榎本まみさんのご著書『督促OL修行日記』を拝読いたしました。
榎本さんは大学卒業後信販会社に入社し、支払い延滞客への督促を行うコールセンターに配属されました。多重債務者や支払困難客に怒鳴られながらお金を回収する日々の中、気弱な性格でも言い負かされず回収できる独自のメソッドを開発しました。いまでは300人のオペレーターに指示を出し、年間2000億円の債権を回収しているのだそうです。
この本は榎本さんがお客さんから罵声を浴びてストレスで病気になりかけながらも、何とか頑張って督促の仕事が好きになっていく実体験を記したものです。著者のブログ「督促OLの回収4コマブログ」をベースにしているそうです。
決して気の強い女性ではないのに、どんなつらい状況でも立ち向かっていく榎本さんには、底力のようなものがあります。押しが強いわけではなく、むしろ謙虚さや控えめというような印象も感じるのです。
仕事に追われる榎本さんの毎日はすごいものがあります。
毎日家に帰ると倒れるように眠ってしまうので、掃除も洗濯もできずに洗濯物がどんどん溜まっていく。替えの下着がなくなると乗換駅のユニクロでパンツを買って帰った。ユニクロが閉まっているとコンビニに行く。コンビニで売っているパンツはお世辞にもあんまりかわいくないと思うんだけどこの際しかたがない。
(中略)
その頃私はコンビニパンツが家にあふれたため、紙パンツ生活に突入していた。これではまぁ、彼氏どころではない。「紙パンツをはいた女は、フラれても仕方ないよなあ・・・・・・」
『督促OL修行日記』より引用
これには何ともコメントがつけられませんね・・・・・・
いくつか電話のテクニックも紹介されていました。
「とにかく、ゆっくりしゃべって。そうしたら自信がありそうに聞こえるから。」
(中略)
督促をする私たちがゆっくりしゃべると、お客さまも釣られてゆっくりとしゃべってくれる。人間、怒ってる時は自然と早口になってしまうが逆にゆっくりした口調で怒ることは難しい。だからゆっくりしゃべると、穏やかな雰囲気で交渉をすることができる。
こうして先輩方はついつい険悪になりがちな督促の電話でも印象よく会話することに成功していたのだ。
『督促OL修行日記』より引用
私はそもそも早口なので気をつけたいことです。
読み物としておもしろいのですし、難しいことは書いてないので、1時間くらいで読めてしまいます。
OLの行う督促の世界ってどんなものなのか、ご興味のある方は読んでみてくださいね。

参考文献:『督促OL修行日記』 榎本まみ (文芸春秋)
Hitoshi Yonezu at 10:00
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