上司には真摯さが必要
2025年01月01日
謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
昨年は大変お世話になりました。誠にありがとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
このブログでは、ドラッカーの『現代の経営(上)』を読んでおります。
今回は「第13章 組織の文化」の「マネジメントの適性」の節です。
この節では、マネジメントの適性が「真摯さ」であることについて詳しく書かれています。
いかなる仕組みをつくろうとも、マネジメントへの昇格人事で日頃いっていることを反映させなければ、優れた組織の文化をつくることはできない。本気であることを示す決定打は、人事において、断固、人格的な真摯さを評価することである。なぜならば、リーダーシップが発揮されるのは、人格においてだからである。多くの人の模範となり、まねされるのも人格においてだからである。
真摯さは習得できない。仕事についたときにもっていなければ、あとで身につけることはできない。真摯さはごまかしがきかない。一緒に働けば、特に部下にはその者が真摯であるかどうかは数週間でわかる。部下たちは、無能、無知、頼りなさ、不作法などほとんどのことは許す。しかし真摯さの欠如だけは許さない。そして、そのような者を選ぶマネジメントを許さない。
真摯さは定義が難しい。しかし、マネジメントの仕事につくことを不適格にするような真摯さの欠如は、定義が難しいということはない。
『現代の経営(上)』 p218より引用
マネジメントの仕事については、定義が難しくないという「真摯さの欠如」について、ドラッカーが提示した事例を以下にまとめます。
①人の強みではなく、弱みに焦点を合わせる者をマネジメントの地位につけてはならない。人のできることは何も見ず、できないことはすべて正確に知っているという者は組織の文化を損なう。
②「何が正しいか」よりも「誰が正しいか」に関心をもつ者を昇進させてはならない。仕事の要求よりも人を問題にすることは堕落である。
③真摯さよりも頭脳を重視する者を昇進させてはならない。そのような者は未熟だからである。
④有能な部下を恐れる者を昇進させてはならない。そのような者は弱いからである。
⑤自らの仕事に高い基準を定めない者も昇進させてはならない。仕事やマネジメントの能力に対する侮りの風潮を招くからである。
『現代の経営(上)』 p219より抜粋して引用 番号を入れました
①何でもできる、すべての分野において強みをもっている、という人はなかなかいません。誰にも強み、弱みはあります。人の弱みに焦点を合わせる者は、人の良いところをほめることができないと思います。弱みや間違いを指摘することは誰でも出来ますが、よいところを見つけて評価するのはなかなか難しいことです。
②誰が正しいか、に関心をもつということは、えこひいきか、ごますりをすることだと思います。会社の外部におられるお客さまのことを忘れて、会社の内部のほうが大切だと考え、内部の対策に走っているわけです。
①と②について、嫌いな人の弱みを強調して排除し、正しいことを言う人よりも自分の好みの人を選んで周りを固める人は、結局、わがままで自己中心的な人だと思います。この人が何に価値に置いているかを見極めたほうがいいですね。(お金、愛人、召使い、地位、・・・)上司がこういう人だったら、すぐに逃げるべきです。
③頭の良さのようなものが大切な部分はありますが、それもよりも真摯さが大切であります。人をまとめたり、全員に実行させたりするのは頭脳だけではできないからです。
④自分を超えようとする部下を恐れるのは、自分に力がないからです。周りの者は心の中で「早く代わって」と思っているかもしれません。
⑤高い基準を持とうとしない者は、今のままでいい思っていて、何もしない人です。会社員にはありがちですが、自分の地位を保ち、自分のいる期間だけは成績を保ちたいということでしょう。
この説の最終部分には次のようにまとめられています。
知識がなく、仕事もたいしたことがなく、判断力や能力が不足していても、害をもたらさないことはある。しかし真摯さに欠ける者は、いかに知識があり、才気があり、仕事ができようとも、組織を腐敗させる。企業にとって最も価値ある資産たる人材を台無しにする。組織の文化を破壊する。業績を低下させる。
(中略)
したがって、特にトップマネジメントへの昇進においては真摯さを重視すべきである。要するに、部下となる者すべての模範となりうる人格をもつ者だけを昇格させるべきである。
『現代の経営(上)』 p219-220より引用
上記の最後の一文を原書で読んでみます。
In appointing people to top positions, integrity cannot be overemphasized. In fact, no one should be appointed unless management is willing to have his character serve as the model for all his subordinates.
トップを任命するには真摯さが強調される過ぎることはないのです。そして、すべての部下たちの模範になるような人格の人をトップに任命すべきなのです。
ドラッカーの「真摯さ」は、やはり人格に関わるものであると考えてよいでしょう。
仕事は、日々、月々、年々、いろいろな経験をしながら、少しずつでも人格を上げていくところだと思っています。
新年を迎えて、あらためて日々反省をしながら生きていきたいと思っています。
いつもご利用ありがとうございます。
新年がみなさまにとりまして、ますます幸せな年となりますことを心より祈念しております。
参考文献:
『現代の経営[上]』 P.F.ドラッカー (ダイヤモンド社)
https://www.amazon.co.jp/dp/B0081M7YFS/ref=nosim?tag=shachouinshin-22
"The Practice of Management" Peter.F.Drucker HarperCollins e-books
https://www.amazon.co.jp/dp/B003F1WM8E/ref=nosim?tag=shachouinshin-22
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