上田城の桜は五分咲きです。今週末には見ごろとなるでしょう。みなさまいかがお過ごしでしょうか。
日頃は大変お世話になっております。誠にありがとうございます。
このブログでは、ドラッカーの『現代の経営(上)』を読んでおります。
今回は「第14章 CEOと取締役会」の「ボトルネックはボトルのトップにある」の節の二回目です。
ドラッカーは、小さな事業を大企業に育て会長に退いた経営者の話を聞いて、CEOの仕事と責任をリストにまとめました。
CEOは事業を検討する。全体の目標を設定する。目標を達成するために必要な意思決定を行う。そして、それらの目標と意思決定の内容を組織全体に理解させる。経営管理者に対し、事業を全体として見るよう教え、全体の目標から自分たちの目標を導き出すことを助ける。彼らの仕事ぶりと成果を、それらの目標に照らして評価する。さらに、必要に応じて事業の目標を点検し、修正していく。
CEOはマネジメントの上層の人事について決定を行う。また、下位のマネジメントにいたるまで、経営管理者の育成が行われるようにする。組織の構造について基本的な決定を行う。経営管理者に対し何を考えるべきかを考えさせ、その意味を理解させる。製品別の事業部門と機能別の部門との関係を調整する。部門間の対立を仲裁し、個人的な不和を防止し修復する。
航海中の船長のように、緊急時には自ら指揮を執る。
『現代の経営(上)』 p224より引用
マネジメントについて大切なことが列挙されていますが、経営者の人格や人間性の話題はでてきません。
引用した文章のうち、二つ目の段落は、人事について示されています。
マネジメントの上層の人事を決定し、下位のマネジメントに至るまで経営管理者の育成を行うこと。
組織の構造について基本的な決定を行うこと。
経営管理者に対し何を考えるべきかを考えさせ、その意味を理解させること。
この部分を原書で読んでみましょう。
The chief executive makes the decisions on senior management personnel. He also makes sure that future managers are being developed all down the line.
He makes the basic decisions on company organization. It is his job to know what questions to ask of his managers and to make sure they understand what the questions mean. He co-ordinates the product businesses within the company and the various functional managers. He arbitrates conflicts within the group and either prevents or settles personality clashes. Like the captain of a ship, he takes personal command in an emergency.
これらの人事に関わる仕事は、トップマネジメント(社長)の人格や人間性と大きく関わっていると思います。
例えば、昨今ニュースをにぎわしているコンプライアンスの問題は、トップマネジメントが許しているか、見逃しているから発生すると考えるからです。
冒頭の引退した経営者は次のように述べたそうです。
When he finished, saying: “The best thing I ever did for the company was to pick this man as my successor,”
「私の最大の貢献は、この人を社長に選んだことだ」
いつもご利用ありがとうございます。
今月もどうぞよろしくお願いいたします。

参考文献:
『現代の経営[上]』 P.F.ドラッカー (ダイヤモンド社)
https://www.amazon.co.jp/dp/B0081M7YFS/ref=nosim?tag=shachouinshin-22
"The Practice of Management" Peter.F.Drucker HarperCollins e-books
https://www.amazon.co.jp/dp/B003F1WM8E/ref=nosim?tag=shachouinshin-22
Hitoshi Yonezu at 10:08
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