『世界を知る力』を読んで

2010年03月02日

 『世界を知る力』は、日本総合研究所の会長で、多摩大学の学長でもある寺島実郎先生がその経験と知見から、いまの世界認識を説くものです。マスコミでもおなじみの有名な方ですね。

 寺島先生は三井物産のご出身で、アメリカや中東など海外での滞在も豊富です。学生や若い会社員に語りかけているような文章ですから、政治経済のことがあまり詳しくない方でも、わかりやすく読むことが出来ます。

 この本を読んで、日本人の世界についての見方は相当偏っているということを感じました。簡単に言ってしまえば、我々はアメリカというフィルターを通してものを見ているということです。

 例として、上下を逆さまにしたアジアの地図を掲載されていますが、これを見ると、日本はロシアや中国、韓国と同じ国ではないかというくらい近い関係にあることが分かります。アメリカを臨む太平洋を中心にした地図では見えてこないことです。

 驚いたことには、ロシアのサンクトペテルブルグ大学の日本語学科の母体となった日本語学校が設立されたのは、なんと1705年のことだったそうです。1853年のペリーの浦賀来航より150年も前に、ロシアの西側に日本語学校が出来ていたということ、皆さまはご存知でしたか?
 それだけ日本とユーラシア大陸との関係が深かったのです。先ほどの地図でもわかるように、西洋に行くには、太平洋を渡るより断然ロシアを横断したほうが確実なのです。

 また、「日米関係は米中関係である」という言葉(松本重治さんの言葉だそうです)を、この本で初めて知りました。
 日本人がアメリカに負けたと思っている太平洋戦争は、実は中国とアメリカの連携によって負かされたということ、そしてその後の日本の復興に関する米中の政治的な関係(偶然)を知ると、私は余りにもものを知らなさすぎるのではないか?と反省してしまいました。

 すべてが間違いのない真実なのかどうか、私には確かめるすべはありませんが、現代日本人の知見はかなり偏っているということ、歴史から紐解くとこういう見方になるということ、を知るためにみなさまにぜひ読んで頂きたい本です。
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 参考文献:『世界を知る力』 寺島実郎 (PHP新書)
 

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