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さて、今回のブログから、ドラッカーの『経営者の条件』をご紹介します。
この本はドラッカーの著作の中で唯一、セルフマネジメントについて書かれた本です。
セルフマネジメントとは、直訳すると自己管理です。自分の行動、精神、健康など管理して、仕事や人生において、よりよい成果を上げるための方法です。
以下、ドラッカーの「成果を上げるための能力」について、本文を編集して引用します。
私は、成果をあげる人のタイプなどというものは存在しないことにかなり前に気づいた。私が知っている成果をあげる人は、気質と能力、行動と方法、性格と知識と関心などあらゆることにおいて千差万別だった。共通点はなすべきことをなす能力だけだった。
成果をあげるために身につけておくべき習慣的な能力は五つある。
(1) 何に自分の時間がとられているかを知ることである。残されたわずかな時間を体系的に管理することである。
(2) 外の世界に対する貢献に焦点を合わせることである。仕事ではなく成果に精力を向けることである。「期待されている成果は何か」からスタートすることである。
(3) 強みを基盤にすることである。自らの強み、上司、同僚、部下の強みの上に築くことである。それぞれの状況下における強みを中心に据えなければならない。弱みを基盤にしてはならない。すなわちできないことからスタートしてはならない
(4) 優れた仕事が際立った成果を領域に力を集中することである。優先順位を決めそれを守るよう自らを強制することである。最初に行うべきことを行うことである。二番手に回したことはまったく行ってはならない。さもなければ何事もなすことはできない。
(5) 成果をあげるよう意思決定を行うことである。決定とは、つまるところ手順の問題である。そして、成果をあげる決定は、合意ではなく異なる見解に基づいて行わなければならない。もちろん数多くの決定を手早く行うことは間違いである。必要なものは、ごくわずかの基本的な意思決定である。あれこれの戦術ではなく一つの正しい戦略である。
P.F.ドラッカー『経営者の条件』p41-44より抽出、編集して引用
ドラッカーは成果を上げる人にタイプというものはないと述べています。
穏やかな人でも、声の大きな人でも、論理的な人でも、感情豊かな人でも、どのようなタイプの人でも成果を上げることができるのです。
成果を上げる人の共通点はなすべきことをなす能力だけである、というのです。
なすべきことをなす能力とは何か?
ドラッカーは5つの能力を示しています。時間、貢献、強み、集中、意思決定です。この5つさえ自分で管理できれば、大きな成果を上げることができるということです。
(1)時間について
自分の時間の使い方を計算してみると、成果のために利用している時間は少ないものです。一度一日の行動を記録してみるとよいです。
(2)貢献について
自分に期待されている貢献は何かを明確に把握することです。意味のないことにこだわってしまって、別の方向に走っていることもあるでしょう。
(3)強みについて
自分で自分の強みは理解できているでしょうか。強みでないことを基盤としているならば、自分の立ち位置を見直す必要があるかもしれません。
(4)集中について
いろいろなことを一度に行うと、成果を上げるまでに時間がかかります。まず何に集中して仕上げるか?逆に言えば、劣後順位を定めることです。
(5)意思決定について
つまるところ、最終的には、意思決定をしないと成果は上げられないです。意思決定をすることは壁を破ることであり、戦略であり、決断です。反対されることが多いです。
いつもご利用ありがとうございます。今月もよろしくお願いいたします。
参考文献:
『経営者の条件』 P.F.ドラッカー(著) 上田惇生(訳) (ダイヤモンド社)
『マネジメント(上)』 P.F.ドラッカー (ダイヤモンド社)
"Management Tasks,Responsibilities,Practices" Peter.F.Drucker HarperCollins e-books

Hitoshi Yonezu at 09:59
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