『静思のすすめ』は、有名な人気僧侶で、奈良の薬師寺の執事を務めておられる大谷徹奘さんが、「法句経」の中にでてくる「静思」(仏教ではじょうしと読む)の考え方を解説してくださる本です。
大谷さんは、年間に二百回、四万人もの方へ説法をされているそうです。
法句経とは、お釈迦さまが普段から口癖のようにおっしゃっていた小句をもとにしてつくられた原始経典の一つで、「お釈迦様のお言葉にいちばん近い経典」と呼ばれているものです。
広辞苑によれば、静思とは「せいし」という読みで、「しずかに心を落ち着けて思うこと」です。
大谷さんは、「自分の損得や好き嫌いを一度横に置いて、立ち止まってよく考えること」だといいます。「静思」と出会った大谷さんは、さまざまな場面で救われてきたのだそうです。
人間は、生まれてから死に向かって一直線に進んでいるといっても過言ではありません。死ぬために生きているのでしょうか。
死んだらすべてがお終いだとしたら、いったい何のために生きているのでしょうか。
大谷さんは、死は、個人の終わりであっても、その死と同時に先祖と呼ばれる人の予備軍となることであり、後には見事な先祖になる、ということだそうです。
生きている自分が横軸だとしたら、命の流れは縦軸だといいます。横軸と縦軸を同じ濃さの色合いで生きるということを、大谷さんはいま一番静思しているそうです。
では、お子さんのいらっしゃらない方はどのように考えたらいいのか・・・と思いましたが、そのことは書いてありませんでした。
私は、のちの世代によい影響を残す生き方をする、ということだと思います。
私は仏教の本を読むのも好きですし、お坊さんの法話も好きです。仏教を学べば、人生に有意義な何かが分かるのではないか・・・とずっと思ってきました。
先月、ある会で福岡に勉強会に行った時には、いくつかある分科会の中から、ささぐり南蔵院ご住職の林覚乗さんのお話を選びました。
昨秋、同じ会で京都に行ったときにも、延暦寺一山、大乗院ご住職、大阿闍梨の光永覚道さんのお話をお聞きしました。
迷いがある方は、まず仏教の本を読んでみるのもよいことです。
関連ブログ:
『京都にてユース会』http://highlyeffective.naganoblog.jp/e337334.html
『一日一生』 http://highlyeffective.naganoblog.jp/e305504.html

参考文献:『静思のすすめ』 大谷徹奘 (文春新書)
Hitoshi Yonezu at 10:00
| 読書感想