人間多しと言っても、鬼でも蛇でもないのだ。わざわざこちらを害しよう、などという悪い奴はいないものだ。恐れたり、遠慮したりすることなく、自分の心をさらけ出して、さくさくとお付き合いしていこうではないか。
交際の範囲を広くするコツは、関心をさまざまに持ち、あれこれをやってひとところに偏らず、多方面で人と接することにある。ある者は学問をもって、ある者は商売によって交際する。ある者は書画の友がいて、ある者は囲碁・将棋の相手がいる。およそ、放蕩のような悪いことでなければ、友人をもつ手段にならないものはない。
福澤諭吉著 斉藤孝訳『現代語訳 学問のすすめ』より引用
人との交際を広げた方がよいという福沢先生の考え方は、全く古くなく、現代でも充分に通じる話ですね。今では異業種交流会というものが、あちらこちらで開かれています。
友人の中には、人と付き合うのが上手な方がいて、どんどん輪を広げていくので、尊敬します。私はあまり人と交流するのが上手ではありません。
引用した文章の後、福沢先生は、そういうことが苦手な人は、共に食事をしたり、お茶をしたりするのもいいし、腕相撲、枕引き、脚相撲をするのもいいと述べています。
このあたりの遊びは少々古いですが、今風に言いましたら、飲みに行ったり、ゴルフや釣りをしたりということになるのでしょうかね。
人は保守的で、できる限り知った仲間でかたまっているのが楽に感じます。
でも、何か縁を感じたら、勇気を出して、行動したいですね。私のブログを読んで、訪ねてきてくださった方もおられました。
よい友達の輪を広げたいと思います。

参考文献:
『学問のすすめ』 福澤諭吉 (岩波文庫)
『現代語訳 学問のすすめ』 福澤諭吉 斉藤孝訳 (ちくま新書)
Hitoshi Yonezu at 10:00
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