償却が終わったら

2012年08月05日

 会社で使用している機械や設備などの償却が終わると(リース期間が終了したり、借金を返済し終わったときです)、よかった~これからはただで使えるぞ~と考えてしまうのが人情です。

 ドラッカーは『明日を支配するもの』で次のように述べています。

 第二に、製品、サービス、プロセス、市場が、償却ずみを理由として維持される状況にいたったならば、廃棄が正しい行動である。償却という概念は。税務上しか意味がない。経営上は、コストのかからない資産など存在しない。問題は、いくらかかるかではない。何をもたらすかである。帳簿上コストがかからないがゆえに、何かを生み出しているように見えるだけの資産は、資産とはいいがたい。そこにあるのは、埋没コストだけである。

                 『明日を支配するもの』 p84より引用


 償却し終わったものは廃棄すべきだというのです。

 償却が終わるころには、機械や設備は性能が悪くなり、故障が増えます。

 そういうことに対応する手間や費用を考えたら、新しいものに更新して、効率をあげた方がよいのです。

 私も古い設備を大切に思って、伸ばし伸ばしで使っていたら、肝心なときに壊れてしまったという経験があります。

 人情に働きかけてくるのはサンクコスト(埋没費用)です。サンクコストはもったいないと思う気持ちを引き起こす原因ですが、決して返ってくることのない費用です。返ってこないものにこだわっているのは意味がありません。

 ものを大切に使う気持ちは尊いですが、マネジメントにおいては感情を抜きにした冷静な判断が求められます。

 この機械、設備が、会社に何をもたらしてくれるのか?と考えねばならないのです。


  


 参考文献: 『明日を支配するもの―21世紀のマネジメント革命』
            P.F.ドラッカー(著) 上田惇生(訳) (ダイヤモンド社)
 

 参考ブログ:
 「いつ廃棄するか」
 http://highlyeffective.naganoblog.jp/e911148.html

 「サンクコストと未来」
 http://highlyeffective.naganoblog.jp/e1064005.html

 Hitoshi Yonezu at 10:00  | ドラッカー

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