『日本経済このままでは預金封鎖になってしまう』を読んで

2011年12月26日

 小宮一慶さんのご著書『日本経済このままでは預金封鎖になってしまう』を拝読いたしました。

 平成24年度の国家予算案が閣議で決定されたばかりです。

 一般会計90兆円、歳出総額は97兆円と昨年を上回る歳出になりそうです。財源としては税収は42兆円にとどまり、不足分は国債で調達するために、国債依存度は49.0%となり、半分近くを借金でまかなうという予算案です。

 この本は2010年10月に発行されていますが、一年経ったいま、状況はあまり変わっていません。

 日本の国債の95%は国内で消化されているといいますが、それは銀行などの金融機関が国債を購入しているからです。
 
 銀行はいま安い金利により資金を調達できますが、貸出先がないために、比較的安全と思われている日本国債に運用先を求めています。
 22年の数字ですので少し古いですが、東京三菱UFJ銀行は資産の20%を国債で抱えており、ゆうちょ銀行にいたっては総資産の80%は国債なのだそうです。

 銀行の国債を買う資金のもとは国民の預金です。

 もしも銀行の危機説などが出てしまったら、国民は預金が消えることを恐れて現金を手元においたり、海外に避難させたりするかもしれません。

 ここから預金封鎖という話が出てくるわけです。

 預金が流れてしまうと、銀行の資金が枯渇し、国債を買ってくれる人がいなくなってしまいます。国債は予算の半分を占めていますから国家の運営ができなくなるのです。

 預金封鎖が実際に起こるとしたら、それは本当に本当に大変な事態だと思います。

 実は、日本政府は昭和21年に金融緊急措置令(預金封鎖、新円切り替え、財産税課税)という預金封鎖を実際に行ったことがあります。

 今後はそうならないことを願うばかりです。

 こういう話はとても複雑で難しいですが、小宮さんの本はとても分かりやすく書かれています。預金封鎖の仕組みを知るために、ご参考になさってください。
 
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 参考文献:『日本経済このままでは預金封鎖になってしまう』 小宮一慶 (ディスカヴァー・トゥエンティワン)
  

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