『経営の教科書』は、シェル石油、日本コカ・コーラ、ジョンソン・エンド・ジョンソン、フィリップスなどのグローバル企業で、社長職を三社、副社長を一社経験されてきた新将命(あたらし まさみ)さんが、30項目にわたる「経営の原理原則」を伝授してくれる本です。
新さんは、業種業界に関係なく、企業経営の根幹の80%はどこの会社も同じであるといいます。
残りの20%は商品や流通や商習慣の違いであり、これは半年から一年も勉強すれば習得できるものだそうです。
だからこそ社長は、「不易」である根幹の80%、すなわち「経営の原理原則」を身につけることが重要だと述べています。
外資系のグローバル企業の経営者として渡り歩いてこられた方ですので、厳しいマネジメントの話がたくさん出てくるのだろうなあ・・・と想像していたのですが、読んでみると、理念や目標やコミュニケーションなどの話が中心で、とがった話は少なくて、少々肩すかしをされたような気がしました。
日本の中小企業のほとんどが、ある程度の規模までいくと成長が止まってしまい、踊り場から抜け出せなくなってしまいます。新さんは、その原因の一つは、社長が社員に「任せる」ことが出来ていないからだといいます。
会社は社長の器以上には大きくならない、とよくいわれますが、器のなかには、「任せる能力」が含まれているのだそうです。
アメリカには次のような言葉があるそうです。
経営とは、人を通じて物事を達成する技なり
経営とは、平凡な人に非凡な仕事をさせる技なり
『経営の教科書』より引用
この話は「任せる」という話の流れから出てきたものですが、「任せる」ということよりも、マネジメントの体制を作る話ではないかな、と思います。
では、どうすればそのようになるのか?については、ここには、コミュニケーションや精神的なことが書かれていて、具体策は説明されていません。
新さんもここにはすべてを書ききれなかったのでしょう。
日々の経営活動の中でよい方法を探していきたいと思います。
経営者の方はぜひご一読くださいませ。

参考文献:『経営の教科書』 新将命 (ダイヤモンド社)
Hitoshi Yonezu at 10:00
| 読書感想