肌寒さが身にしみる冬隣。年末に向けて何となく慌ただしい気持ちになってまいりました。日頃は大変お世話になっております。誠にありがとうございます。
さて、ドラッカーの『現代の経営(上)』「第10章 フォード物語」を読んでおります。前回はマネジメントの必要性についてご紹介しました。続きを読んでみます。
確かに発生学的には、マネジメントは、小さな事業のオーナーが一人では果たせなくなった仕事を助手たちに代理させることから生まれる。そして事業の成長すなわち量的な変化が、マネジメントを必要不可欠の存在にする。しかし、そこにもたらされる変化は質的なものである。
ひとたび企業となるや、マネジメントの機能はもはやオーナーの助手として定義することはできない。マネジメントは客観的なニーズによる機能をもつ。それらの機能を軽視し否定することは、企業そのものを破滅させる。
マネジメントはそれ自体が目的ではない。それは企業の機関にすぎない。それは一人ひとりの人からなる。したがって、経営管理者のマネジメントにおいてまず必要とされることは、一人ひとりの経営管理者の目を企業全体の目標に向けさせることである。彼らの意思と努力をそれらの目標の実現に向けさせることである。
『現代の経営(上)』 p163より引用
事業が成長することによって、仕事の量が増えますから、マネジメントが必要になることは必然でありましょう。しかし、マネジメントを導入することによってもたらされる変化は質的なものである、とドラッカーは言います。
この部分を原書で見てみましょう。
But while growth in size, that is quantitative change, makes management necessary the change itself is qualitative in its effects.
"The Practice of Management" Peter.F.Drucker
マネジメントが効果的であるならば、量をさばけるようになるだけでなく、質も高くなるということです。
当然ですが、マネジメントは目的とするものではありません。一人一人の経営管理者(=マネジャー)は企業の機能であります。彼らの意思と努力を企業全体の目標の実現に向けさせることが必要です。
その部分を原書で読んでみましょう。
The first requirement in managing managers is therefore that the vision of the individual managers be directed toward the goals of the business, and that their wills and efforts be bent toward reaching these goals.
"The Practice of Management" Peter.F.Drucker
自分の部署の数字だけをよく見せようとするマネジャーがいるとしたら、マネジメントの悪い副作用と言えましょう。マネジャーは社長から企業の一部分の機能を委譲されたわけですが、到達すべき場所はあくまでも企業として成果を上げることです。自分たちだけの成果で満足しているとしたら、小さな了見であります。
私自身、理想の職場づくりができていないことに反省するばかりの毎日です。
いつもご利用ありがとうございます。今月もどうぞよろしくお願いいたします。

参考文献:
『現代の経営[上]』 P.F.ドラッカー (ダイヤモンド社)
"The Practice of Management" Peter.F.Drucker HarperCollins e-books
Hitoshi Yonezu at 10:00
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