師走を迎え、お忙しくお過ごしのことと存じます。日頃は大変お世話になっております。誠にありがとうございます。
さて、前回は、ドラッカーの『経営者の条件』より、成果を上げるための五つの条件(時間、貢献、強み、集中、意思決定)のうち「貢献」についてご紹介しました。
今回はその「貢献」の節の中で紹介された「三つの領域における成果」について解説します。
あらゆる組織が三つの領域における成果を必要とする。すなわち、直接の成果、価値への取り組み、人材の育成である。
これらすべてにおいて成果をあげなければ、組織は腐りやがて死ぬ。したがって、この三つの領域における貢献をあらゆる仕事に組み込んでおかなければならない。もちろんそれぞれの重要度は組織によって、さらには一人ひとりの人によって大きく異なる。
第一の領域である直接の成果については、はっきり誰にでもわかる。企業においては売上げや利益など経営上の業績である。病院においては患者の治癒率である。
第二の領域にある価値への取り組みは、技術面でリーダーシップを獲得することである場合もあるし、シアーズ・ローバックのようにアメリカの家庭のために最も安く最も品質のよい財やサービスを見つけ出すことである場合もある。
第三の領域が人材の育成である。組織は個としての生身の人間の限界を乗り越える手段である。したがって自らを存続させえない組織は失敗である。今日、明日のマネジメントにあたるべき人間を準備しなければならない。人的資源を更新していかなければならない。確実に高度化していかなければならない。
P.F.ドラッカー『経営者の条件』p81-83より抽出、編集して引用
三つの領域における成果・・・①直接的な成果 ②価値への取り組み ③人材の育成
ドラッカーの言葉として、よく知られている部分だと思います。
直接的な成果・・・これは分かりやすいです。例示されているように、売上など経営上の業績です。組織が重要と考えるKPIとしてもよいと思います。根本的なことから考えますと、お客さまに喜んで頂けるためにどうしたらいいのか?社会のお役に立つために何をするのか?ということになると思います。
価値への取り組み・・・直接的な成果がカロリーであるとしたら、価値への取り組みはビタミンやミネラルの役割である、とドラッカーは述べています。ただ数値を上げればよいのではなく、社会にどのような価値をもたらすことによって、直接的な成果を上げるのか、ということです。価値への取り組みを考えない企業は、最終的な目標が数字(お金)ということになり、従業員が数字を達成させるために犯罪に手を染めてしまう恐れさえあるのではないでしょうか?
人材の育成・・・文字通り、組織は個としての生身の人間の限界を乗り越える手段である、です。いま、コロナ禍が明けて、まさにこのような状況がハッキリと見えてきていると思います。個人ではなしえない高い成果を組織が出し続けています。今後はますます人材育成が重要になり、それができない企業は非常に厳しくなるでしょう。(自戒です。)
本年もあっという間の一年でした。コロナは終わったと言いますが、私にとっては激動の日々が続いております。
自分で選び、決めた道ですから、どのようなデコボコ道でも、決して他人のせいにせず、自分の足で乗り越えていく所存です。(艱難辛苦が楽しくなっているふしがあります。)
一年間大変お世話になりました。心より御礼を申し上げます。
来年がみなさまにとってますます豊かで幸福な年でありますことを祈念いたします。
どうかよい年をお迎えください。
参考文献:
『経営者の条件』 P.F.ドラッカー(著) 上田惇生(訳) (ダイヤモンド社)
『マネジメント(上)』 P.F.ドラッカー (ダイヤモンド社)
"Management Tasks,Responsibilities,Practices" Peter.F.Drucker HarperCollins e-books

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