお生まれだそうですから、御年82歳ですね・・・・・・

 近ごろ話題になっている曽野さんのご著書『人間にとって成熟とは何か』より引用します。

 品を保つということは、一人で人生を戦うことなのだろう。それは別にお高く止まる態度を取るということではない。自分を失わずに、誰とでも穏やかに心を開いて会話ができ、相手と同感するところと、拒否すべき点とを明確に見極め、その中にあって決して流されないことである。この姿勢を保つには、その人自身が、川の流れの中に立つ杭のようでなければならない。この比喩は決してすてきな光景ではないのだが、私は川の中の杭という存在に深い尊敬を持っているのである。
 
         『人間にとって成熟とは何か』 p100より引用



 ・・・・・・品を保つということは、一人で人生を戦うことなのだろう・・・・・・


 この本の中でもっとも共感した一文です。


 いまや携帯やらSNSやらで社会や友達とつながり続けることが生活の一部になってしまいました。

 電車で子供を横に座らせていても、他の誰かとつながっていたいらしいお母さんは、スマホの操作に集中しています。

 逆に、つき合いもそこそこにサッと帰ってしまう友人とは与太話をすることもできませんが、むしろその方が、品を保っているといえるのだろうと思います。
 
 ひとり独自の道を歩くことは、ときに周りから疎外されてしまうこともあります。

 ビジネスを成功させるには、暗い夜道を一人とぼとぼ歩いて行かねばならない時期がある、と私の師匠がよくおっしゃっています。

 ついてくる人がいなくても、しばらく芽が出ない時期が続いたとしても、自分の信じた道を一歩一歩進んでいかねばならないときがあるというのです。
 時期と申しましたが、かなり長い間ずっとそんな状態が続くのかもしれません。
 
 やがて、かすかな明かりが見えてくると、一人、二人と後からついてくる仲間があらわれてくるそうです。

 自分の道を信じて歩くしかありません。

 そして、そうなったと確信できるまでは一人で歩くしかありません。

 後で振り返ったとき、自分らしく生きることができたかどうか、ということです。

 流木となって川に流されてしまうよりは、杭になっていたほうが自分の人生に確からしさがあるだろう、と感じたことです。
 
  


 参考文献:『人間にとって成熟とは何か』 曽野綾子 (幻冬舎新書)
 
  

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『何のために働くのか 自分を創る生き方』を読んで

2013年08月22日

 寺島実郎さんのご著書『何のために働くのか 自分を創る生き方』を拝読いたしました。

 寺島さんは日本総合研究所理事長、多摩大学学長、三井物産戦略研究所会長を務められています。マスコミにもたびたび出演されていて有名な方ですね。私は寺島さんの御本も何冊か拝読いたしましたし、ご講演も拝聴したことがありますが、切り口が斬新で、論理が明快です。
 
 この本はご自身の経歴を披露しながら、生き方、働き方を教えてくれるものです。冒頭、ヨイトマケの唄から話は始まります。

 寺島さんが三井物産のご出身ということは存じ上げていたのですが、調査や研究畑と聞いていたので、商社でそういう分野で出世していく道もあるのかな、とずっと疑問に感じていました。この本を読んで謎が解けました。

 三井物産130年の歴史で寺島さんのような経歴をもつ社員はいないということです(p97)。

 三井物産のユニークな点は「出すぎる杭は打たれない」ということだ。「出る杭は打たれる」かもしれないが、私の場合、経営幹部から同僚まで配慮し、力づけてくれる環境があったことは事実だ。
 たとえば、新入社員のときから「自分は自分だ」という風情で態度が大きく、夜九時以降の”夜のつき合い”にも参加したことがない。そんな商社マンは、めったにいないだろう。「あなたたちとは酒なんか飲まない」と言っているようなものだから、同僚や先輩は最初は「イヤな野郎だ」と思っていたかもしれない。

        『何のために働くのか 自分を創る生き方』 p94より引用


 寺島さんの詳しい経歴に興味がある方は、本書の「第三章 わが人生を振り返って」をご参考になさってください。

 働くことの意味について寺島さんは次のように述べています。

 「カセギ」だけを目的に働いていては、我々はいつまでも「賢いサル」にはなれないであろう。「ツトメ」を果たし、社会を少しでもよりよいものに変えていこうと努力することではじめて、我々は「賢いサル」になれる。そんな結論が見えてくる。

 (中略)

 働くことを通して、世の中や時代に働きかけ、歴史の進歩に加わること。
 少々大げさかもしれないが、それが働くこと、生きることの意味ではないだろうか。むろん個人がいくらがんばってみたところで、世の中はそう簡単に変わらないかもしれない。だが、そのような思いを心に抱いて生きることが大事なのだ。

    『何のために働くのか 自分を創る生き方』 p47-p48より引用


 カネ、カネ、の人生が空しいものになることはもはや自明の理です。

 売上げや利益を追うのではなく、寺島さんの述べているように「社会を少しでもよりよく変えていこうと努力すること」、社会に少しでも役に立とう、社会に価値を提供していこうとする態度が、人生を変えていきます。

 原子力の利用については次のような見識を示されています。

 また、原子力の議論は常に軍事利用の核と民生利用の原発が裏表となってからみついていることを認識する必要がある。その意味においてアメリカの「核抑止力」に依存しながら「脱原発」を目指す、というのも実はおかしな話である。日米安保を解消してでもアメリカの「核の傘」の外に出て「脱原発」に踏み切るというのなら、賛成はしないが論理的には一貫しており傾聴に値する。

   『何のために働くのか 自分を創る生き方』 p162より引用


 テレビなどに登場されるときには、柔らかな物言いしかできないと思いますが、本の中ではご自身の考え方をはっきり主張されています。

 私は寺島さんの考え方を参考にさせていただいています。寺島さんをテレビでしか見たことがない方は、一度ご本をお読みになってくださいませ。
       
  


 参考文献:『何のために働くのか 自分を創る生き方』 寺島実郎 (文春新書)
 

 寺島実郎さんのご著書を読んで書いたブログ

 『世界を知る力』を読んで
 http://highlyeffective.naganoblog.jp/e414196.html

 『世界を知る力 日本創生編』を読んで
 http://highlyeffective.naganoblog.jp/e815083.html

 強い日本?
 http://highlyeffective.naganoblog.jp/e815601.html

 太平洋側と日本海側のリンク
 http://highlyeffective.naganoblog.jp/e817323.html
 
  

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『40歳を過ぎたら、三日坊主でいい。』を読んで

2013年07月23日

 成毛眞さんのご著書『40歳を過ぎたら、三日坊主でいい。』を拝読いたしました。

 成毛さんは1955年北海道生まれ、中央大学商学部卒業後、アスキーに入社、のちにマイクロソフトに転じて、代表取締役社長を務められました。2000年、インスパイアを設立し、、代表取締役社長に就任、現在は取締役ファウンダーに、また、おすすめ本の紹介サイト「HONZ」の代表も兼任されています。

 以前、成毛さんのご著書『マーケティング辻説法』がビジネス読書会の課題図書になったことがあり、このブログでもご紹介しました。

 『成毛眞のマーケティング辻説法』を読んで
 http://highlyeffective.naganoblog.jp/e1078029.html

 道中すべてをマーケティングせよ
 http://highlyeffective.naganoblog.jp/e1081577.html

 「最低レベル」を切る
 http://highlyeffective.naganoblog.jp/e1082189.html
 
 8月の読書会(平成24年)
 http://highlyeffective.naganoblog.jp/e1084078.html

 この本は40才代以上の会社員の方に向けて、脱力した生き方を進めるものです。マイクロソフトの社長まで務めた方が後進に対して脱力系の生き方を進めるのは意外です。
 経営者に向けてではなくてあくまでも会社員に向けて書かれています。

 いま、四十代以上のビジネスマンが考えるべきは、いかに会社で息を潜め、”外の世界を切り拓くか”である。ストレスがかからない仕事を選び、健康な身体を保ちながら、趣味やサイドビジネスに全力を注ぐ。クマムシは仰向けになるとなかなか起き上がれないので、転ばないように注意しなければならない。

      『40歳を過ぎたら、三日坊主でいい。』 はじめに p3より引用

 
 成毛さんはマイクロソフトの中で出世をして社長にまで上り詰めた方ですが、そのイメージとは違って、仕事に打ち込むというタイプの方ではなかったのです。
 
 私は人生とは道楽だと思っているし、とことん楽しむために生まれてきたのだと思っている。仕事もその道楽の一つであり、生きがいや自己実現を考えたことなど一度もない。

           『40歳を過ぎたら、三日坊主でいい。』 p37より引用
      
 
 オーナー系社長ではなく、雇われた社長としての考え方です。

 私は四十五歳のときに、マイクロソフトの社長という肩書をすっぱりと捨てた。
 IT業界の成長が頭打ちになるのはわかっていたし、仕事にもそろそろ飽きていた。そのままマイクロソフトに居続けたところで、アメリカ本社に栄転というゴールしかなかった。私にとってそのゴールはとくに魅力的ではなかったので、「すごろく」でゴールにたどり着く前に、さっさとゲームを降りてしまったようなものだ。

           『40歳を過ぎたら、三日坊主でいい。』 p57より引用


 私のような零細企業の社長と並べるのは大変失礼ではありますが、私には「飽きたから降りる」という考え方はあり得ないので違和感があるところです。

 成毛さんはミドルエイジの「七つの武器」というものを紹介されています。本来ミドルエイジにとって弱みになるはずの七つの特徴を逆に武器にしてしまうのです。このあたりはとても実際的ですのでおもしろかったです。私にも使えそうなものがありました。

 ミドルエイジの武器①未来がない
 ミドルエイジの武器②ハングリーではない
 ミドルエイジの武器③冒険心がない
 ミドルエイジの武器④体力がない
 ミドルエイジの武器⑤記憶力が弱い
 ミドルエイジの武器⑥感性がにぶい
 ミドルエイジの武器⑦ずるい


 成毛さんはいろいろなこと知っておられますし、本も相当読んでおられるようですので、読み物としては大変興味深いです。
 
 ただ、やや「上から目線」であることと、ビジネスでも大成功された方だからこそ、後から「脱力」といっているのかな、という感がないでもありません。開き直っているような感じも受けました。

 仕事以外に何か太いものをもつことには賛成ですが、一般の会社員全員がこの生き方ができるわけでもないですし、そうなってしまったら日本のビジネスの将来は心配です・・・・・・

 ビジネス関連はまじめな本が多いですから、こういう視点が違う本もいいですね。ご参考になさってください。

  


 参考文献:『40歳を過ぎたら、三日坊主でいい。』 成毛眞 (PHP研究所)
 

  

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『いつやるか?今でしょ!』を読んで

2013年05月31日

 林修さんのご著書『いつやるか?今でしょ!』を拝読いたしました。

 林さんは1965年名古屋市生まれ、東京大学法学部卒業後、日本長期信用銀行に入行されました。「漠然とした危うさ」を感じて半年たらずで退職、その後、予備校講師になられました。現在は東進ハイスクール、東進衛星予備校の現代文講師を務めておられます。

 最近、飲み会の席で「いつやるか?」「今でしょ!」と声を掛け合っているお客さまの姿をしばしば見かけるようになりました。
 みなさん随分前向きになられたのだなあ、アベノミクスのおかげか・・・・・・と思っていました。

 実はそういうCMがあるのだそうですね!うちにはテレビがないので、これが流行っていることを知りませんでした。(先ほどインターネットの動画を通じて初めて見ました。)

 この本は林さんが物事のとらえ方を変える方法を45項目にわたって教えてくれるものです。

 私の読み方が拙いのが原因だと思いますが、文章がとても読みずらかったです。「現代文」的な構造になっているのでしょうかね。なかなか進みませんでした。

 林さんは大学時代、掃除をされているおばちゃんに対して深々と頭を下げている教授の姿を見たそうです。

 挨拶を誰にするかといえば、もちろん声をかけるその相手です。しかし、挨拶はその人にだけでなく、世間が挨拶する僕を見る機会でもあるのです。
 僕にとって一番の衝撃は、僕と、掃除のおばちゃんに対してまったく同じお辞儀を先生がされたことです。ちなみに、その先生は日本の法曹界の大御所と言ってよい、東大法学部の教授の中でも特に有名な方でした。

              『いつやるか?今でしょ!』p013より引用


 どんなに立派な人でも、相手によって態度を変えている姿を見てしまうと幻滅してしまいます。二面性があるのかな、と思ってしまうからです。誰に対しても一貫した態度をとることを自分に課したいと思います。

 さすが観察が鋭い、と思ったのはラーメン屋さんのポーズについてです。

 テレビなどでよく、ラーメン屋さんは自分の店の味の「こだわり」を強調します。「こだわりラーメン」なるものまであります。なのに、ポスターの写真のポーズには「こだわり」がないようで、ほとんどの人がちょっとななめに立って腕組みをしているのです。

             『いつやるか?今でしょ!』 p127より引用

 
 確かにこれありますよね?
 
 今や、みんなの頭の中に、「ラーメン屋さんは腕組みしている」というイメージがすり込まれています。ですから、腕組みしている写真をみたとき、「あっ、ラーメン屋さんだ」、とすぐにわかるのです。腕組みはラーメン屋さんの「記号」なのです。

             『いつやるか?今でしょ!』 p127より引用


 腕組みのポーズが出はじめたころは「どうして腕組み?」と感じていましたが、最近は当たり前になってしまいましたね。
 
 林さんが「記号」とおっしゃったのはまさしくその通りです。
 
 林さんの生き方がよく分かる本です。ご興味のある方はご一読くださいませ。 

  


 参考文献:『いつやるか?今でしょ!』 林修 (宝島社) 
 
  

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『カーネル・サンダースの教え』を読んで

2013年05月24日

 中野明さんのご著書『カーネル・サンダースの教え 人生は何度でも勝負できる!』を拝読いたしました。

 中野明さんは1962年生まれ、作家であり、同志社大学の非常勤講師です。大学で情報通信の講義を行うかたわら、経済、経営、マーケティングの研究を続けておられるそうです。

 カーネル・サンダースといえば、どなたでもご存知ですね?

 KFC(ケンタッキーフライドチキン)のお店の前に白いタキシード姿で立っている、あのおじさんです。

 私はカーネルがケンタッキーフライドチキンの創業者であることは知っていましたが、どんな人生を送った方なのかまったく知りませんでした。

 ちなみに「カーネル」とは、ケンタッキー州が定める称号の一つで、地域やケンタッキー州、国に対して顕著な貢献をした人物に対してケンタッキー州知事が贈るものだそうです。この本では親しみをこめてカーネルと呼んでいますが、本名はハーランド・デビッド・サンダースとおっしゃるそうです。
 
 カーネルは5歳でお父さんを亡くし、なんと10歳の時から外に働きに出たのだそうです。10歳の時点で仕事をクビになるという経験をしました。11歳になる夏、カーネルの経営哲学が生まれました。

 ワシはただ二つのルールを守ってきただけなんじゃよ。
 できることはすべてやれ。
 やるなら最善を尽くせ。
 これが何かを達成するための唯一の流儀じゃないかな。

             『カーネル・サンダースの教え』 p28より引用
     

 1916年にプルデンシャル生命の営業マンになったカーネルは、成績を上げ、インディアナ州ジェファーソンビルのコミュニティーで重要な人物の一人と目されるそうになりました。このころ、カーネルはロータリークラブの会員になったそうです。
 カーネルが初めてロータリークラブの例会に出席した時のことです。

 ロータリー・クラブのメンバーとして迎えられたときのことじゃ。ワシは彼らのスローガンに心を打たれたもんじゃよ。
 最も奉仕する者が最大の利益を得る。
 我が身の前に他人に奉仕せよ。
 以来ワシは、物事を行う際にこれら二つのモットーに従うよう努めてきたんじゃ。

             『カーネル・サンダースの教え』 p43より引用


 私もロータリアンの末席を汚しておりますが、カーネルは世界でもっとも有名なロータリアンだ(った)と聞いたことがあります。

 ロータリークラブには「四つのテスト」という心得がありますが、カーネルはビジネスをの始める際にこの四つのテストでその価値を検証したのだそうです。

 1.嘘偽りはないか?
 2.関与するすべての人に公正か?
 3.信用と信頼を築けるか?
 4.関与するすべての人に利益があるか?

             『カーネル・サンダースの教え』 p45より引用

                   
 参考ブログ:「四つのテスト」
 http://highlyeffective.naganoblog.jp/e275035.html

 カーネルの経営の基礎にはロータリークラブの考え方があったわけです。

 さまざま職を経験したカーネルがケンタッキーフライドチキンを創業したのは65才の時でした。その後、フランチャイズにして店を拡大していきました。

 あるフランチャイジーのオーナーがカーネルに成功の秘訣を聞きました。


 店を清潔にしなさい。スタッフには礼儀正しくさせなさい。おいしい料理を出しなさい。あとは懸命に働きなさい。これで成功できるとは限らんが、成功への第一歩にはなるだろうね。

            『カーネル・サンダースの教え』 p194より引用


 カーネルの人生を詳しく知ることのできる本です。

 一見、温厚そうに見えるカーネルですが、かなり荒い気性だったというのは意外でした。

 65才から始めた事業があれだけの規模になったのはすごいです。私のような若造はまだまだあきらめてはいけませんね。

 みなさまもご参考になさってください。 

  


 参考文献:『カーネル・サンダースの教え』 中野明 (朝日新聞出版)
 
  

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『変な人の書いた世の中のしくみ』を読んで

2013年05月22日

 斎藤一人さんのご著書『変な人の書いた世の中のしくみ』を拝読いたしました。

 一人さんの本はいままで何冊も読んでいますが、新しい本は楽しみです。この本は2012年10月に初版が発行されています。

 普通の人は、過去は変えられるけど未来は変えられない、と言いますが、一人さんは過去は変えられるけど未来は変えられない、と言います。

 なぜかっていうと、今日、不幸な人は明日も不幸なの。明後日もその次も不幸なの。だって不幸を探すから。それで、しあわせになるためにはどうするかっていうと、自分の過去を振り返って、「~だから不幸だった」を「~だからよかった」に変えるんです。「~があったからこそ、いまのしあわせがある」って。

          『変な人の書いた世の中のしくみ』 p54より引用


 いま自分に起こっていることの原因を、過去に起こったことに求めてしまうことがあります。過去は過去でもう仕方がないことなので、よい面を見るようにした方がいいですね。

 先日、友人のお子さんに久しぶりに会ったら、反抗期なのでしょうか、2年くらい前に会ったときにはキラキラしていた笑顔が消えてしまって、つまらなそうな顔をしていました。大人になる過程では通らねばならない道なのですけどね。

 つまらない顔をしていると、誰かが機嫌をとってくれる時期がありますよね。

 それと同じで、人によっては笑顔でいるよりは怖い顔してたほうが得な時期があったりするんです。
 ある人が小さいころに不機嫌な顔をしてると、母親が「どうしたの?」って機嫌を取ってくれてたとするよね。そうすると、それがいつの間にか癖になって、ブスッとした顔をしてると誰かが機嫌を取ってくれると思っちゃうの。

          『変な人の書いた世の中のしくみ』 p73より引用
  
 
 大人になっても、ブスッとした顔でしか挨拶ができない人がいますが、こういうことなのでしょうかね?

 サッカーは邪魔が入るから面白い、と一人さんはいいます。キーパーも誰もいなかったらゲームにならないわけです。当たり前のことですけど、妙に納得できます。
 
 自分がいくら正しいことをしていても、それに反対するような人は必ず出てきます。それは、その人たちがあなたの人生の盛り上げ役だからなんだよね。だから反対したりするような人に、「今日も私の人生を盛り上げてくれてるな」って思えばいいんです。

          『変な人の書いた世の中のしくみ』 p145より引用


 反対する人が現れたら、心の中で「盛り上げ役登場!」とニコっとすればいいですね。サッカーのゲームと思えば、邪魔する人がいても楽しくなります。
            

 会社で働くということはどういうことか、一人さんの考え方です。

 たとえば世間の人たちは「いい会社に入ったほうがいいよ」って言うんだけど、私に言わせれば、いい会社に行くよりも自分がいい社員になったほうが手っ取り早いからね。
 そこで給料を二〇万もらうとすれば、会社は保険なんかで余分に何万か負担するから三〇万は儲けないといけない。さらにいい社員になるためには五〇万円分働かないといけません。
 そうやって得をさせる社員になればいいんです。いい会社に行って、会社からもらって得しようとしてる社員が、結局はいちばん損をすることになるの。

           『変な人の書いた世の中のしくみ』 p148より引用

        
 ありがたい言葉です。

 どんなときも前向きで明るくあるべきだと思います。

 いつも元気を与えてくれる一人さんの本、みなさまもどうぞご参考になさってください。
 
  


 参考文献:『変な人の書いた世の中のしくみ』 斎藤一人 (サンマーク出版)
 
  

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『折れない心をつくるたった1つの習慣』を読んで

2013年05月21日

 植西聰(うえにしあきら)さんのご著書『折れない心をつくるたった1つの習慣』を拝読いたしました。

 植西さんは東京都の出身で、学習院大学卒業後、資生堂に入社、独立後は心理学、東洋思想、ニューソートなどに基づいた人生論の研究に従事されています。

 この本は2011年4月に初版が発行され、私の手元にありますのは2012年8月の第26刷です。帯には60万部突破と書かれていますから、かなり売れているようです。福岡空港の売店にたくさん並んでいたので購入いたしました。

 心が折れやすい人に対して、強い心を手に入れる方法を教えてくれる本です。私自身は折れやすくはないと思っていますが、社員や周りで困っている人がいたら教えてあげるつもりで読んでみました。

 心が折れやすい人は自分に自信がないことが多いそうです。「こんな自分ではだめだ」という不安をもっています。

 ですから、折れにくい心を作るためには、日頃から自分のことを好きになるような行動を心がけ、実践していくのが大切です。
 そのための方法のひとつが、自分との約束を優先するということです。
 自分に自信がない人は、無意識のうちに自分よりも他人を大切にしようとしがちです。

          『折れない心をつくるたった1つの習慣』 p77より引用


 断りきれない他人の用事に付き合わされることほど、つまらないものはありません。若い頃からの悪習で、友人とつるむことが大切だと思っている大人がたくさんいます。
 人とのお付き合いは大切ですが、友人依存、他人依存になりすぎてはいけません。自分の生き方がしっかりしていることが基本です。

 心の折れやすい人は過去のことに気持ちをとらわれやすいという特徴があるそうです。これは私も少しあって、友達から指摘されたことがあります・・・・・・
 
 過去の大きな出来事としては、自分を傷つけた人のことが頭から離れない、ということがあります。

 自分を傷つけた相手のことを憎めば、心はマイナスのエネルギーで一杯になってしまい、マイナスの出来事を引き寄せてしまいます。
 ですから、相手を許すことは、相手のためではないのです。自分の幸せのために、憎しみや悲しみを手放すのです。

          『折れない心をつくるたった1つの習慣』 p135より引用


 株式投資においては、持ち株が大きく含み損を抱えていて回復の見込みがないのに、踏ん切りがつかずに売ることができない、ということがあります。損を抱えたまま株式を保有していると、頭の中はそのことで占領され精神的に好ましくありません。FXや信用取引では特にそうなりがちです。

 その場合はどこかの時点で損失を受け入れるという決断をし、次へ向かうしかありません。
 傷つけられた相手を忘れるというのはこれに似ているのではないでしょうか。

 生き方に悩んでいるという人は読んでみてください。

  


 参考文献:『折れない心をつくるたった1つの習慣』 植西聰 (青春出版社)
 
  

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芸術は爆発だ!

2013年05月20日

 最近感じたことです。

 1.四月から始まったある勉強会に参加させてもらっているのですが、みなさま立派な経営者の方ばかりでびっくりしています。景気とか世の中の動向に関係のない優れた企業が信州にはたくさんあるのだ、ということが分かり、自分の無力を改めて恥じております。

 2.別の経営の勉強会(こちらは同級生中心です)において、講義内容から発展して、自分は人生に何を求めているか?という話になりました。選択肢は次の六つです。
 (①安定感 ②変化 ③自己重要感 ④繋がり ⑤成長 ⑥貢献)
 私が求めているのは「変化」だと思いました。
 ところが、周りの友人たちが口々に「米津くんは、どうみたって安定感だよ!」というのです。

 私は精一杯変化を求めているつもりです。が、私よりもっと変化に富んだ友人がいるのは確かです・・・・・・

 そこで、これです。 

 岡本太郎さんの『自分の中に毒を持て』より引用します。

 ・・・・・・そうだ。おれは神聖な火炎を大事にして、まもろうとしている。大事にするから、弱くなってしまうのだ。己自身と闘え。自分自身を突きとばせばいいのだ。
 炎はその瞬間に燃えあがり、あとは無。-爆発するんだ。
 自分を認めさせようとか、この社会のなかで自分がどういう役割を果たせるんだろうとか、いろいろ状況を考えたり、成果を計算したり、そういうことで自分を貫こうとしても、無意味な袋小路に入ってしまう。
 いま、この瞬間。まったく無目的で、無償で、生命力と情熱のありったけ、全存在で爆発する。それがすべてだ。

                  『自分の中に毒を持て』 p194より引用


 この文章は私にはとても元気が出ます。私は岡本さんの考え方がとても好きなんです。

 自分にないものを求めているということでしょうか・・・・・・

 もっと変化!と私自身は思っているのですが、周りからは安定を求めている、と見えるのですね・・・・・・

 人生は爆発だ!と私は思っていますよ。 

  


 参考文献:『自分の中に毒を持て』 岡本太郎 (青春出版社)
 

  

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『すりへらない心をつくるシンプルな習慣』を読んで

2013年05月17日

 心屋仁之助さんのご著書『すりへらない心をつくるシンプルな習慣』を拝読いたしました。

 心屋さんは1964年兵庫県出身、大学卒業後、大手物流企業で現場営業や営業管理を担当し、19年間勤めた後、自身の問題解決を通じて心理療法に出合い、心理カウンセラーとして起業されたそうです。
 新聞に心屋さんの出版の広告が大きく掲載されていたのを見て、一冊読んでみようと思い、書店で探してみました。心屋さんてペンネームなんですよね?本名ならびっくりしますけど。

 この本は「がんばり屋で優しくって気をつかいすぎるから、ついつい自分の身を削って働いてしまう―そんなあなたへ。」(p6)向けて書かれています。

 全体的にやさしくソフトに書かれています。女性の読者を意識されているのでしょうね。

 人を褒めるのはその行動が自分の価値観にあっているからこそできるのだと心屋さんはいいます。褒めるのが下手な人は価値観のハードルが高いのだそうです。

 価値観のハードルが低い人にはどうでもいいことでも、価値観のハードルが高い人には、なんでもかんでも問題に変わってしまう。だから、自分のことをイライラさせる人、欠点ばかりの人、苦手な人が多いと思ったら、「自分の価値観のハードルが高いだけじゃないのか」と考えてみるのもいいでしょう。

          『すりへらない心をつくるシンプルな習慣』 p86より引用


 昔の私はこんな感じだったかなと思います。いまでは相当気を付けていますが、ときどきこういうことがありみなさまにご迷惑をおかけしているかもしれません・・・・・・

 他人の行動が気になってしまったら、気にしないで開き直るという方法はいいなと思いました。

 誰に、なんと言われようと。
 「私がそうしたいと思ったから、そうした」
 で、いかがでしょうか。

         『すりへらない心をつくるシンプルな習慣』 p139より引用


 これですね。やりたければやればいいわけで、そこに他人は関係がないのです。

 「大丈夫」という言葉は誰もがよく使いますが、心屋さんは「大丈夫」は心に壁を作ってしまう壁言葉だと言います。

 それでも心屋さんが「大丈夫」を使ったのは次のような時でした。

 具体的にいうと、「親から1人暮らしを心配されたとき」「体調が悪くて弱っているとき」「仕事がうまく進まなくて、あたふたしているとき」でした。
 もしくは、「いや、ちょっと不安があって」とか「助けてほしいんだけど」などという言葉を言えないときでした。 

         『すりへらない心をつくるシンプルな習慣』 p133より引用


 こういうときは無理に大丈夫と言わないで、自分の体験に向き合った方がいいのだそうです。
 私はいまとなればむしろ相手から「大丈夫です」と言われる立場にいますが、「大丈夫」という言葉をつかわれると、すべてが覆い隠されてしまうような気がして、かえって心配になります。

 「大丈夫」は気軽に使える万能な言葉ですが、自分を追いつめてしまっている言葉だとしたら、無理に使わないでほしいですね。

 人間関係で疲れてしまっている方がおられましたら、ご一読くださいませ。 

  


 参考文献:『すりへらない心をつくるシンプルな習慣』 心屋仁之助 (朝日選書)
 

  

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『野心のすすめ』を読んで

2013年05月15日

 林真理子さんのご著書『野心のすすめ』を拝読いたしました。

 林真理子さんは1954年山梨県生まれ、日本大学芸術学部を卒業されました。いくつかの職を経験された後、82年エッセイ集『ルンルンを買っておうちに帰ろう』が大ベストセラーに、86年『最終便に間に合えば/京都まで』で第94回直木賞を受賞されました。週刊文春やan-anの長期連載エッセイも人気です。大変有名な作家ですね。ファンの方も多いのではないですか。

 林さんの小説やエッセイはあまり読む気がしなくて一度も読んだことがないのですが、人生論なら読んでみたいと思って書店で手に取ってみました。
 
 全体を読んでみて、いままで私が林さんに抱いていた華やかなイメージとは違うものを感じました。いじめられたり、うまくいかなかった若いころのことが赤裸々に書かれていました。本当に正直な方なんだなあ、とびっくりしました。

 若いころどん底状態にいた林さんは、どんなことを考えていたのでしょうか。

 どん底時代をどういう心持ちで耐え抜いたかというと、「いまに見てろよ」っていうような不屈の精神ではないんです。「おかしいなぁ・・・・・・私、こんなんじゃないはずなんだけど」という「???」の思いでした。
 たとえ根拠が薄い自信でも、自分を信じる気持ちが、辛い局面にいる人を救ってくれるということはあると思います。
                            
                 『野心のすすめ』 p88より引用

 
 これ、いいですね~。自分はこんなはずではない、と自然に思えてしまう思考回路、とてもポジティブです。自分が好ましからざる状態に陥ったとしても、こう考えるべきですよね?

 最近は欲のない人が増えているそうです。林さんは健全な野心をもつことをすすめています。野心をもつには妄想力がバネになるのだと言います。

 妄想力とは、想像力よりもさらに自分勝手で、自由な力。現実からは途轍もなく飛躍した夢物語を、脳内で展開させてみるのです。秘密の花園でこっそり花を育てるように。
 妄想は自分を引き上げてくれる力になります。作家であれば物語を書けるし、作家でなくたって、自分の人生のストーリーを紡ぎだせるようになる。

                  『野心のすすめ』 p176より引用


 妄想力を鍛えるためには読書がいいのだそうです。

 それに、読書って、ひとりでやっていて惨めに見えない、数少ない趣味でもあります。本を読む楽しみを知っているのと知らないのとでは、ひとりで過ごす時間の充実度が違ってくる。人が電車の中で携帯メールを打っている姿と、文庫本を読んでいる姿では、圧倒的に後者のほうが素敵ではありませんか。

                   『野心のすすめ』 p179より引用


 最近は電車で読書をしている人が少なくなりましたね。(もっともスマホでも読書はできますが。)

 想いがかなえられずもがき続けている不幸は本人には辛いですが、林さんからみると明るい爽快感があるのだそうです。それは「走っている不幸」だからだそうです。本当に恐ろしいのは何を欲しているか分からない「止まっている不幸」だといいます。

 それに比べると、何が欲しいかはハッキリとわかっている「走っている不幸」にはいつか出口が見えてくる。走ることを知っている人たちは、諦めるということも知っています。実際に、運が悪い人とは見切りが悪い人でもある。いまが楽しくないなら、何かを切り捨てることだって必要です。「新規まき直し」をして、生き方を変えることは運の強さにつながっていきます。

                   『野心のすすめ』 p181より引用


 悩むとしても、走りながら悩んだ方がいいですね。

 業界の話なども紹介されていて、違う世界にいる方なんだなあ、と感じるところもありますが、それも林さんが野心をもって人生を歩んできたからこそ上がることができたステージでしょう。
 
 この本は女性が読んだ方がいいように思います。ご参考になさってください。
 
  


 参考文献:『野心のすすめ』 林真理子 (講談社現代新書)
 
  

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ビジネスと人間の全体像

2013年05月14日

 洋画家の故岡本太郎さんは、経営者ばかりを集めたセミナーで講演をされたことがあるそうです。

 『自分の中に毒を持て』より引用します。

 壇上からあらためて聴衆を見わたし異様な気分にとらわれた。・・・・・・見るからに経営者。ビジネス、利潤追求だけに専念している。その外の人生はゴルフかマージャンだけというような。みんな同じ顔、同じ目つきで、ネクタイを締めて、ゾロッとすわっている。禿げた人、四角い顔、眼鏡、それぞれ違うのだが、同質に見える。ふと、何か異種の動物の前に立たされているような気持になった。
 ぼくは率直にその感想を話した。経済がどんなに成長しても、逆に人間喪失のむなしさはとり返しがつかないのではないか。ここからお見受けすると、皆さん、一目見て、いかにも経営者、商売人だ。それ以外の何ものでもないというところに、人間の全体像を失っている現代文明、そしてこれからの運命が象徴されている。

                  『自分の中に毒を持て』 p118より引用


 この本が書かれたのはいまから25年前の1988年です。バブル経済の絶頂期で、ビジネスはイケイケだったでしょう。

 岡本さんは、日本的経営が世界から称賛されるようになり、数字を追うことばかりになってしまった経済に警鐘を鳴らしたのだと思います。

 利潤追求をして買いたいものを買いあさった結果がいまの日本の姿か・・・・・・はっ、としました。

 小宮一慶さんは、セミナーで「儲かるくらいのいい仕事をしなさい」といつもおっしゃっています。儲けることが先にあるのではなくて、よい仕事をすることが先です。よい仕事をした結果として儲かってしまった、ということです。

 人生の中に仕事があるわけで、仕事の中に人生があるわけではないということは確かです。

 岡本さんは、いまの私を見たらなんと言われるでしょうか。

 人間の全体像を失うような人生はどこかがおかしいのです。 

  


 参考文献:『自分の中に毒を持て』 岡本太郎 (青春出版社)
 

  

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『風に訊け』を読んで

2013年05月10日

 開高健さんのご著書『風に訊け』を拝読いたしました。

 開高さんは『裸の王様』で第38回芥川賞を受賞された有名な作家です。1930年12月生まれで1989年12月にお亡くなりになっています。

 『風に訊け』は週刊プレイボーイに連載されていた人生相談です。読者から寄せられた珍問、奇問に開高さんがズバリと答えていきます。

 高校生の頃だったでしょうか、プレイボーイの紙面で実際に読んだ記憶があります。とても人気のある連載だったように思います。

 その時は、質問にあまり納得できませんでしたし、おもしろいとも思えませんでした。そもそも質問の内容がずいぶん大人の世界だなあ、と感じていたのを覚えています。

 自分が若すぎたのです。

 先月、書店でこの本を見つけたので、さっそく読んでみました。

 今度は、開高さんのおっしゃっていることはよく分かりました。 

 ただ、いまの世から見てしまうとどうしても古さを感じてしまいます。古いところにかわいらしさも感じますが・・・・・・

 これは昔を懐かしむ本ですね。

 昔プレイボーイで「風に訊け」を読んだことがある人は、もう一度ご覧になってはいかがでしょうか。
 
  


 参考文献:『風に訊け』 開高健 (集英社)
 


  

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ほんとうのプライドとは

2013年05月09日

 岡本太郎さんのご著書『自分の中に毒を持て』より引用します。

 大切なのは、他に対してプライドをもつことでなく、自分自身に対してプライドをもつことなんだ。
 他に対して、プライドを見せるということは、他人に基準を置いて自分を考えていることだ。そんなもんは本物のプライドじゃない。たとえ、他人にバカにされようが、けなされようが、笑われようが、自分がほんとうに生きている手ごたえをもつことが、プライドなんだ。
 相対的なプライドではなくて、絶対感をもつこと、それが、ほんとうのプライドだ。このことを貫けなかったら、人間として純粋に生きてはいけない。

                  『自分の中に毒を持て』 p67より引用


 岡本さんの人生そのもの、という感じがしました。

 自分自身に対してプライドをもつということは、自分のもつ価値観を大切にして、人の行動や評価に流されないで行動するということでしょう。他人と比較する必要はありません。根底にあるのは自分の生き方です。

 人の言うことを聞かないで通す頑固な態度とはまったく違うものです。自分のやり方を通すのは同じですが、頑固な人は外部への成果や周りへの影響を考えないで内側ばかり見つめ、方法や手段ばかりにこだわっています。
 
 自分に対してプライドをもつというのは「自分との約束を守る」ということに近いと思います。
 
 参考ブログ:「約束には2種類ある」
 http://highlyeffective.naganoblog.jp/e477675.html
 
 ほとんどの場合、自分との約束を守ることができずに、周りの行動に同調してしまいがちです。

 「自分のプライド」というものを考えるのであれば、自分の生き方を決め、それを徹底的に貫くのです。

 地味で暗い道かもしれませんが、長い道のりの先を見て、淡々と歩くしかありません。

  


 参考文献:『自分の中に毒を持て』 岡本太郎 (青春出版社)
 

  

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『自分の中に毒を持て』を読んで

2013年05月02日

 岡本太郎さんのご著書『自分の中に毒を持て』を拝読いたしました。

 岡本さんは有名な洋画家ですね。1911年東京生まれで、1996年にお隠れになりました。パリ大学に在学中、ピカソの作品に衝撃を受け、抽象芸術運動に参加し、帰国後、前衛的な作品を次々と発表し、国際的にも高い評価を受けました。

 大阪万博の会場跡地に残されている「太陽の塔」が岡本さんの作品であることは大変よく知られていますし、私は子供のころにテレビでよく耳にした「グラスの底に顔があってもいいじゃないか」、「芸術は爆発だ」という言葉が鮮明に記憶に残っています。

 この本は1988年に新書版で発行され、1993年に文庫本になったものです。私の手元にあるものは2012年10月発行の第46刷です。ずっと売れ続けている本ですね。

 岡本さんはいまだに爆発している・・・・・・物理的にはお隠れになりましたが、本を読む限り、まだ生きている、としか私には言いようがありません。

 日本では独自な表現や不協和な発言をする者は排除されるという歴史がありました。

 岡本さんはいいます。
 
 いままでは、謙虚であるということが世渡りの第一歩みたいなものと考えられてきた。だが僕の考え方では、それは非常に傲慢だとはいえないが、不遜だと思う。というのは、自分はどのくらいの能力があり、どのくらいのことをすべき器であるかということを見極めようとしないで、つまり、自分のことが自分でわからないのに、勝手に自分はダメだと見切り、安全な道をとってしまう。
 このように自分を限定してしまい、その程度の人生で諦めてしまえば、これは安全な一生。だが、自分がいまの自分を否定して、更に進み、何か特別な自分になろうとすることには大変な危険が伴う。
 そして、ほとんどの人はこの危険に賭けようとはしない。

                  『自分の中に毒を持て』 p22より引用


 ほとんどの人は、周りの雰囲気に流されて、他人と同じ行動をするようになり、だんだんとつまらない人間になってしまいます。
               
 岡本さんは常に挑戦する人生でした。 

 俗に”失敗は成功のもと”という。そんな功利的な計算ではなく、イバラの道に傷つくことが、また生きる喜びなのだ。通俗的な成功にいい気分になってはならない。むしろ、”成功は失敗のもと”と逆にいいたい。その方が、この人生のおもしろさを正確にいいあてる。
 たんたんとした道をすべっていくむなしさに流されてしまわないで、傷つき、血のふき出る体をひきずって行く。いいようのない重たさを、ともども経験し、噛みしめることだ。それが人生の極意なのである。

            『自分の中に毒を持て』 p116 より引用

 
 
 力強いですね・・・・・・

 いわゆるバブル経済のころに書かれたものですが、浮ついている感じはまったくありません。

 子供のころに漫然と抱いていた「おもしろいおじさん」というイメージは吹っ飛びました。

 いまでは岡本さんのようなことを言える人はいないでしょう。こういう常識を壊すような考え方はあまり受けないのかもしれません。私はこの本は生きていると思います。いま読むほうが覚醒します。

 みなさまもぜひご一読ください。

  


 参考文献:『自分の中に毒を持て』 岡本太郎 (青春出版社)
 

  

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『挫折を愛する』を読んで

2013年04月25日

 松岡修造さんのご著書『挫折を愛する』を拝読いたしました。

 松岡さんは1967年、東京都に生まれました。(私と同じ年です。)10歳から本格的にテニスを始め、慶応義塾高校2年のときに、テニスの名門である福岡県の柳川高校に編入します。その後単身米フロリダ州に渡り、86年、プロに転向されました。怪我に苦しみながらも、92年6月にはシングルス世界ランキング46位に、95年にはウィンブルドンでベスト8に進出されました。
 98年に現役を退き、現在は後進の育成やテニス界の発展に尽くしながら、スポーツキャスターなどメディアで活躍されています。

 この本はスポーツ選手として活躍されたご自身の体験や、取材を通じて知った数多くの有名スポーツ選手の活躍の裏側を知ることができるものです。

 松岡さんの考える挫折とはどんなものでしょうか。「おわりに」より引用します。

 目標が何もなければ挫折するわけがない。「どうでもいいや」と思うものに挫折する人もいません。目標をしっかり持って全力で頑張ったらからこそ、人は必然的に挫折するのです。挫折を感じるほど一所懸命になっているのですから、むしろ「幸せだ」と感じてもいいくらいだと思います。

                   『挫折を愛する』p195より引用


 私が感動したのは、イチロー選手のエピソードです。マリナーズに移籍してしばらく結果が出なかったイチロー選手はコーチから打ち方を変えるようにと指示されたそうです。とりあえずは「イエス」と答えたそうですが、少し変えただけで全然直さなかったそうです。

 のちに、その理由を僕が尋ねると、イチロー選手はこう答えてくれました。
 「人の意見や評価ほど曖昧なものはないから」
 僕はこの言葉が好きです。自分の想いを貫き通す大切さを教えてくれるだけでなく、周りの評価をつい気にしてしまう僕の不安を取り除いてくれるからです。
 「人というのは勝手なことを言う生き物だ。人から何か言われたとしても、あてにならないことはたくさんある。だから、すべて受け入れる必要はないんだ」
 と言ってもらっているようで安心します。

                   『挫折を愛する』p173より引用


 松岡さんが毎日鏡に向かって唱えている誓いの言葉も紹介させていただきます。

 独立決断 
 自分はけが、病気は絶対しません
 怒らず、恐れず、悲しまず
 正直、親切、愉快に
 力と勇気と信念を持って
 自己に対する責務を果たし 
 愛と平和とを失わざる今日一日
 ○○、○○、○○(家族の名前を入れて)と、厳かに生きていくことを誓います。

                   『挫折を愛する』p110より引用


 こういうのはいいですね。実は私も毎日の誓いの言葉がありますが、私のに比べると松岡さんのは分かりやすくていいなあ、と思いました。        
 
 松岡さんは数多くのスポーツ選手を取材されていますので、いろいろな事例をもっておられます。

 スポーツが好きな方、心が折れやすくなってしまっている方はぜひご一読ください。

  


 参考文献:『挫折を愛する』 松岡修造 (角川oneテーマ21)
 

  

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『自分を愛する力』を読んで

2013年04月23日

 乙武洋匡さんのご著書『自分を愛する力』を拝読いたしました。

 乙武さんが大学在学中に出版した『五体不満足』は大ベストセラーになりましたね。
 1976年生まれの乙武さんは大学卒業後、スポーツライターとして活躍、その後、新宿区教育委員会非常勤職員、杉並区立杉並第四小学校教諭を経て、現在は「まちの保育園」の運営に携わるほか、東京都教育委員も務めておられます。

 この本は三章立てて、最終章として精神科医の泉谷閑示さんとの対談がついています。三章の構成は次のようなものです。

 第一章 息子として
 第二章 教師として
 第三章 父親として


 この本を読むと、乙武さんが健常な方よりもずっと力強く生きてこられたことが分かります。
 
 私が感動したのは、乙武さんが小学生のときに嫌がる乙武さんを無理やりプールに連れて行って練習させていた担任の先生の話です。

 「この時期はさあ、あれだけ嫌がってた君を無理やりプールに連れてきては、いっしょに練習していたでしょ。あれ、なぜだかわかる?本当は泳げるようにしたかったわけではないんだよ」
 -え、ちがったんですか。うーん、ちょっとわからないです・・・・・・。
 「もしね、君が万が一、水の事故に遭ったとき、だれかが救助に駆けつけるまで、自力で水に浮いていられるように、せめてそこまではしておきたかったんだ」

                 『自分を愛する力』 p62より引用

 
 生まれてから自分の体のことをつらいと思ったことのなかった乙武さんですが、結婚をされお子さんをもたれて、次のような思いをもたれたそうです。
 
 そんな僕が、人生で初めて、この身体をつらいと思った。この境遇をしんどいと感じた。自分のことは何とかしてしてきた。周囲も手伝ってくれた。だが、自分が何かをしてあげたい相手ができたとき、自分が守ってやりたい存在ができたとき、僕にはどうすることもできなかったのだ。
 そして、この悲しみは、この日かぎりで終わるものではない。僕が父親であり続けるかぎり、自分の愛する息子をみずからの手で守ってやることができないという情けなさと無力感は、まるで影法師のようにこの先もずっと僕につきまとい、苦しめつづけるのだ。

                 『自分を愛する力』 p171より引用


 乙武さんのこの告白は私にはずしりときますが、軽々しく感想を申し上げられないことです。

 健康な身体で生活できていることに深く感謝したいと思います。
 
 みなさまもどうぞご参考になさってください。

  


 参考文献:『自分を愛する力』 乙武洋匡 (講談社現代新書)
 
  

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『自分の小さな「箱」から脱出する方法』を読んで

2013年04月19日

 アービンジャー・インスティチュート著『自分の小さな「箱」から脱出する方法』を拝読いたしました。

 この本は今月24日に行われる第28回ビジネス読書会の課題図書です。会員のKさんが選定してくださいました。

 アービンジャー・インスティチュートとは、アメリカ・ユタ州に拠点を置く研究所です。哲学者T・ウォーナーが創設メンバーに加わっていたという異色の集団で、現在はビジネス、法律、経済、哲学、教育、心理学の専門家が一堂に会し、独自のマネジメント研修やコンサルティング業務を行っているそうです。

 この本はよく売れているそうで、初版は2006年11月ですが、私の手元にあるものは2013年3月発行の第36刷です。帯には15万部突破と記されています。

 題名にある「箱」というのはなんのことでしょうか?

 おそらくみなさんが予想されているものと同じです。

 その箱を取り除くにはどうしたらいいのか、ストーリー仕立てで話は進んでいきます。会話形式で話が進んでいくので、進み方がやや冗長に感じますが、内容はかなり深く重要なことだと思いました。

 最終的にはコンパクトにまとめられるので、ここでそれを紹介してしまうと、読書する意味がなくなってしまいます。控えておきますね。

 人が箱に入ってしまう発端は「自分への裏切り」です。

 自分への裏切り
 1 自分が他の人のためにすべきだと感じたことに背く行動を、自分への裏切りと呼ぶ。

         『自分の小さな「箱」から脱出する方法』p110より引用


 アメリカの自己啓発の方法ですので、大変分かりやすいです。

 この本は読書会で感想を共有し合うよりも、ファシリテーターのような方に進めてもらうか、一緒に学びながら読む方がいい本かもしれません。
 
 みなさんもぜひご一読ください。 

  


 参考文献:『自分の小さな「箱」から脱出する方法』
       アービンジャー・インスティチュート(著)、金森重樹(監修)、冨永星(訳) (大和書房)
 

  

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『スタンフォードの自分を変える教室』を読んで

2013年02月20日

 ケリー・マクゴニガルさんのご著書『スタンフォードの自分を変える教室』を拝読いたしました。

 マクゴニガルさんは、ボストン大学で心理学とマスコミュニケーションを学び、スタンフォード大学で心理学の博士号を取得された健康心理学を専門とするスタンフォード大学の心理学者だそうです。スタンフォード大学で最も優秀な教職員に贈られるウォルター・J・ゴア賞をはじめ、数々の賞を受賞、「フォーブス」の「人びとを最もインスパイアする女性20人」にも選ばれたそうです。
 
 この本は自分の潜在能力を引き出す方法を具体的に伝授してくれるものです。2012年10月の発行ですが、大変話題となっていて、よく売れているそうですね。

 美人なマクゴニガルさんの写真が帯に印刷されていて、そういうのも効果の一つかな、とは思います。
 
 10週間の講座を受講するような形で10章に分かれています。この本は10週間もかからずに読めてしまいますが、各章には重要なポイントが一つ紹介されているので、それを適度なペースで実行してほしいと著者は述べています。

 次のような章立てになっています。

 「自分を変える教室」へようこそ
 第1章 やる力、やらない力、望む力
 第2章 意志力の本能
 第3章 疲れていると抵抗できない
 第4章 罪のライセンス
 第5章 脳が大きなウソをつく
 第6章 どうにでもなれ
 第7章 将来を売りとばす
 第8章 感染した!
 第9章 この章は読まないで
 第10章 おわりに


 内容は自己啓発本の内容を科学的に説明したものですので、この類の本をよく読んでいる人には既にご理解されていることが多いかもしれません。

 気になったところをご紹介します。

 あとでエクササイズをしようと思った人は、そのせいで気がゆるんでしまい、夕食をたくさんとってしまいがちです。そういうことが癖になると、今日は怠けてもあとで取り返せばいいということになり、口先だけで終わってしまうのがオチです。

       『スタンフォードの自分を変える教室』 p143より引用


 なんだかありがちなことですが、選択肢のなかに健康なものがあると逆に最も太りそうなものを選んでしまう傾向があるそうです。

 人は目標にふさわしい行動を取る機会が訪れただけでいい気分になってしまい、実際に目標を達成したような満足感を覚えてしまうのです。

       『スタンフォードの自分を変える教室』 p145より引用

 
 我々は多くの場合、周囲から感染して影響を受けているそうです。

 次のような問いがありましたが、みなさまはいかがでしょうか。

 ・あなたの仲間うちの他の人たちも、あなたと同じ問題を抱えていますか?
 ・あなたの習慣は、友人や家族の習慣がうつったものだと思いますか?
 ・一緒に楽しみにふける仲間がいますか?
 ・仲間うちで、あなたと同じ問題の改善に取り組み始めた人はいますか?

        『スタンフォードの自分を変える教室』 p275より引用


 各章の終わりに親切なまとめがついていますから、そこを読むだけでもおおよその内容の把握はできます。

 アメリカ人の講義だから仕方ないのでしょうが、ときどき出てくる嫌味のようなジョークのようなものにはうんざりしました。
  
 この本は、出版のマーケティングもすばらしいのだと思います。

 ご興味のある方は読んでみてください。

  


 参考文献:『スタンフォードの自分を変える教室』 ケリー・マクゴニガル(著) 神崎朗子(訳) (大和書房)
 


  

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『「親切」は驚くほど体にいい!』を読んで

2013年02月04日

 デイビッド・ハミルトンさんの『「親切」は驚くほど体にいい!』を拝読いたしました。

 ハミルトンさんは、イギリスの大手製薬会社で心血管疾患の新薬開発に従事したのち、医薬品科学の知見を日常生活に結びつけるワークショップを開始されました。心と体の健康を「親切」「つながり」などの習慣から追求しているとのこと。現在はグラスゴー大学で指導員を務めながら、執筆活動に携わっているそうです。
 
 この本は、親切をすることで心と体に変化が起き、親切をした本人が幸せになるというメカニズムを教えてくれるものです。宗教的なものではなく、神経ペプチド(神経物質)であるオキシトシンの働きを解明したものです。

 目標達成や夢の実現によって得られる幸せはドーパミンという神経物質が関係していますが、オキシトシンはこれとは違って「心に灯がともるような、ほんのりと長続きする幸せ感」(p7)なのだそうです。 

 ではオキシトシンはどうやったら手に入るのでしょうか?

 体内でつくればいいのだそうです。オキシトシンを分泌するには次のような方法があるそうです。

 1.親切をする
 2.感動する
 3.感情を表に出す
 4.マッサージを受ける
 5.愛する人と精神的に支え合う、スキンシップをとる
 6.ハグをする
 7.ペットをなでる


 「他者とつながるあらゆる行為が、オキシトシンを分泌させる」のだそうです。

 そうはいっても、自分が傷づけられてしまうと、他人に対する思いやりの気持ちが邪魔されてしまいます。

 この本では次のような逸話が紹介されています。

 アパラチア山道でハイキング中に殺害されたモリー・ラ・ルーの父親のジムは、16年後にペンシルベニア州の法廷で、ある選択をしました。犯人を許すことにしたのです。
 死刑が終身刑に減刑された犯人の前で、彼は1通の手紙を読み上げています。
 「ほとんどの人は、加害者を許せば相手を解放するだけだと思っていますが、まったく逆です。許すのは、自分が解放されるためなのです」
  
        『「親切」は驚くほど体にいい!』 p172より引用 
     
 
 ここまで悟るのは簡単なことではありませんが、やってみなければ解放されないのも事実です。

 ガンジーの次のことばも紹介されています。

 「弱い人間は許すことはできない。許しは強い者の資質だ」   p175


 巻末にはどうやって親切をしたらいいのか、具体的な行動例も示されています。

 幸せになれるかどうかは自分の行動にかかっています。

 人生がもやもやしている方はご一読くださいませ。

  


 参考文献:『「親切」は驚くほど体にいい!』 
デイビッド・ハミルトン(著) 有田秀穂(監訳) (飛鳥新社)
 
  

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『大好きなことをやって生きよう!』を読んで

2013年01月29日

 本田健さんのご著書『大好きなことをやって生きよう!』を拝読いたしました。

 本田健さんは神戸生まれで、経営コンサルティング会社、ベンチャーキャピタルなど複数の会社を経営する「お金の専門家」です。『ユダヤ人大富豪の教え』などの著書はすべてベストセラーとなり、著書累計部数は500万部を突破しているそうです。

 このブログでも本田さんのご著書をご紹介したことがあります。
 
 『ユダヤ人大富豪の教え ふたたびアメリカへ篇』を読んで
 http://highlyeffective.naganoblog.jp/e856458.html

 この本は、大好きなことをやって生きるにはどうしたらいいのか、大好きなことをやっているとどうなるのかなどを解説してくれます。

 多くの人が大好きなことをやらない理由として次の6つがあるそうです。

 ①時間がないと感じている
 ②「好きなことをやっていい」という許可が自分におりていない
 ③「好きなことでは生活が成り立たない」と思っている
 ④「才能がない」と思っている
 ⑤お金がないからできない
 ⑥そもそも、好きなことが何かわからない

               『大好きなことをやって生きよう!』より引用  


 これは思い当たることがありますね・・・・・

 しかし、自分の生き方は自分が決めているのです。
 
 あなたは、どんな生き方を選んでもいいのです。誰も、あなたに何かを強制することはできません。しかし、私たちの多くは、いろんな人に遠慮したり、家族やパートナーからのプレッシャーを感じたりして、自分らしくない生き方をしています。
 ただ、最終的に、あなたの両親も、パートナー、子ども、友人、上司、取引先の人たちの誰もが、あなたの幸せに責任を持ってくれるわけではありません。
 あなた以外に、あなたの人生を変えられる人はいません。

           『大好きなことをやって生きよう!』より引用


 自分が大好きなことをしていないのは誰のせいでもなく、すべて自分の責任であるわけです。

 こういう本を読んで、頭では理解ができても、思考が止まってしまう、体が動かない、という現実があります。あとは自分が動くだけなんですけどね。

 読む人を元気にさせてくれる本田さんの本です。

 みなさまもぜひご参考になさってください。一月中に読んでお互いに行動を変えましょう!
 
  


 参考文献:『大好きなことをやって生きよう!』 本田健 (フォレスト出版)
 
  

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『神様の女房』を読んで

2012年12月06日

 髙橋誠之助さんの『神様の女房』を拝読いたしました。

 高橋さんは1940年京都府生まれ、1963年神戸大学経営学部卒業後、松下電器産業(現パナソニック)入社、入社7年目の時に本社勤務の内示があり、以来松下家の執事の職務に就き、20年以上にわたり松下家に関する一切の仕事を担ってきたそうです。2005年、財団法人松下社会科学振興財団支配人の職務を最後に定年退職されました。

 ある会合で篠崎の書店「読書のすすめ」が出張販売をしていて、清水店長のおすすめの本として購入したものです。
 
 タイトルにある「神様」とは、松下幸之助さんのことで、この本はその妻であるむめのさんの人生を描いたものです。むめのさんは平成5年9月5日に97歳で逝去されました。

 この本には日本の古き良き時代の情景が随所に出てきます。

 「うちに勤めたからには、不手際があっては困ります。家名にかかわりますから」
 お手伝いを雇うとき、まずこうぴしゃりと言ったのが、むめのだった。廊下を歩く際には、むめのの先を歩くことは許されなかった。敷かれた絨毯の上を歩くのではなく、両端の床部を歩くように指示した。立ち話は許されない。たとえ廊下でも、正座してから話を交わす。部屋を歩くときには、敷居や畳の縁をふまない。ちゃぶ台は、畳の縁に沿って部屋に正しく置く・・・・・・。できないと、客人の前であっても、叱責が飛んだ。

                『神様の女房』より引用 


 私の子供のころはどこかのおうちに行くと、まだこういう厳しいおばあさんがおられました。

 子供心に「あのおうちに行くと細かいことをいちいち叱られるから行きたくないなあ・・・・・・」と思ったのを記憶しています。

 いまではこのような細かいことを厳しくしつけるお宅もなくなったのですが、逆に日本らしさもなくなってきました。

 なんだか少し寂しい気もいたします。

 松下電器産業の発展には影でのこういった精神的な支えもあったのではないでしょうか。

 松下幸之助を支えたむめのさんという方はどういう方だったのか、みなさまもご参考になさってください。

  


 参考文献:『神様の女房』 高橋誠之助 (ダイヤモンド社)
 

  

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居心地のよい不安定感

2012年11月23日

 ピーター・セージさんのご著書『自分を超える法』をより引用いたします。
 
 「人生の質は、あなたが居心地のよさを感じられる、不安定感の量に正比例する」

 つまり、「居心地よいと感じられる程度の不安感の領域」が多くなればなるほど、人生の質が高くなる、ということです。

                    『自分を超える法』より引用


 安定感があればあるほど人生の質はよくなると考えてしまうのが常ですが、実際には、何も起こらない人生はあまり面白くない、と私は思います。

 毎日のつらい出来事に悩みながらも、苦労してそれを乗り越えていくところに、実は喜びや幸せがあります。

 リスク(=不安定感)を取ろうとせず、「安定感の中毒」になっていると、結局、長期的には、少ない取り分で生涯を終わります。つまり、簡単にいうと、リスクを取らずに「お金持ち」になる方法など、存在しないということです。
      
           『自分を超える法』より引用


 お金持ちになるかどうかは別としても、「安定感の中毒」になるよりは、不安定のバランスの上で挑戦している方にいたい、と思います。

 企業経営をされている方は多かれ少なかれ不安定感をもっているでしょう。それは大変なことかもしれませんが、決して悪いことではなくむしろ豊かなことである、と思えてくるのです。

  


 参考文献:『自分を超える法』 ピーター・セージ(著) 駒場美紀+相馬一進(訳)
 
  

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5つの強み

2012年11月20日

 マーカス・バッキンガム、ドナルド・O・クリフトン著『さあ、才能に目覚めよう あなたの5つの強みを見出し、活かす』には、自分の5つの強みを見つけることのできるテスト(ストレングス・ファインダー)の権利がついています。

 この本はかつて勝間和代さんが薦めていたこともありましたね。

 私は購入してからなんとなく読む気がしなくてしばらく放ってありました。
 最近お付き合いのある友人の多くがこのテストをやっていて、その結果を共有しているので、私もやってみることにしました。

 この本には人間の34の資質が抽出してあり、テストを行うことによって、その人の傾向の強いものから順に5つ選んでくれるのです。(新品の本を買わないとテストはできません。)

 34の資質とは次のようなものです。
 
 アレンジ、運命思考、回復思考、学習欲、活発性、共感性、競争性、規律性、原点思考、公平性、個別化、コミュニケーション、最上志向、自我、自己確信、社交性、収集心、指令性、慎重さ、信念、親密性、成長促進、責任感、戦略性、達成欲、着想、調和性、適応性、内省、分析思考、包含、ポジティブ、未来志向、目標志向


 私の結果は・・・・・・

 達成欲
 コミュニケーション 
 競争性
 自己確信
 目標志向


 この結果、どうなんでしょう?私のイメージとあっていますか?

 コミュニケーションだけはやさしさがあるように思いますが、あとはすべて外に向かって戦う感じですか???

 達成欲の説明にはこんなことが。

 達成に対するあなたの執拗な欲求は、必ずしも論理にかなっていないかもしれません。方向すら定まっていないかもしれません。しかし、飽くことを知らず常にあなたについてまわります。達成欲の旺盛なあなたは、このわずかに満たされない気持ちとうまくつきあっていけるようにしなければなりません。

                『さあ、才能に目覚めよう』より引用  


 みなさまもやってみてください。私と共有しましょう。

  


 参考文献:『さあ、才能に目覚めよう あなたの5つの強みを見出し、活かす』
 
  

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