わずか1800円・追加料金なし(キャンペーン価格)で両ワキの脱毛を完了するまでしてくれるという破格の脱毛エステサロン「ミュゼプラチナム」。
2003年に一号店がオープンしてからわずか8年で年商200億円のグループ企業に成長しました。
その会社、株式会社ジンコーポレーションの代表取締役社長である高橋仁さんのご著書『リアルフリーのビジネス戦略』を拝読いたしました。
この本の表紙はぱっと見たところ、日本でも大変話題となったクリス・アンダーソンさんのベストセラー『フリー <無料>からお金を生み出す新戦略』にそっくりなので、パロディのおふざけの本かと思ってしまいますが、内容は高橋さんがいかにしてミュゼプラチナムを成長させたか、その経緯を書かれたもので、正しく経営の本です。
アンダーソンさんの『フリー』はビット経済における話ですが、高橋さんはリアルの世界でもフリーを実現できると考えているのです。
起業した当時からいずれはエステサロンを無料にしようと考えてきたのだそうです。
そうお聞きしますと、大多数の顧客を無料版で囲い込み、一部の有料版を使ってくれる顧客から利益を得ようとする「フリーミアム」の方法か・・・・・と私は思ってしまいましたが、それも違うのです。
高橋さんの考えている究極の状態は、顧客の会員組織を大きくして広告費を極限まで下げていくこと、その会員組織を利用してくれる第三者企業をつくること、そして会員組織をコミュニティにしてしまうことです。
最後の方まで読んでようやく謎が解けました。
このビジネスモデルは論理としてはその通りですが、成功するのかどうかこれから注目していきたいと思います。
高橋さんによると、リアルフリーが成立する市場の条件は三つだそうです。
[条件1] 人間の本能に訴えるビジネス
[条件2] 古いしきたりが幅をきかせる時代遅れの業界
[条件3] 顧客と直接接点を持てる業界
チャンスは新しいビジネスにあるのではなく、昔からの業界の中に転がっているというわけです。
ベンチャービジネスを急成長させた社長です。そのノウハウを公開してくださっていて、私には経営の本として大変参考になりました。
経営者のみなさまはぜひご一読ください。

参考文献:『リアルフリーのビジネス戦略』 高橋仁 (幻冬舎)
『フリー <無料>からお金を生み出す新戦略』
クリス・アンダーソン (日本放送出版協会)
Hitoshi Yonezu at 10:00
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