マネジメントは、生産的な仕事を通じて、働く人たちに成果をあげさせなければならない。
(中略)
働く者が満足しても、仕事が生産的に行われなければ失敗である。逆に仕事が生産的に行われても、人が生き生きと働けなければ失敗である。
『マネジメント 基本と原則[エッセンシャル版]』より引用
うちの会社はサービス業だから、アルバイトやフリーターが多く、製造業のみなさまに比べたらやや特殊かもしれないが、20歳代の若い人の仕事ぶりを見ていると、「楽しく働くこと」をもっとも大切にしている節がある。
私のように、最初に就職したところが厳しい会社だと、そもそも仕事とは大変なもの、苦労なものとして認識してしまっているから、成果を出そうとは思っても、楽しく働きたいとまでは考えられなかった。そして、親の経営していた会社を継承することになったら、責任を感じてしまって、「楽しい」の「た」の字もなかった。
うちのある女性社員は、楽しそうに働いているアルバイトを初めて見たとき、「私には楽しい職場というのは考えられない・・・」とつぶやいていた。彼女はそれまでずっと製造業の事務職だった。
ES(従業員満足)という考え方が出てきたのも、そう昔のことではない。若い人たちが楽しく働きたいということの根柢にはESの論理があるのだろう。
ESはとても大切だし、仕事は楽しくないよりも、楽しいほうが絶対よいに決まっている。
経営にも流行りのようなものがあって、飲食業界でもESばかりを唱えていた時期があった。その時、世の中の流れに私は疑問を抱きつつ、迷ってしまったが、いま改めて言えることは、働いている人が楽しいことが最優先という価値観はおかしい、ということだ。
飲食店における「働いている人が楽しい」という具体的な例は、お客さまからありがとうと言って頂いたとか、良いサービスをしてお客さまに喜ばれたとか、お客さまから信頼されて名指しで仕事を頼まれるようになったとか、仕事で成功した上での楽しさである。
仕事に行けば仲の良い友達がいておしゃべりができるから楽しい、ということでは、断じてない。
とするならば、楽しくなるには、自分の能力をあげるか、仕事の生産性をあげるかして、お客さまにご満足して頂くしかないということになる。
楽しくなるには、生産的に仕事をしなくてはならないのだ。
「自分が楽しく働くこと」がその人にとっての中心の価値観だとしたら、自分の希望を述べているだけで、少々自己中心的だ。
ドラッカーが指摘しているように、マネジメントとは、働く人たちに成果をあげさせなければいけない。ビジネスはバザーやボランティアとは違うのである。
楽しく働けることには大賛成だが、そのためには生産性をあげていきたい。そして、自分が楽しいだけでなく、周りも楽しくなるように工夫していきたい。
参考ブログ:『三種類の夢』
他人の夢、社会の夢を実現するという考え方を参考にしてください。
http://highlyeffective.naganoblog.jp/e517351.html

参考文献:『マネジメント 基本と原則[エッセンシャル版]』 P.F.ドラッカー (ダイヤモンド社)
Hitoshi Yonezu at 10:00
| ドラッカー