メディチ家、イングランド銀行の創立者からIBMのトマス・ワトソンにいたるまで、偉大な事業の建設者はみな、明確な事業の定義をもっていた。直観に頼ることなく、明確でシンプルな事業の定義をもつことが、成功する事業の特徴である。
『ドラッカー365の金言』 7月1日の節より引用
ドラッカーは、事業の定義は三つの部分からなるという。
第一に組織をとりまく経営環境、第二に組織の使命、第三に組織の使命を達成するうえで必要な中核的能力(コアコンピタンス)である。
第二、第三については、社内で努力していけば何とか解決できる問題であろう。
創業社長なら、自分が考えていることそのものと、自分自身の強みである。
後継社長なら、自社が継続してきた理由が何かあるはずだから、それを明確にすればよい。
第一の経営環境(社会、市場、顧客、技術)は、なかなか難しい。自社の力で好きなように変えられるものではないからだ。
いまのままの事業で生き残るには、経営環境をしっかり見なければならない。そうでなければ判断も決断もできず、経営計画も立てられないだろう。
望む未知の経営環境に飛び込んでいくとしても、ゼロからのスタートだから、難しい状況が待ち受けている。
事業を行う使命があり、強み(コアコンピタンス)もある、さて、その事業が現在の経営環境にあっているのかどうか・・・
経営環境の定義は、上場企業であろうと、グローバル企業であろうと、しばしば失敗をする部分であり、客観的に冷静に検討しなくてはいけない。
使命感と強みだけではビジネスは成り立たないということだ。

参考文献:『ドラッカー 365の金言』 P.F.ドラッカー (ダイヤモンド社)
Hitoshi Yonezu at 10:00
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