『歴史の使い方』を読んで

2010年05月16日

 歴史は苦手科目でした。

 私の高校では、日本史または世界史のどちらかを必ず取らなくてはならなかったので、とりあえず日本史をとりましたが、あまり勉強をしませんでした。日本史の授業は寝る時間と決め、授業が始まると、机の上を片付けて、最初から最後まで寝ておりました。

 年号を覚えるとか、人の名前を覚えるとか、記憶しなければいけないことばかりで、論理がないのが歴史だ、と思っておりました。

 しかし、大人になると、何を語るにも歴史は必要で、歴史を知らないというわけにはいかなくなります。経営を学ぶにも、歴史の話はかなり出てきますから、いまごろになってあせっています。

 高校時代の浅はかな考えとして、「歴史には論理がない」と書いてしまいましたが、堺屋太一さんの『歴史を使い方』を読むと、歴史は出来事を羅列しただけのものではなくて、歴史そのものが論理だということがよくわかります。

 年号をひとつひとつ覚えていくのはつまらないことでしたが、全体の流れをつかむことができれば、一つ一つの小さな出来事が面白くなってきます。関連がわかってくると面倒くさかった暗記ものも、自然に頭に入ってきます。

 この本からひとつ例を挙げますと、徳川家康が関ヶ原の戦いに勝利した大きな理由は、「欣求浄土厭離穢土(ごんぐじょうどおんりえど)」という明確なビジョンをもっていたからだそうです。

 「欣求浄土厭離穢土」とは、家康が青年時代から掲げてきた旗印です。下剋上の乱世を終わらせて、身分の安定した平和な封建社会をつくりたいというイメージです。
 この考え方は、それまでの織田、豊臣の開放拡大路線とは全く違う社会のイメージですが、全国の大名にとっては、望む社会だったのです。

 それに対して、豊臣秀吉の遺志を継ごうとした石田光成は、秀吉の子である秀頼が成長するまでは集団指導体制をとり、やがては大政奉還をしようと考えていました。

 石高20万石に満たない石田光成が、254万石の五大老筆頭、家康に戦いを挑んでいきます。
 そこには、頭の良い光成の周到な準備があり、また、「べき」「はず」にとらわれた読み違いもありました。

 この続きは、ぜひ『歴史の使い方』を読んでくださいませ。歴史の具体例が出ていて楽しく読めます。私のような無学のものには大変参考になりました。

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 参考文献:『歴史の使い方』 堺屋太一 (日経ビジネス人文庫)
 

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