高額な買い物をしているのに、お客様のために動こうとせず面倒そうな横柄な態度の店員だと、またその店に来ようとは思えなくなりますね。
ニ、三年前に、あるブランドのお店でスーツを試着しましたら、店員の若い男性が、私を見て、にこりともせずに、
「見違えりましたね。」
と言いました。
「見違う」と「生き返り」と合体させてしまったような言葉ですが、正式には「見違えましたね」という意味で、「前のスーツよりずっと似合っていて生き返ったようにかっこいいですよ」と言いたかったのだと思います。
「見違える」ということは、他のものと間違えてみるということですから、子供が大きくなって「見違えるほど立派になった」というのなら、褒め言葉です。
しかし、私のような大人がスーツを着替えてすぐににそう言ったとしたら、「馬子にも衣裳」というのと同じ意味になるでしょう。
私には「前のスーツはひどいですね」という意味と「あなたのような人でもこのスーツを着れば格好よくなれるんですよ」という意味に感じられました。
この店員さんの場合は、マインド面の問題だけではなく、ビジネスマナーや国語の基礎能力の不足ということもあると思います。
一生懸命動いてくれる店員のお店では、考えていた買い物より余計に買ってしまうこともあるのですから、こういう店員は残念なことです。
松下幸之助さんは、販売について次のように述べています。
販売というものを成功させるためには、いかにすればお得意様に喜んでいただけ、どういう接し方をすればご満足願えるか、ということを考えることが何よりも大切だと思います。ですから、妙案奇策のあまりない販売の世界の中で特色を発揮するために、何が基本になるかというと、結局はお互いの誠心誠意です。そして話す言葉ににじみ出る気持ちが、何よりも大切だと思うのです。
『松下幸之助 成功の金言 365』4月19日の節より引用
私の会社でも接客についてお客さまからお叱りを頂きますので、従業員はお客さまに認めてもらえるように、日々仕事を通じて人格を向上できるように、努力をしております。長い道のりです。
私が買い物でいい気分をしなかったときには、他社の店員さんを叱っても仕方ないので、会社に持ち帰り、他山の石にしております。

参考文献:『松下幸之助 成功の金言365』 松下幸之助 (PHP研究所)
Hitoshi Yonezu at 10:00
| 松下幸之助