『仕事を通して人が成長する会社』は、福井県立大学特任教授の中沢孝夫さんが、人を大切にすることで業績を伸ばしている中小企業を紹介する本です。
福井県を中心に10社の優良な中小企業の実態が紹介され、長野県の会社も2社含まれています。年商規模は数億から百億程度の会社ですが、いずれもどこにでもありそうな(と言っては失礼ですが)普通の中小企業です。
著者の中沢孝夫さんは、書評の名手としても知られています。長年にわたり中小企業や商店街で聞き取り調査を行い、経営者や働く人たちのリアルな姿を伝えて続けてきました。
ここには、飾ることのない真実の中小企業人の姿があります。
一般的には成熟産業と思われている蒲鉾や豆腐の製造業では、人を大切にし、新たな販売方法を考えることで好調な業績をあげています。
好不況の波を受けやすい自動車部品の商社では、コアな部分から派生的に仕事の領域を広げ、安定的な収益基盤を築いています。
そこで働く人は、ノンエリートの普通の人たちです。
確かに大企業は力強いですが、中小企業のほうが有利な面もたくさんあります。私は中小企業で長年働いているので、中小企業のほうが好きですし、可能性を抱いています。
経営者として、やれることをコツコツと遂行していきたいと思いました。

参考文献:『仕事を通して人が成長する会社』 中沢孝夫 (PHP新書)
Hitoshi Yonezu at 10:00
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