謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
コロナ禍のなか、昨年は大変お世話になりました。誠にありがとうございます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
このブログでは、P.F.ドラッカーの著作『マネジメント』を読んでいます。
前回は「顧客の創造のために企業はマーケティングとイノベーションの二つの機能をもつ」というドラッカーの言葉を紹介しました。マーケティングとイノベーションとはいったい何のことでしょうか?
今回はドラッカーの「マーケティング」についてご紹介します。
真のマーケティングは、シアーズが顧客の人口構造、顧客の現実、顧客のニーズ、顧客の価値からスタートしたように、顧客からスタートする。「われわれは何を売りたいか」ではなく、「顧客は何を買いたいか」を考える。「われわれの製品やサービスにできることはこれである」ではなく、「顧客が見つけようとし、価値ありとし、必要としている満足はこれである」という。
実のところ、販売とマーケティングは逆である。同じ意味でないことはもちろん、補い合う部分さえない。
何らかの販売は必要である。しかし、マーケティングの理想は販売を不要にすることである。マーケティングが目指すものは、顧客を理解し、顧客に製品とサービスを合わせ、自ら売れるようにすることである。
『マネジメント(上)』第6章「企業とは何か」p76より引用
ドラッカーのマーケティングとは、自社のお客さまをよく見極め、そのお客さまがどうされたいのか?どうなりたいのか?という状態を実現することだ、と言えます。別の言い方をすれば、お客さまの望む状態を実現することがマーケティングの目標であると言ってもいいかもしれません。
もしお客さまがそのような状態になられたとしたら、営業することも販売することも必要がなく、お客さまは自ら喜んで製品を買ってくださるのです。
このことは、企業だけに限った話ではありません。岩崎夏海さんの小説『もしドラ』では、高校の野球部の顧客を応援してくれる父母や観客と定義しました。病院、宗教団体、ロータリークラブなどいかなる組織でも顧客を定義することは出来ます。ドラッカーには『非営利団体の経営』という書籍もあります。
次回は企業のもう一つの機能「イノベーション」の意味について、深めていきたいと思います。
末筆ながら、みなさまのご多幸、ご健勝、そして、本年が明るく豊かな一年でありますことを心より祈念しております。

参考文献:
『マネジメント(上)』 P.F.ドラッカー (ダイヤモンド社)
"Management Tasks,Responsibilities,Practices" Peter.F.Drucker HarperCollins e-books
Hitoshi Yonezu at 09:00
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