さわやかな秋晴れが続いております。それに引き換え、コロナの感染拡大がなかなか収まりません。気持ちは曇っています。みなさまはいかがお過ごしでしょうか。
日頃は大変お世話になっております。誠にありがとうございます。
このブログでは、P.F.ドラッカーの著作を紹介しています。先月まで『現代の経営(上)』を読んでいましたが、都合により今月から『マネジメント 課題・責任・実践 (上)』に切り替えます。私の興味のある部分を取り上げてご紹介していきます。
『マネジメント』には、『エッセンシャル版 マネジメント 基本と原則』という一冊にまとまった書籍もありますが、こちらはかなり縮約されていると感じますので、私としては上中下の三分冊になっている『マネジメント 課題、責任、実践』の方が読みやすいです。こちらを読んでいきます。
今回は『マネジメント 課題、責任、実践 (上)』「第6章 会社とは何か」の章よりご紹介します。
企業とは何かを聞けば、ほとんどの企業人が営利組織と答える。経済学者もそう答える。だがこの答えは、間違っているだけでなく的はずれである。
『マネジメント(上)』 p71より引用
この部分を原書で見てみましょう。
Asked what a business is, the typical businessman is likely to answer, “An organization to make a profit.” The typical economist is likely to give the same answer. This answer is not only false, it is irrelevant.
"Management" Peter.F.Drucker
いきなり核心部です。続きを読みます。
利潤動機なるものには、利益そのものの意義を間違って神話化する危険がある。利益は、個々の企業にとっても、社会にとっても必要である。しかしそれは、企業や企業活動にとって、目的ではなく条件である。利益は、企業活動や企業の意思決定にとって、原因や理由や根拠ではなく、その妥当性の判定基準となるものである。
しかし、企業の判定基準は利潤の極大化ではない。それは経済活動に伴うリスクを補填し損失を回避するために必要な利益の実現である。
『マネジメント(上)』 p71より引用
原書では次のように表現されています。
The danger in the concept of profit maximization is that it makes profitability appear a myth. Profit and profitability are, however, crucial—for society even more than for the individual business. Yet profitability is not the purpose of but a limiting factor on business enterprise and business activity. Profit is not the explanation, cause, or rationale of business behavior and business decisions, but the test of their validity.
The first test of any business is not the maximization of profit but the achievement of sufficient profit to cover the risks of economic activity and thus to avoid loss.
"Management" Peter.F.Drucker
「利益は企業の目的ではなく条件である」というドラッカーの言葉はあまりにも有名です。
ドラッカーに言わせれば、利益とはその会社の妥当性の判定基準であります。原因、理由、根拠ではないのです。
もしも、企業の目的を利益追求(an organization to make a profit)にしたら、どうなるでしょうか?お客さまへのサービスや従業員の待遇を切り詰め、企業だけにお金が残るような行動をとるようになるのではないでしょうか。そのような態度は、お客さまや従業員にはどう映るでしょうか。
いつもご利用ありがとうございます。今月もよろしくお願いいたします。
末筆ながら、コロナ禍の早々の終息とみなさまのご多幸、ご健勝を祈念しております。

参考文献:
『マネジメント(上)』 P.F.ドラッカー (ダイヤモンド社)
"Management Tasks,Responsibilities,Practices" Peter.F.Drucker HarperCollins e-books
Hitoshi Yonezu at 10:00
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