『社長のための「非常識な会計」のルール』を読んで

2013年10月11日

 村形聡さんのご著書『社長のための「非常識な会計」のルール』を拝読いたしました。

 村形さんは慶応義塾大学経済学部卒、公認会計士、税理士で、現在は税理士法人ゼニックス・コンサルティング社員税理士兼CEOを務めておられます。

 5月17日に銀行の勉強会で村形さんのご講演を拝聴し、興味をもったのでご著書を読んでみることにしました。

 この本でもっとも衝撃を受けたのは、「回収実績」から「回収義務」を引いたものが「本当の儲け」になるという考え方です。

 回収実績とは実質経常利益(損益計算書の利益から役員報酬、減価償却、税金などを取り除いたもの)と運転資金増減の合計です。回収義務とは、事業に投下した資本の毎年の回収目標額、借入金を減らすための毎年の回収目標額、経営者報酬の三つの合計です。いずれも村形さんの考えられた概念のようです。

 投下資本の回収目標額とは建物や設備の法定の償却年数ではなくて、現実的に買い替えをしたいというときまでの年数ですし、借入金の返済も銀行と結んだ約定返済の期間ではなくて、返したいと思う年数の期間です。この方法で「本当の儲け」を計算すると、決算書とはまったく違う結果が出てくるでしょう。

 回収実績と回収義務の差が少ない場合、つまり本当の意味での儲けがないときはどうしたらいいでしょうか。

 「回収義務」と比較して、「回収実績」が不十分であるならば、真っ先に削らなくちゃいけないのが経営者報酬だってことは肝に銘じておいてくださいよ。だって、経営者は、「回収実績」が不足していることの責任を取らなきゃいけないでしょ。場合によっては、1年間ただ働きになるかもしれません。

        『社長のための「非常識な会計」のルール』p124より引用


 そういうことですね・・・・・・まぎれもなく社長の責任です。

 普通の決算書をつくっていると、村形さんの基準からして儲かっているかどうかは分かりません。

 だからこそ「非常識な会計」であるわけです。投下資本をすべて回収した後にようやく本当の儲けが出てくる、という考え方です。

 これは説明されるとよく納得できるのですが、普段税務会計という言語で話している中では、なかなか気がつかないことです。 

 私の説明では分かりずらいと思いますので、興味のある方は本書を読んで頂きたいと思います。

 前にご紹介した『合理性を超えた先にイノベーションは生まれる』とは考え方が正反対ですが、両方知っておいて、経営者としてのバランス、自分の立ち位置を考えるべきです。

 参考ブログ:『合理性を超えた先にイノベーションは生まれる』
 http://highlyeffective.naganoblog.jp/e1357452.html

 どうぞご参考になさってください。

  


 参考文献:『社長のための「非常識な会計」のルール』 村形聡 (日本実業出版社)
 

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