副島隆彦さんの『中国は世界恐慌を乗り越える』を拝読しました。
副島さんはマスコミで報道されるような一般的な見方とは全く違う視点で中国の政治経済を見ておられます。
まえがきより引用します。
この本の「結論」は、「それでも中国はなんとか大丈夫である。北京、上海、広東省の不動産バブルは確かにハジける。だが、内陸部の”西部大開発”の力でこれを中国は乗り越えるだろう」とするものである。
『中国は世界恐慌を乗り越える』より引用
目次を見ると過激な言葉が並んでいます。
第1章 迫りくる「1ドル=2元=60円」時代
第2章 中国経済の成長は何があっても止まらない
第3章 中国は世界覇権国を目指し、人民元の時代が到来する
第4章 西部大開発により大きく発展する内モンゴルの表情
第5章 巨大な人口と消費が今後も中国を支え続ける
この本の中には副島さんらしいさまざまな情報が詰まっています。
私が最も驚いたことは、中国はシンガポールのような国になるだろう、という予測です。
いま中国では、都会ならば40階建て、田舎ならば20階建ての高層鉄筋アパートが全土に建設されています。
副島さんによれば、内陸部の地方都市でも供給は過剰で、住宅バブル、建築バブルが限界にきているように見えたそうです。
やがてこれらのアパートは暴落、値下がりし、100万元くらい(今のレートでおおよそ1200万円)になり、誰でも買えるようになるといいます。
そうなったときに6億人の都市住民と8億人の農民をすべてここに収容するのではないか、ということです。これがシンガポールのようになる、という意味です。副島さんが「ピンとひらめいた」ことだそうです。
わが国は1990年以降の不動産のバブル崩壊では痛い経験をしました。回復にも大変な時間がかかりました。
もしも中国が副島さんの予測のようにバブル崩壊をいなしていくとしたら、壮大な計画です。
中国の政治経済の動きは日本にも大きく関係するので、注意してみていく必要があります。
一つの考え方としてご参考になさってください。

参考:『中国は世界恐慌を乗り越える』 副島隆彦 (ビジネス社)
Hitoshi Yonezu at 10:00
| 読書感想