『マネー避難』は、フジマキ・ジャパンの社長、経済評論家として、マスコミなどで広く活躍されている藤巻健史さんが、今後の日本経済について予測した本です。
先般ご紹介した朝倉慶さんの『2012年、日本経済は大崩壊する!』と同様に、その内容は決して明るいものではありません。
参考ブログ:「『2012年、日本経済は大崩壊する!』を読んで」
http://highlyeffective.naganoblog.jp/e790238.html
藤巻さんは、アパレルのカリスマとして有名な弟の藤巻幸夫さんとともに大変よく知られた兄弟ですね。
藤巻さんの本は何冊か読んだことがありますが、基本的に昔から円安論者です。
この本では、破綻寸前の日本の財政に追い打ちをかけるかのように大震災が起こってしまったために、近い将来、国債が完売できない「未達」が起こるだろうと述べています。
国債の未達を契機として、瞬間的に株と円と国債が大暴落するだろうというのです。
日本人が国債の95%をもっているのになぜ危険なのか?という問いに対しては、先物市場があるからだといいます。
先物市場はレバレッジがききますから、小さなお金で大きな取引をすることができますし、決済日が将来ですから、売りを先行することが出来ます。
もしも、外国人投資家が、日本国債の価格が将来下がると判断するなら、先物取引を使って国債に売りを浴びせてきます。
先物の場合は、初めに国債を所有していなくても、売りを先行させ、価格が下落するのを待って、決済日にまでに買い戻せばいいのです。
藤巻さんは、円安になれば、日本は今までよりは質素な生活を強いらるものの、企業にとっても、個人にとっても、好ましい環境になるそうです。円高を是正することで日本は復活するという説です。
私の同級生のO君は、国債は安全だという説で、私のブログを読んでは、情報を教えてくれます。
昨日は7月29日の東京新聞夕刊の切り抜きを私に送ってくれました。
それによると、財務省が発表した2010年度特別会計の歳入から歳出を差し引いた剰余金は、41兆9000億円もあるのだそうです。
私が調べたところによると、特別会計の中の大きなものは「国債整理基金特別会計」ですが、一般会計の国債費と会計の計上が重複している部分があるそうです。
特別会計のことになると、あまりにも複雑で、私もよく理解しておりません。この本でも特別会計については触れられていません。
藤巻さんは、アメリカについては、このところ財政赤字の累積上限額が大きな問題となっていましたが、将来も基軸通貨であり続けると予想されています。
その理由は、輪転機を回すだけで世界中の富が買える最高の国益をアメリカが手放すとは思えないから、とのことです。
また、将来の円安を予測していますから、国際分散投資、特にアメリカへの投資を勧めています。政治力、経済力、軍事力のあるアメリカに資金を退避させるべきだといいます。
アメリカにかなりの信頼をおいておられるようですが、なぜなのか説明が少なかったので、もう少し詳しく書いてほしかったところです。
この本はあまり難しい言葉を使わずに、分かりやすい論理で書かれています。
さまざまな識者の書籍を読んで、これからを生き抜くための自分の考えをもちたいと思います。
一つの考え方として、皆さまもぜひご一読ください。

参考文献:『マネー避難』 藤巻健史 (幻冬舎)
Hitoshi Yonezu at 10:00
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