かつては価格破壊

2012年05月03日

 先日このブログで、日本マクドナルドの原田泳幸さんの『勝ち続ける経営』をご紹介しました。

 原田さんはデフレ下において値下げをすることなく会社を立て直し、利益を上げてこられました。

 参考ブログ:「価値を上げ続ける経営」
 http://highlyeffective.naganoblog.jp/e999859.html

 大変興味深い本で参考になりましたので、では、日本マクドナルドの創業者である藤田田(ふじたでん)さんが何を言っておられたのだろうか、と確認してみたくなりました。

 本棚に日本マクドナルドの藤田さんの著書『勝てば官軍』がありましたので、さっと読んでみました。いまから16年前、1996年に書かれたものです。

 デフレについて藤田さんは次のように述べておられました。

 デフレ下では、生存競争はいちだんと苛烈になり、敗者必然、生き残るためには他人を滅ぼしてでもおのれは勝ちぬかなくてはならぬ。
 わたしは、その冷厳な哲理を全社に徹底させ、「勝利か死か」、日本マクドナルドの存亡を賭けた「価格破壊強襲作戦」の開始宣言には、この文体こそがふさわしいと考えたのだ。
 デフレ経済下で自分が生き残るためには価格破壊しかない。
 安く売ってお客をよけいに獲得する。お客を取られた企業はつぶれる。そうなれば全国的に大規模な失業問題が起きてくるだろう。だが、失業問題をいかにするかを考えるのは政治家の仕事であって、私の仕事ではない。
                  藤田田著 『勝てば官軍』より引用

 
 藤田さんはアメリカからマクドナルドを日本に輸入して全国に広げた偉大な経営者です。

 原田さんの経営とは随分違います。「価格破壊強襲作戦」の成否は別としても、このときにはこのやり方が選択肢の一つだったわけです。

 朝令暮改という言葉がありますが、何かに頑固に拘るのではなく、そのときに最も適切だと決断した経営戦略を実行することが大切でしょう。

 カリスマ経営者であった藤田さんも永遠ではありません。

 日本マクドナルドは後の世代の経営者がまた違った方法で経営をされ、成功されています。
 
 社長は自分しかできないだろう・・・・・・と思いがちですが、それは社長の傲慢な考えです。そんなことはないのです。

 立派な経営者をつなげているマクドナルドはすごいなあと感じました。

   



 参考文献:
 『勝てば官軍』 藤田田 (KKベストセラーズ)
 

 『勝ち続ける経営 日本マクドナルド原田泳幸の経営改革論』 原田泳幸 (朝日新聞出版)
 

 参考ブログ:
 「価値を上げ続ける経営」
 http://highlyeffective.naganoblog.jp/e999859.html

 「失敗を失敗で終わらせない」
 http://highlyeffective.naganoblog.jp/e957020.html

 「『とことんやれば、必ずできる』を読んで」
 http://highlyeffective.naganoblog.jp/e956591.html

 「マクドナルドの商法」
 http://highlyeffective.naganoblog.jp/e756430.html

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