JR九州の経営戦略

2012年04月10日

 唐池恒二さんの『世界から集客! JR九州・唐池恒二のお客さまをわくわくさせる発想術』を拝読いたしました。

 唐池さんは昭和28年大阪府生まれ、昭和52年京都大学卒業後、国鉄に入社し、さまざまな事業を担当され、現在は九州旅客鉄道株式会社(JR九州)の代表取締役を務めておられます。

 この本は2011年2月28日に初版が発行されています。東日本大震災の直前ですので、現在は事情が変わっている部分があるかもしれません。

 さまざまな企画や事業を展開して年々売上高を伸ばしているJR九州の経営戦略の全体像が分かる本です。
 
 JR博多シティ、アミュプラザなどの駅ビル事業、福岡都市圏販売戸数ナンバーワンのマンション販売、博多港と釜山港を結ぶ高速船、「うまや」などの外食事業など、鉄道以外の事業を次々と成功させてきた結果、JR九州の連結売上高に占める鉄道以外の事業の売上高は6割を超え、JR7社の中では最も高い比率になっているのだそうです。
 
 鉄道事業は成熟しているために大きな伸びは期待できないと認識されており、これからも多角化路線はすすめていくそうです。

 もともと本業だった鉄道事業では、JR九州が車両のデザインが一番おしゃれでデザイン性が高いという評価があるそうです。
 私も今年九州へまいりましたが、確かに博多駅では信州では見たことのない変わった色や形をもつ電車を見ました。これらはJR九州のデザイン顧問である水戸岡鋭治さんとともに生み出してきたものだそうです。平成25年にはスイートルームをもつ九州一周豪華列車の計画もあるそうです。

 唐池さんは仕事場における「気」を大切にされています。「気」がみなぎっているところには人やお金が集まってくる、と述べておられます。

 「気」を充満させるポイントは次の4つだそうです。

 ①動きがあること、それもテキパキとスピーディーに動くことが大事である
 
 ②明るく大きな声
 
 ③お客さまにスキを見せない緊張感

 ④つねに貪欲さを忘れないこと


 JRのような堅い大企業の社長さんが「気」について言及されているのは意外でしたが、これらのポイントは私の仕事でも全面的に賛成できることです。

 大企業だから、鉄道だから、という有利さはありますが、それだけの理由でここまで成功したのではないでしょう。次々に事業をくり出す唐池さんの発想と実行力はすごいものです。

 中小企業の経営者の方もぜひご参考になさってください。

  


 参考文献:『世界から集客! JR九州・唐池恒二のお客さまをわくわくさせる発想術』
                唐池恒二 (ぱる出版)
 

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