『金融危機で失った資産を取り戻す方法』を読んで

2010年09月22日

 中原圭介さんは、経済を一般的な見方とは一線を画したユニークな切り口でとらえる、有名なエコノミストです。ブログや週刊誌などでも金融に関する様々な情報を発信されています。

 中原さんの書かれた『金融危機で失った資産を取り戻す方法』は、2009年10月初版発行です。
 この本の中で、2009年12月に行われたCOP15(国連気候変動枠組締約国の会議)の予想をされていて、書いてある通りにはなっていないので、いまから読んでも遅いのではないかと思ってしまいましたが、今後起こり得る可能性があると言及されている「環境バブル」のメカニズムが詳しく解説されているという点に、一読の価値がありました。

 投資の方法だけに限定されているような題名ですが、内容はほとんどが環境バブルと世界経済のことです。題名をもっと上手につければよいのでは、と思いますが・・・もったいないですね。

 私はこの本を読んで、日本のことが少し心配になりました。いつも同じようなパターンで、日本は世界から外されようとしています。
 
 日本は、世界でも有数の環境技術をもった国だと思っていましたが、この本によれば、実ははっきりとわからない形で世界の趨勢から取り残されつつあるのです。

 いくつかの理由が挙げられています。

 例えば、「脱化石エネルギー化」が進むと、いままで日本が蓄積してきた工業製品の優位性が失われてしまう可能性があるいうことです。

 電気自動車が広がっていくと、家電量販店でも売られるようになると喧伝されていますが、ガソリン車では必要とされていた日本の高度な技術力「すり合わせ技術」などは不要となり、誰が組み立てても同じ性能になるのだそうです。

 さらに、いまの家電のように、電気自動車のコモディティー化が進むと、個別商品間の差別化よりも、価格や量を基準にして購買行動が行われるようになっていくのだそうです。ブランド価値を求めなくなるのですね。

 陰謀論だけの肩をもつつもりはありませんが、世界の大きな流れの中で、いつも日本だけが損を全面的に受ける役回りになりがちです。

 日本も大きな枠組みをとらえて、長期的な利益を獲得できる国であってほしいと思います。

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 参考文献:『金融危機で失った資産を取り戻す方法』 中原圭介 (フォレスト出版)
 

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