『成熟日本への進路』を読んで

2010年10月05日

 高齢化が進み、人口が減少している成熟化した日本においては、成長論ではなく、分配論の考え方をとりいれていくべきである・・・
 
 波頭亮さんは、著書『成熟日本への進路』で、国家のヴィジョンとして、分配論の立場から「国民の誰もが、医・食・住を保障される国づくり」を提唱され、やり方によっては財政的にも十分に可能であると述べておられます。

 例えば、経済政策においては、いままでの公共事業中心のスタイルから転換し、社会保障、福祉サービスを担う産業と、国際的に競争力のある輸出産業を伸ばしていくべきであるといいます。

 社会保障、福祉サービスを拡充していくためには、規制緩和と、労働条件の改善という手だてが必要です。

 輸出産業については、アセンブリー型の産業の国際競争力が低下しつつある中で、太陽光発電、原子力発電、水処理など、市場規模が大きく、技術集約的で、日本が得意としている分野の成長が期待されます。
 
 日本の経済は、戦後の焼け野原から平成2年にバブルが崩壊するまでの間、目覚ましい成長を遂げました。四十代以上の多くの人は、いまだにこの成功体験から抜けきっていないと思います。

 これから日本を良くしていくために、まずは、昭和の時代とは全く違う国になってしまったと認識し、過去の成功体験を捨てて、新しい挑戦をしていかなくてはならないのです。

 この本と、以前にご紹介しました藻谷浩介さんの『デフレの正体』を読むと、新聞やテレビには出てこない日本の現状と見通しがよく分かります。ぜひご一読ください。

 参考ブログ:
 『働く人が減っている』
 http://highlyeffective.naganoblog.jp/e546455.html
 『フランス、イタリアに負けない』
 http://highlyeffective.naganoblog.jp/e544984.html
 『子供たちがたくさんいた頃』
 http://highlyeffective.naganoblog.jp/e544497.html

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 参考文献:
 『成熟日本への進路』 波頭亮 (ちくま新書)
 
 『デフレの正体』 藻谷浩介 (角川oneテーマ21)
 

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