目標管理とセルフコントロール

2021年05月01日

 風薫る五月となりました。みなさまいかがお過ごしでしょうか。日頃は大変お世話になっております。誠にありがとうございます。

 このブログでは、ドラッカーの『現代の経営(上)』の「第11章 自己管理による目標管理」を読んでおります。興味のある部分を取り上げてご紹介しております。

 今回は「自己管理によるマネジメントへの変革」の節から抜粋します。

 目標管理の利点は、自らの仕事を自ら管理することにある。その結果、最善を尽くすための動機がもたらされる。高い視点と広い視野がもたらされる。目標管理は、マネジメント全体の方向づけや仕事の一体性のためには不要としても、自己管理によるマネジメントには不可欠である。

               『現代の経営(上)』 p179より引用

 
 この部分を原書で見てみましょう。

 The greatest advantage of management by objectives is perhaps that it makes it possible for a manager to control his own performance. Self-control means stronger motivation: a desire to do the best rather than just enough to get by. It means higher performance goals and broader vision. Even if management by objectives were not necessary to give the enterprise the unity of direction and effort of a management team, it would be necessary to make possible management by self-control.

           "The Practice of Management" Peter.F.Drucker



 目標管理の利点は、自らの仕事を自ら管理できることにあります。セルフコントロール(自制)することにより、ただ達成すればよいというのではなく、最善を尽くそうという意欲が生まれるのです。
 そして、逆説的ではありますが、セルフコントロールするためには目標管理が不可欠であるのです。
 
 続きを読んでみましょう。

 マネジメントたる者は自らの成果について全面的に責任をもつ。しかし、それらの成果をあげるための仕事は、彼ら自らが、そして彼ら自らのみが管理する。反社会的、反プロ的行為でないかぎり、自らの行動は自ら管理しなければならない。人は自らの仕事について情報をもつとき、初めてその成果について全責任を負うことができる。

               『現代の経営(上)』 p182より引用

 
 原書では次のように表現されています。

 And every manager should be held strictly accountable for the results of his performance. But what he does to reach these results he—and only he—should control. It should be clearly understood what behavior and methods the company bars as unethical, unprofessional or unsound. But within these limits every manager must be free to decide what he has to do. And only if he has all the information regarding his operations can he fully be held accountable for results.

       "The Practice of Management" Peter.F.Drucker



 マネジャーは、自分の仕事についてすべての情報をもつとき、その成果について全面的に責任をもつことになります。これは自営業をなさっている方のことを考えれば、当たり前のことです。自分の仕事のことは自分がすべて把握しているので、すべての責任を自分が負うのです。組織に所属している人であっても同じことであるはずです。しかし、組織となると、責任の所在がぼやけてしまいます。

 経営者がマネジャーに対して仕事を課す際には、その仕事についてのすべての情報を共有しなくてはなりません。でなければ、マネジャーは自分の意思で自由に動けませんし、責任をとろうという意思も持てないのです。

 いつもご利用ありがとうございます。今月もよろしくお願いいたします。

 末筆ながら、みなさまのご多幸、ご健勝を祈念しております。

  


 参考文献:
 『現代の経営[上]』 P.F.ドラッカー (ダイヤモンド社)
 

"The Practice of Management" Peter.F.Drucker HarperCollins e-books

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