松下幸之助さんの『リーダーになる人に知っておいてほしいこと』に面白いことが書いてありました。引用させて頂きます。
おぼろげにはわかるやろ。おぼろげにわかったらそれで十分や。それを得心するまで究めるのはなかなか不可能なことや。だいたいそうかなと思ったら、それでいいわけである。
その、君の多少の疑問もまあよくわかる。腹の底から得心できるというものがもてなくて、ほんとうにそれでいいのかなという感じがするわけやな。しかし腹の底から得心できたら結構やけれども、得心できないのが大部分や、この世の中というものは。大部分はみな半信半疑でやっとるわけや。
『リーダーになる人に知っておいてほしいこと』より引用
このあと、松下さんは、半信半疑でも結論を出してきたのが松下式の経営で、適当なところで結論を出すのは一種の悟りだ、と述べています。
私は、わかるまで突き詰めるのがよいことだと思っていましたし、あれだけの企業をつくった松下さんですから、いままでかなり厳しく追及してきたのだろうと考えていました。
おぼろげにわかればよいのだ、という松下さんのゆるい感じは意外でした。
世の中では、突き詰めてしまうと、解決するどころか、逆に問題を引き起こしてしまうということがあります。
そこまでやらなくてもいいのに・・・と思うのです。
適当に切り上げる方が勇気のいることなのかもしれません。
私は、このエッセイを読みながら、「読書もまったく同じで、おぼろげにわかればいいんだよなあ・・・」と考えていました。
以前の私は、書いてあることすべてを完璧に理解しよう、と思って一生懸命読んでいましたが、なかなか先へ進めませんでした。
凡そわかればいいや、と開き直った瞬間、どんどん読めるようになりました。
どうしても詳しく理解したい部分は突き詰めればよいですが、あとは適当に読む、と覚悟できれば読書も楽ですよ。

参考文献:『リーダーになる人に知っておいてほしいこと』 松下幸之助[述] (PHP研究所)
Hitoshi Yonezu at 10:00
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