しなかったことには興味がない。何をしたのか?

2024年10月07日

 ようやく夏の暑さが終わり、秋の涼しさを感じることができるようになりました。みなさまいかがお過ごしでしょうか。

 日頃は大変お世話になっております。誠にありがとうございます。

 このブログでは、ドラッカーの『現代の経営(上)』を読んでおります。

 今回は「第13章 組織の文化」の「評価の必要性」の節からご紹介します。

 ドラッカーは、強みを生かすことについて、よく言及します。

 要点をつく話がイギリスにある。二〇代前半で首相となり、僭主ナポレオンに抵抗する唯一の国を率いて、国民に勇気と決意とリーダーシップを示した小ピットは、私生活でも高潔な人だった。腐敗した時代にあって、あくまでも公正だった。道徳の乱れた時代にあって、誠実な夫であり父だった。その彼が若くして世を去り天国の門をくぐろうとしたとき、聖ペテロが「政治家であるお前がなぜ天国に入れると思うのか」と聞いた。
 小ピットは、賄賂も受けず、愛人ももたなかったと答えた。しかし聖ペテロは、「しなかったことには興味がない。何をしたのか」と再び聞いたという話である。

 できないことはすることができない。しないことについて何かを達成することはできない。人は強みを生かして初めて、何かをすることができる。何かをすることによって、何かを達成できる。したがって人の評価は、その人ができることを引き出すものでなければならない。その人の強みを知り理解して初めて、「彼の強みを生かしてさらに進歩させるには、いかなる弱みを克服させなければならないか」を考えることができる。したがって人の評価は、その人ができることを引き出すものでなければならない。その人の強みを知り理解して初めて、「彼の強みを生かしてさらに進歩させるには、いかなる弱みを克服させなければならないか」を考えることができる。
  弱みそのものは、通常誰の目にも明らかである。しかし弱みにはいかなる意味もない。重要なことは、さらによりよく行い、さらにより多くを知り、さらに成長していきたいという欲求である。それらの欲求が、より優れた、より強い、より成果をあげる人間をつくりあげる。

               『現代の経営(上)』 p208より引用

 
 ・・・しなかったことには興味がない。何をしたのか?・・・

 この文章は、原著では次のように表現されています。

 “We aren’t a bit interested in what you didn’t do; what did you do?”

 「何をなしとげたのか???」 

 そのように聞かれても、すらすらと話すことはできる人は少ないでしょう。厳しく鋭い質問ですね。

 そして、次の言葉です。

 ・・・できないことはすることができない。しないことについて何かを達成することはできない。人は強みを生かして初めて、何かをすることができる。何かをすることによって、何かを達成できる。・・・

 この文章は原著では以下のように表現されています。

 One cannot do anything with what one cannot do. One cannot achieve anything with what one does not do. One can only build on strength. One can only achieve by doing.

 特に、後半の二つの文章が核心を突いています。

 「強みの上においてのみ、何かをなすことができる!行動することによってのみ、達成できる!」

 社会の役に立ちたい、成果を上げたい、というのなら、自分の強みに集中することです。マネジメントは、その強みを評価してあげることです。

 そして、強みをもって、行動量を増やすことです。

 成果が上がらないのは、成果が上がるまでの行動をしていないからです。

 日常生活に飽きないで、慣れないで、とにかく強みに基づいて、行動、行動、また、行動です。

 社員の行動をみると、私の基準からしたら気に食わないことは多々ありますが、それがその人の強みに関係することならば、大目にみて、言下に否定はしないようにしています。もちろん、コンプライアンスを軽視するようなことはすべて否定します。
 気に食わないことを受け入れることは、私にはストレスになりますが、長期的には本人の成長のためではなる、と思います。

 逆に、責任逃れをする人や、言われたことしかやらない人は、自分の弱みをかばう行動をしている人だと思います。会社において、このような人たちの強みを引き出していくのは、時間がかかります。
 若いうちにこのような姿勢で固まっている人も多いですが、若いので、とりあえずはどこでも採用してもらえます。こういう人たちは「作業はしているのだから、自分が悪いのではなく、悪いのは会社だ」と勘違いする状態が続くことになります。

 やはり、人生も仕事も人間性がもっとも大切だ、と私は思っています。

 すべての人の強みが生かされて、成果に結びつくことを祈って。

 いつもご利用ありがとうございます。今月もよろしくお願いいたします。


 追伸
 ドラッカーは、ウィーン生まれで、母国語が英語ではないので、英語がとても分かりやすいのですよね。興味のある部分を英語で読むのもよいですよ。


 


 参考文献:
 『現代の経営[上]』 P.F.ドラッカー (ダイヤモンド社)
 https://www.amazon.co.jp/dp/B0081M7YFS/ref=nosim?tag=shachouinshin-22

 "The Practice of Management" Peter.F.Drucker HarperCollins e-books
 https://www.amazon.co.jp/dp/B003F1WM8E/ref=nosim?tag=shachouinshin-22

 稲盛和夫さんのいろいろな書籍を繰り返し読んで、勇気を頂いております。

 『経営12カ条』 稲盛和夫著 (日本経済新聞出版)
 http://www.amazon.co.jp/dp/B0BCP29Z13/ref=shachouinshin-22

 Hitoshi Yonezu at 14:38  | ドラッカー

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