『100歳まで元気に生きる!』は、元気に長生きする秘訣を、食べ物や運動、精神面などから総合的に説いた書籍である。著者はアメリカ人で、サーティーワンアイスクリームの創業者を父にもつ。アイスクリームを製造する父に対して、健康的な生活を志す著者は反発し、一時は仲たがいをした。しかし、父が健康を害したことなどもあり、最終的には分かり合うことができたという。
世界の長寿の地域がいくつか挙げられているが、その一つとして、沖縄について詳しい解説がなされている。
また、世界一の長寿国として日本の分析もなされている。日本は世界の裕福な国の中で、経済的にもっとも平等であるから、健康を維持できたのだという。人々が他人を信用し、相互の利益のために協力する社会は、誰もがまあまあの分け前を得ることができる。逆に富裕層と貧困層の格差が大きいほど国民の健康状態は悪くなるそうだ。
この本は2006年に書かれているが、著作のために調査をしたのはさらに前のことだろう。現在の日本はどうだろう。経済的に平等といえるのか、だから国民はみな健康だといえるのか、人々の信用関係は維持できているのか。いま状況は少々変わってしまったのではないか。
後半部分には愛や精神面の大切さが書かれている。その中の「死は敵ではない」という節にすばらしい文章があるので引用する。
(以下引用)
「見た目を最高にしたいと望むのは悪いことではないが、加齢のプロセスと戦っているのならば、あなたの負けは目に見えている。年をとらないふりをしている人は、自分が死をともなう勝ち目のないレースをしていることをいつか思い知らされるのだ。
ほんとうに重要なことは髪の毛を染めるかどうか、しわ取り治療をするかどうかではない。あなたが加齢のしるしを含めた人生の経験を軽蔑するのではなく、愛情と是認を持って歓迎するかどうかなのだ。人生のすべてのステージは、固有の才能と力を持っている。もっとも重要なことは、人生を通して、あなたの内面の美しさを輝かせることなのだ。」
(以上引用)
映画やテレビドラマの役柄などを通じて、素敵なひとだな~かわいいな~と、憧れた女優さんがいた。その彼女がトーク番組に出たときに、「ええっー!」と驚いてしまったことがある。
話しているのを聞いて、「こんな考え方をしている人だったの~こういうこと言う人だったの~」と、がっかりしてしまったのだ。
役の中では美しかった。でも、それは一つの姿にすぎなかったのだ。別の面から見たら、私の想っていた女性とは大きくかけ離れていた。人間が磨かれていなかったことが残念だった。
セリフではない何気ない会話では、内面が出てきてしまう。外見の美しさだけで繕おうとしても、早晩ばれてしまう。
どこそこの女優が好きだという人に、私もそういうことがよくあり、それはそれで私は全く同感するが、その女優と実際に友達になったときに、本当に好きだといえるのか、そこでようやく判断できるはずだ。実際には友達にはなれないから、話を聞いたりするしかないのだが。
世の中にはすべてフィルターがかかっている。見かけだけで判断できるはずがない。
もちろん、誰とは言わないが、内面が美しい女優さんはたくさんおられる。年の経過とともに顔つきが変わって、存在感を増していくのだ。私はそういう女優に惹かれる。
この本に書いてあるのだが、我々の文化は死を失敗としてとらえようとしている。
しかし、死を失敗だというならば、死に向かって毎日、瞬間瞬間を生きている我々のこの存在自体が失敗ということになる。
死も老化も失敗ではない。
自分が生きていく、成長していく、その過程を楽しめるようになりたいものだ。
参考文献:『100歳まで元気に生きる!』ジョン・ロビンズ(アスペクト)
この書籍は前半は栄養の話等が続いて少々退屈ですが、後半にいけばいくほど面白くなります。ぜひご一読ください。
昨年8月のこのブログでも同じようなことを書いてしまいました。恐縮です。
http://highlyeffective.naganoblog.jp/e139228.html
Hitoshi Yonezu at 13:14
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