属人的な問題か?組織の問題か?

2012年04月28日

 ドラッカーの『経営者の条件』によれば、1922年当時のGMは事業部長たちの割拠する連邦だったそうです。

 彼らは事業部を自分の会社としてマネジメントしていました。彼らの自我のためにGMは崩壊寸前に追い詰められていたのです。

 その頃社長に就任したスローンは、そのような状況を合併会社に特有の問題としてではなく、あらゆる大企業に共通する問題としてとらえました。

 『経営者の条件』より引用します。

 しかし当時、スローン以外の誰もが、この問題を個々の人間の問題として理解し、勝利者となる者が握る権力によって解決されるべき問題として見ていた。これに対しスローンは、問題を組織構造によって解決すべき組織の問題として見た。そして彼が構想した組織構造が、運営における自治と、方向づけにおける統制のバランスを図るものだった。

               P.F.ドラッカー『経営者の条件』より引用

 
 私がこの部分に注目したのは、スローンが組織の問題を属人的な問題として解決しようとしたのではなく、あらゆる企業に共通する一般的な命題としてとらえたからです。

 中小企業においては組織に起こっている問題を属人的な問題としてとらえて、問題の人物を何とかしようとすることで解決する傾向が多いと思います。

 中小企業には圧倒的に人材が不足しているので、こうするしかありません。実際のところ、属人的な原因に端を発する問題なのかもしれません。

 しかし、人を何とかする・・・・・・人を変える、ということは大変難しく、時間も費用もかかります。

 属人的な問題として考えている限り、その人物に変わってもらうか、その人物を換えるか、という解決策しかありません。

 いまいる人材で何とかならないものだろうか・・・・・・そう考えたとき、組織構造の問題としてとらえるべきではないか、という発想が浮かんできます。

 このときにはマネジメントの力が問われるのです。

  


 参考文献:
 『経営者の条件』 P.F.ドラッカー(著) 上田惇生(訳) (ダイヤモンド社)
 

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