『日本語教のすすめ』を読んで

2009年12月11日

 毎日遣っていると分からないのですが、外国人から見ると、日本語というのは、遣いずらい、難しい言語なのだそうです。

 先日も韓国に行って、現地の方とお話しましたら、一つの漢字にいろいろな読み方があるところが問題だと言っていました。

 鈴木孝夫先生の『日本語教のすすめ』によると、日本の初代の文部大臣の森有礼、作家の志賀直哉、政治家の尾崎行雄などは、それぞれの時代において、日本がよくならなかった原因を日本語にもとめ、日本語をやめて、他の言葉を国語として遣おうという運動を起こしたのだそうです。

 志賀直哉のような、日本語を大切にするべき小説家がそんなことを考えていたなんて、本当に驚いてしまいます。
 
 かつて日本もそうでしたが、世界の覇権国、大国はその植民地に自国の言葉を強制しました。
 言葉を失ってしまえば、支配する国の思うつぼです。世界中に、英語、フランス語、スペイン語、ロシア語、中国語などを話す地域が多いのはその結果なのです。

 日本は国として初めての国際関係である第一回遣隋使派遣(600年)から、日清戦争(1894~1995)までの約1300年の間、外国と戦争状態にあったのは、たったの三回だけでした。白村江の戦いと、秀吉の二度にわたる朝鮮征伐です。
 しかも、その間、外国からの攻撃を受けたのも、鎌倉時代の二度の元寇だけだったのです。

 このような世界に稀にみる特殊な環境の中で、日本語は、外国人と張り合って国を守るための手段というよりは、外国の優れた技術や知識を取り入れるための手段という性格が強まったのだそうです。
 その言語の文化が、敗戦からスタートした日本の経済発展につながったのではないかと、著者の鈴木孝夫先生は書いておられます。

 この本を読むと、日本語についての自信と誇りがわいてきます。そして、美しい日本語を遣っていこうと意欲もわいてきました。
 今後、日本は人口が減少するのですから、当然、日本語を使う人が減っていってしまうのです。

 日本語を守るためにも、日本語を遣う方全員に、ぜひ読んでほしい本です。
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 参考文献:『日本語教のすすめ』 鈴木孝夫 (新潮新書)
 

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