ヨシダソースの吉田潤喜会長。
もう十年くらい前でしょうか・・・テレビ番組で吉田さんの成功ストーリーを拝見した記憶があります。
無一文でアメリカにわたり、空手を教えながら、ヨシダフードを設立、醤油ベースのソース「ヨシダソース」が爆発的にヒットし、いまや18のグループ会社をもつまでになりました。2005年には、ニューズウィーク日本版にて「世界が尊敬する日本人100人」にも選ばれたそうです。
『無一文から億万長者となりアメリカンドリームをかなえたヨシダソース創業者ビジネス7つの法則』というとても長い題名の本。
表紙いっぱいに広がる吉田さんの笑顔の写真。思わず手にとってしまいます。
吉田さんを駆り立ててきたエネルギーは二つあったそうです。
一つは在日コリアンとして生れたこと、もう一つは4歳のときに不慮の事故によって右目を失明したことだそうです。
辛い思いをされたことと思いますが、この二つのことをバネにとてつもないエネルギーが生まれたのです。
この本は46の短い話で構成されており、大変読みやすいです。
私が感動したのは、見栄を張ったためにビジネスが傾き、資産を売り払う羽目になり、オンボロのバンだけが手元に残ったときの話です。
もう倒産だ、と悟った吉田さんは酒に逃げ、深夜に帰宅してそのままガレージで酔いつぶれていました。
そのとき奥さんのリンダさんが手に何かをもってやってきました。フライパンで殴られるのではないか、と思ったそうです。
「ハニー、好きなだけ飲みなさい。そしたら明日、この家を売って、安いアパートを探しましょう」
リンダさんが手にしていたのはなんと、ウイスキーのボトルだったのです。
ビジネスといえば数字、数字といいますが、このような愛情があってこそ、ビジネスに血がめぐり、活き活きするのです。人を喜ばせることができる人がビジネスでも成功するはずです。
このことをきっかけとして吉田さんはしっかり足元を見るようになったそうです。
アメリカのビジネス社会を生き抜いてきた方だけに日本人の経営者とは違うところがあり、大変興味深いです。
いま日本の経営者が読むべき本だと思います。ぜひご参考になさってください。

参考文献:
『無一文から億万長者となりアメリカンドリームをかなえたヨシダソース創業者ビジネス7つの法則』
吉田潤喜 (ディスカヴァー・トゥエンティワン)
Hitoshi Yonezu at 10:00
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