『新しい富の作り方』を読んで

2010年12月25日

 菅下清廣さんは、証券会社や投資銀行などでの勤務を経て、現在はスガシタパートナーズの社長、立命館アジア太平洋大学学長特別顧問を務める、国際金融コンサルタント、経済評論家です。

 書店で平積みにされていた菅下さんの近著、『新しい富の作り方』、帯には、小池百合子さん、つんくさん、鳩山由紀夫さんなど、実力者の推薦文が並んでいました。今まで読んだことのなかった著者の本でしたが、早速読んでみました。

 FRB(アメリカ連邦準備制度理事会)は、2010年11月に行われたFOMC(連邦公開市場委員会=日銀の政策決定会合に当たる)で、2011年6月までに6000億ドルの量的緩和を行うことを決定しました。
 量的緩和第二弾(QE2)と呼ばれるものです。
 日本円にして、およそ50兆円という大変な金額です。(例えば2009年度の日本の税収は37兆円です。)
 さらに、2000億ドルから3000億ドルの追加緩和が積み増しされるとの観測情報が一部の関係者の間でささやかれているのだそうです。

 菅下さんは、このQE2に注目し、緩和されたドルが世界をまわり、ドルマネーバブルがやってくると予想されています。
 
 この本では、為替、株、経済などについて、短期長期の楽観論と悲観論の両方を出されています。

 円ドルの為替については、一部には、すぐにでも超円高が始まるのではないかという懸念がありますが、菅下さんは、2011年の年央くらいまでは、1ドル80円から80円台後半を予想されています。
 その理由は、FRBの量的緩和によって、投資家や事業化のリスク選好の機運が高まり、米長期国債の利回りが上昇するから、というものです。
 米国債が売られやすい状況になれば、日米の利回り格差は拡大傾向を強めます。
 米国債の利回り上昇は、ドルキャリートレードを抑制します。(ドルキャリートレードとは、低金利のドルを借入れ、より高金利の新興国や資源国の株式、商品などに投資するという手法です。ドル安につながります。)
 そうなると投機筋は円買いを仕掛けにくくなるのです。

 問題はその先ですが、80円で終息するというシナリオと、未体験の円高ゾーンに向かうというシナリオを提示されています。

 基本的には円高が続くという見立てですが、円高を悪いことと考えるのではなく、円高をメリットととらえて、海外投資などを考えるべきだといいます。
 
 もの作りの条件で勝てない先進国は、お金でお金を生み出すビジネスを考えるしかない・・・と菅下さんはおっしゃっています。

 一昨年のリーマンショックや、20年前のバブル崩壊の経緯などを考えると、私は、お金でお金を生み出すというのは、恐ろしい世界だと感じてしまいます・・・

 今後の経済の大局的な流れについてはさまざまな意見があります。その一つとしてご参考になさってください。

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 参考文献:『新しい富の作り方』 菅下清廣 (フォレスト出版)
 

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