『買わねぐていいんだ。』を読んで

2010年05月13日

 店舗は、長さ1メートル、幅40センチ、重さ約120キロのワゴン。

 こんな小さなお店で、お弁当、コーヒー、ビール、お土産などを、一日に50万円も売り上げる女性販売員が、山形新幹線にいるそうだ。50万円といえば、コンビニエンスストアの売上だ。

 日本レストランエンタープライズのチーフインストラクター、茂木久美子さん。チーフインストラクターの称号をもつ販売員は、JR東日本の全線区でたったの3人しかいない。

 茂木さんは、定員が約400人のミニ新幹線である山形新幹線に乗車し、山形~東京間の3時間半で、車内を6~7往復するという。普通の販売員なら3往復しかできないところを、ちょっとした工夫によって効率化した。

 また、長野新幹線では一度も見たことがないが、「バック販売」をされているという。
 「バック販売」とは、車両の後ろから戻ってくるときに、後ろ向きにワゴンを引いて行く販売方法だ。この方法は体力的には非常に辛いそうだが、常にお客さまの表情が見えるがゆえに、ちょっとしたお客さまのしぐさや、要望を逃すことがない。


 高校卒業後、フリーターとなって、目的もなく過ごしていたという茂木さんが、どのような経緯でカリスマ車内販売員になったのか、『買わねぐていいんだ。』に詳細に記されている。

 私がもっとも関心したことは、茂木さんが、「買っていただかなくても、みんな大切なお客さま」という気持ちをもっておられることだ。

 茂木さんくらいの販売員になると、顔見知り、常連のお客さまも多い。そういう方たちはちょっとお声をかければ、何かを買ってくれるだろう。
 しかし、茂木さんはお客さまに無理はさせない。「買ってあげないといけない」というプレッシャーを与えないように気をつけているそうだ。

 そんなときには、こう言う。
 
 「別に無理して買わねぐていいんだ。本当に欲しかったら勝ってけろなー」

 

 人は好きな人からものを買いたいのだ。

 売る人の人間性が高いからこそ、人はものを買いたくなるのだ、ということがよくわかる本だ。

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 関連するブログ:『カリスマ駅弁販売員の本』
 http://highlyeffective.naganoblog.jp/e376312.html

 参考文献:『買わねぐていいんだ。』 茂木久美子 (インフォレスト)
 
 車内販売は茂木さんのように、方言まる出しの方が、楽しそうですね・・・

 Hitoshi Yonezu at 10:00  | Comments(0) | 読書感想

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