『ドラッカー365の金言』の本日のページには、「インフレか、失業か」というタイトルで、インフレの脅威について書かれていました。
大恐慌以来、失業は、現代社会と現代経済に特有の病、かつ最も危険な病とされてきた。しかし年金社会では、失業の増大に代わって、インフレがその地位に座ったとしてよい。
退職した年金生活者にとって、インフレは最大の脅威である。五〇歳を過ぎた被用者にとっても、将来の年金の購買力の低下は同じように重大な脅威である。
『ドラッカー365の金言』 6月19日の節より引用
ドラッカーもインフレについて触れていたのですね・・・
日本はもう長い間デフレ状態ですから、インフレといってもピンと来ない人が多いと思います。
インフレターゲットを設定して、緩やかなインフレ状態にもっていけば経済はよくなる、というエコノミストもいます。
インフレは総じて年金生活者には不利ですが、緩やかなインフレであれば、経済全体からみた場合にはよい面もあると思います。
脅威になるインフレとは、制御の効かないインフレ、ハイパーインフレです。
いまそのようなことが起こる可能性があるのは、日本の国債の信用が落ちたとき・・・日本の国債を誰も買わなくなったとき、です。
我が国の債務の総額はすでに1000兆円を超えるともいわれておりますが、税収は40兆円を割っています。
たとえは悪いですが、収入400万の人に1億円の借金があるということですから、民間であれば破綻状態にある訳です。
破綻しないのは、国債を買っていたり、債権をもっていたりする人や組織のほとんどが、国内の投資家だから、と言われております。
もし、国内の投資家が国債の入札に応札しなくなったら、海外でも応じる投資家はいないでしょうから、国債の価格は暴落することになります。
ギリシャの問題と同じ状況とです。
債券価格と利子率はトレードオフの関係にありますから、このとき、いよいよ利子率は上がらざるを得なくなり、インフレが始まるということになります。
利子率が上がりますと、国債の利払いも増えていきますから、ますます悪循環になります。
そんなことありえない、国が日銀が何とかするはずだ、とおっしゃる方もおられると思いますが、一応そういう可能性もあるのだ、ということは、心得ていた方がよいのではないでしょうか。

債券価格と利子率の関係については、以下の私のブログを参考になさってください。
参考ブログ:『金融不安・・・債券価格と利子率』
http://highlyeffective.naganoblog.jp/e157433.html
参考文献:『ドラッカー 365の金言』 P.F.ドラッカー (ダイヤモンド社)
Hitoshi Yonezu at 10:00
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