梅雨明けが待ち遠しい今日この頃、みなさまいかがお過ごしでしょうか。日頃は大変お世話になっております。誠にありがとうございます。
さて、このブログではドラッカーの『マネジメント』を読んでいます。前回の続きですが、中巻の後半をだいぶ飛ばしまして、下巻に入ります。「第50章 トップマネジメントの仕事」を読んでいきます。以下、本文を編集して引用します。
トップマネジメントの仕事の一部を列挙するならば、次のとおりである。
(1)組織としてのミッションを考える役割がある。すなわち、「われわれの事業は何か。何であるべきか」を考えなければならない。
(2)基準を設定する役割、すなわち組織全体の規範を定める役割、良識機能を果たす役割がある。
(3)組織をつくりあげ、それを維持する役割がある。明日のための人材、特に明日のトップマネジメントを育成する必要がある。加えて、組織構造を設計する役割がある。
(4)トップの座にある者だけの仕事として、渉外の役割がある。顧客や取引先との関係である。金融機関や労働組合との関係、政府機関との関係である。
(5)公的行事や夕食会への出席など、数限りない儀礼的な役割がある。これは、むしろ大企業よりも、地域において目立つ存在になっている中企業、小企業のトップマネジメントとして逃れられない仕事である。
(6)重大な危機に際しては自ら出動するという役割、著しく悪化した状況に取り組む役割がある。
「組織の成功と存続にとって決定的に重要な意味をもち、かつトップマネジメントだけが行いうる仕事は何か」
「事業全体を見ることができ、今日と明日のニーズをバランスさせることができ、最終的な意思決定をなしうる者だけが行うことのできるものは何か」
P.F.ドラッカー 『マネジメント(下)』
第50章「トップマネジメントの仕事」p9-12より抽出、編集して引用
トップマネジメントのなすべき仕事が紹介されています。トップマネジメントはミドルマネジメントやマネジャーとは異なり、組織のトップに立つ社長や経営陣のことです。私はこの中では(1)~(3)が最も大切だと思います。
(1)はドラッカーの有名な問いかけですが、組織のミッション(使命)を考えることです。組織の直接的な成果は何か?なによりもまずこれがなくては事業が始まりません。わが企業が何をするのか、目的を決めて、その達成に努めることです。
(2)には「良識機能」という聞きなれない言葉が出てきます。組織の良心をつくり、保つのはトップマネジメントの仕事です。組織の価値観への取り組みといえます。
(3)は組織をつくることであり、人材育成であります。
(1)~(3)はそれぞれ、直接の成果、価値への取り組み、人材育成とよばれるものです。あらゆる組織に必要な三つの成果としてドラッカーが取り上げているものです。『経営者の条件』第3章81ページを参照してください。
(4)は会社の代表として利害関係者と関係を保つことです。
(5)には地域や業界での儀礼的なイベントに参加することであり、ロータリークラブなどで活動することもこれに当たるのではないかと思います。現代においては、社長は本業に専念しなさい、と言われることが多いですが、ドラッカーはトップマネジメントの役割として、社会的な活動を認めていました。
(6)は、重大な問題が発生した時には、自ら前に出て対応することです。指揮官先導ということではないでしょうか。
そして、最後の二つの問いは、社長に対して「そのような仕事をしているか?」と問われていることです。
6月末をもちまして当社の祖業であります上田市の『ささや』を閉店いたしました。永い間ご愛顧いただきまして、誠にありがとうございました。
組織の成功と存続を想い、今日と明日のニーズをバランスさせるために、5年後、10年後を見据えて、経営者として、大きな決断をいたしました。
『ささや』は閉店いたしましたが、ささや株式会社は社員、パートナー一同、元気に営業を続けてまいります。今後の御利用を心よりお待ちしております。
みなさまどうぞご自愛ください。今月もどうぞよろしくお願いいたします。
参考文献: 『マネジメント 課題、責任、実践(下)』 P.F.ドラッカー (ダイヤモンド社)

Hitoshi Yonezu at 13:10
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