安心して暮らせる社会

2012年03月31日

 曽野綾子さんの『人間の基本』より引用します。

 東日本大地震とそれに続く原発事故は、私たち人間に予想外に早く「本当の答え」を出しました。と同時に、あらためて幾つかのことを確認させたと思います。
 まず、安心して暮せる生活などあり得ない、ということです。それまでに私は繰り返し言ってきたんですよ。この国では選挙のたびに政治家が口を揃えて「皆さまに安心して暮らせる、安全な社会をお約束」し、国民はそれを鵜呑みにしてきました。でも、これほど明瞭な嘘はないんですよ。安心して暮らせる人生だけはどこにもない。

               曽野綾子著『人間の基本』より引用

 
 安心して暮らせる安全な社会・・・・・・選挙のときには何度も何度も聞くフレーズです。

 曽野さんが「安心して暮らせる社会などあり得ない」と言い切っているのを読んで、私はハッとしました。

 私は安心できることが当たり前のように感じてしまっている・・・・・・と思ったのです。

 日本のこの数十年はたまたま安全でしたが、その前は戦争もしましたし、地震などの大災害もたびたび起こっていたわけです。
 
 いまでも海外へ行きますと、すりや窃盗やときには強盗などにも神経をとがらせなくてはなりません。車の運転も規則があいまいで常に危険です。水道の水は飲めませんし、水が出てこない事さえあります。

 昨年、中国に住んでいる方の話を聞きましたら、いまでも人のかばんの中に平気で手を入れてくる輩がいるそうで、追い払っても平気な顔をしているのだそうです。

 戦争をしている国へ行けば自らが戦地へ行かねばならない可能性もあります。

 子供の頃、おじいさんやおばあさんから戦時中の話を聞いて、戦争は本当に大変だったんだなあ・・・・・・と思っていました。

 いまはそういう話をする人も減ってきましたので、昔のこともあまり分からなくなってきています。

 3.11の大災害は、被災されたみなさま方には本当に大変なことでしたが、その他のものに対しては、生き方を変えなくてはならないと気付かせる大きな転換点になりました。
 
 なにもないことは大変ありがたいことです。この状態を保つために大変な代償が支払われていることに気が付かなくはならないと思います。

  


 参考文献: 『人間の基本』 曽野綾子 (新潮新書)
 

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