われわれの事業はなにか

2022年03月01日

 太陽が少し高くなって、だんだんと春めいてきたように感じています。みなさまいかがお過ごしでございましょうか。日頃は大変お世話になっております。誠にありがとうございます。

 このブログでは、P.F.ドラッカーの著作『マネジメント』を読んでいます。
 前回のブログでは、顧客の創造のため二つの機能のうちのひとつ、「イノベーション」についてご紹介しました。今回は『マネジメント』第7章「目的とミッション」を読んでいきます。 

 メディチ家、イングランド銀行の創立者からIBMのトーマス・ワトソンにいたるまで、偉大な事業の建設者は、自らの決定と行動を規定する明確な事業の定義をもっていた。ひらめきに頼ることなく、明確でシンプルな事業の定義をもつことは、自らが財をなすだけでなく、自らの亡きあとも成長を続ける組織を築きあげるという真の企業家の特徴である。
 
     『マネジメント(上)』第7章「目的とミッション」p91より引用


自らの事業を定義するために、ドラッカーは次のように問いかけます。

 われわれの事業は何か
 顧客は誰か
 顧客にとっての価値は何か
 われわれの事業は何になるか
 われわれの事業は何であるべきか

 『マネジメント(上)』第7章「目的とミッション」p91-122より抜粋して引用


 一人で事業をして、一代で事業を終えるのなら、自らの事業の目的やミッションを考える必要はないでしょう。
 しかし、企業は人間の一生を超えて存続していきます。企業(組織)の目的がなければ、企業としてまとまるよりどころがありません。目の前の仕事でいっぱいになっている社員に、将来の夢を抱かせることができません。
 企業の目的がはっきりしていなければ、新しく発生する事象に左右されることになるでしょう。外部環境が変わったときには、成り行きに任せることになり、自社を正しい方向へ変えることが出来なくなります。
 
 この章に示されている一つの事例をご紹介します。
 1930年代の大恐慌の頃、GMのキャデラック事業の責任者を任されたニコラス・ドレイシュタットは「キャデラックの顧客は誰か?」と問い直しました。そして「われわれの競争相手はダイヤモンドやミンクのコートである。顧客が購入しているのは、輸送手段ではなくステータスである」と考えつきました。こうして、当時のシボレー、フォード、フォルクスワーゲンと差別化したキャデラックは成長事業へと変身したそうです。
 
 企業のマネジメントは、気を抜くと、短期的な結果を求めるようになってしまいます。哲学や理念よりも、儲かることの方が大事だ、と勘違いし、そちらに向かって走っていってしまいます。コンプライアンス、良心、生き方などは二の次になってしまうのです。したがって、あらかじめ、自社の存在意義を見つめ直し、揺るがない信念として、心に留めておくことは大変重要であります。

 みなさま全員が日に日に幸せになっていくことを祈念しています。今月もよろしくお願いいたします。

  


 参考文献:
 『マネジメント(上)』 P.F.ドラッカー (ダイヤモンド社)
 

"Management Tasks,Responsibilities,Practices" Peter.F.Drucker HarperCollins e-books

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