『「5年後の世界経済」入門』を読んで

2014年01月10日

 中原圭介さんのご著書『トップリーダーが学んでいる「5年後の世界経済」入門 いま知っておくべきこと、やるべきこと』を拝読いたしました。

 中原さんは経済・金融のコンサルティング会社「アセットベストパートナーズ株式会社」のアドバイザー兼エコノミストとして活動されています。中原さんのご著書は以前にもご紹介したことがあります。

 『金融危機で失った資産を取り戻す方法』を読んで
 http://highlyeffective.naganoblog.jp/e563545.html

 『お金の神様2 勝ち切る投資』を読んで
 http://highlyeffective.naganoblog.jp/e845733.html
 
 この本はこれから世界の経済がどのような方向に進んでいくかを教えてくれるものです。

 「内戦もありうる中国からは撤退すべし」とか「今後アメリカは製造業大国になる」など大胆な予測もあり楽しく読むことができました。
 
 アベノミクスで行われている金融緩和については次のように述べています。

 結局、日銀が金融市場への資金供給をいくら増やしても、体力のない中小企業は恩恵を受けることができません。
 つまり、日銀が行う量的緩和は、大企業には有利に、中小企業には不利に働いて、経済格差をますます拡大させる結果をもたらしているわけです。

         『「5年後の世界経済」入門』 p166-167より引用

 
 中小企業は一般的に財務基盤が弱く、銀行からよい評価を受けることができないために、貸出金利は3%台になっているそうです。一方、大企業を中心とした財務力のよい企業はより安く資金を調達できるのです。日本の労働者の9割が勤めている中小企業にとって、金融緩和はあまり恩恵がなく、そこで働く労働者の給料や雇用にも影響は及ばないのだそうです。
 
 昨今、私の友人が経営する中小企業でも、海外へ工場を出す会社が増えてきました。
 中原さんは、海外に移転した企業は、円安になるという理由だけでは国内に回帰することはない、といいます。
 
 ただ、他の二つの理由によって国内回帰をする企業が増えるだろうと予測します。
 一つは2017年以降、アメリカからのシェールガスの輸入が始まり、エネルギーコストが大幅に下がること、もう一つは中国をはじめとするアジア諸国の人件費が高騰し日本の相対的な人件費が下がること、です。
 この二つの要因を考えると、日本経済が苦しいのはあと5年くらいだということです。(p171)

 中原さんは、岡山から全国へ、そして海外へも進出し急成長しているクロスカンパニーを紹介されています。アースミュージック&エコロジーのお店で有名な会社ですね。同社では全社員を正社員にして、社員を大切にしています。
 
 クロスカンパニーを例にして、次のように述べられています。

 「地方で成功している企業の特徴は、従業員とその家族、そして取引先を、まず大事にすることです。その先に顧客の利益があって、株主の利益は一番後回しにしています」
 
            『「5年後の世界経済」入門』 p190より引用


 日本の中小企業においては、株主=経営者の場合が多いですから、株主が最後ということは経営者が自分自身をいちばん最後にするということですね。

 その志を私も肝に銘じたいと思います。
 
 みなさまもどうぞご参考になさってください。
 
  



 参考文献:『トップリーダーが学んでいる「5年後の世界経済」入門 いま知っておくべきこと、やるべきこと』
             中原圭介 (日本実業出版社)
 


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