先日、東京の丸の内に出張した折、私は短いランチタイムの間に、あるレストランでひとり石窯煮込みハンバーグランチを食べておりました。
丸の内のランチタイムのことです。どのレストランも界隈に勤めるビジネスマンやOLでぎっしりです。
お店に入ってから、周りを見回して、しまったな・・・と思いました。そこは女性好みのスペイン風のお店で、お客のほとんどが女性だったのです。
すぐ隣りの席には、大企業に勤めていると思しき20~30才代の4人組のOLが、楽しそうにおしゃべりをしています。
かちっとした感じの服装ではなくて、それぞれが、涼しげな色とりどりの私服を着ていて、みんなおしゃれです。ファッションのことはよくわかりませんが、いま流行の服装とか髪型とか、センスのよさはわかります。
丸の内ですからレストランの席の間隔が狭いのです。周りをはばからずに話している彼女たちの会話がいやでも耳に入ってきてしまいます。
登場人物
A子:一番年上の先輩、30歳代半ばで既婚らしい。
B子:婚約している彼が大阪に転勤することになってしまった話題の中心人物、30歳くらい。
C子、D子:20歳代半ばの後輩社員。
A子「彼、大阪に転勤しちゃうんでしょ?」
B子「そうなの。だからいま引っ越しの準備で忙しいみたい。」
A子「大阪には行かないんだ?」
B子「うん、私は大阪には行きたくなくて・・・」
A子「大丈夫なの?一人で行かせて。」
B子「婚約しているってことは、周りの人にまず先に必ず言ってね、って言ってある。」
A子「えー、わかんないよー。言わないかもよー。」 C子もD子も激しく同意。
B子「でも、私はあんまり締め付けるのよくないと思ってるから、好きなようにさせるの。」
A子「私は絶対だめ。合コンもキャバクラもだめ。」
C子「合コンなんて出たら、絶対危ないですよね!」
B子「だからぁ、合コンに出る時には、婚約しているって言ってもらうの・・・」
A子、C子、D子 「えー、絶対、言わないよー」
C子「私は合コンはいやだけど、キャバクラならいいって言ってる。」
D子「えー、最近のキャバクラ嬢のメールって、恋人みたいですごいんですよ。絶対だめですよ。」
B子「私たち婚約したってことは、結婚したのと同じことって言ってあるし・・・」
・・・ ・・・ ・・・
こんなテレビドラマみたいな会話が延々と続いていました。
福澤諭吉先生の『学問のすすめ』の第八編には、『女大学』なる本が紹介されていて、亭主が酒を飲み、女遊びをして、妻を罵り、お金を使いまくっても、女性はこれに従い、亭主を天のように敬い尊んで、にこやかな表情で、気に障らない言葉でこれに意見せよ、もし逆に妻が浮気をしたら離婚の理由になる、というくだりが引用されています。
福澤先生は、この考え方に立腹され、余りにも男性に都合がよいことであるとし、男女に差別がないことを説くとともに、男尊女卑の不合理をついています。明治七年に書かれたものです。
平和な平和な丸の内のランチタイムの一コマでした・・・
参考文献:
『学問のすすめ』 福澤諭吉 (岩波文庫)
『現代語訳 学問のすすめ』 福澤諭吉 斉藤孝訳 (ちくま新書)
Hitoshi Yonezu at 10:00
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