新茶の香りを楽しむころ、皆様いかがお過ごしでございましょうか。日頃は大変お世話になっております。誠にありがとうございます。
さて、ある先生から薦められていたコメディ映画『イエスマン "YES"は人生のパスワード』を出張の合間に鑑賞することができました。
ノーとしか答えることのなかった銀行員が、友人に誘われるまま、自己啓発セミナーに参加して、何にでもイエスと答えるという決心をします。イエスと言い始めたその日から、運気が上がって、人生がどんどん変わっていくというポジティブストーリーです。銀行員を演じるのがジム・キャリーですから、面白おかしく笑っているうちにあっという間にエンディングになります。
詳細を申し上げると内容が分かってしまいますので控えますが、イエスは人生を変えるということと、何も考えずにイエスだけを言っていると問題が起こってくるという単純明快なお話です。
実は、私もかつて友人に誘われて自己啓発セミナーに参加したことがありましたので、状況がよく分かりました。
ところが、全く逆のことを主張している書籍がありました。勝間和代さんのご著書『断る力』です。この本では「Say No」、すなわち、相手の言いなりにならずにノーと言える力を一刻も早く身につけるべきだというのです。『イエスマン』とは全く逆の主張です。
私が興味深いと思ったところは、断ることによって生ずるデメリットを考えるくだりです。
断ることによって、相手から嫌われるというマイナス点があります。
勝間さんはそれに対して、「友達は何人必要か?」という問いを投げかけます。その答えは「親友が二人と、食事や仕事仲間が五人から十人」だそうです。全ての人から好かれる必要はないし、すべての人に好かれるのは不可能なことであるといいます。(ただし、現実社会では親友に対してお断りする場面もあり、そんなときは心苦しいですよね。)
逆に、断らないことによって生ずるメリットは「モノを深く考えないで済む」ことだそうです。
『イエスマン』を見て感じたのですが、イエスと言って行動を起こすには、何も考えないことです。何も考えずに行動を起こしたから、いろいろな人との関わりができたり、新しい世界が開けたりしてきたのです。イエスか、ノーか、いちいち考えていたら、何もできなかったことでしょう。
しかし、勝間さんは、何も考えないでイエスと答えることは、相手に依存的になり、固定的な上下関係ができて、モラルハラスメントを受けることにもなりかねないと言います。
両者の主張を比べて思ったことは、『断る力』は、そもそもイエスと答えて一生懸命戦ってきた人が読む本であるということです。イエスと答え続けて、疲れてしまったと感じる人が読めばよいのです。ノーとしか言えない人がこれを読んだら、ますます否定的になってしまうと思います。(勝間さんのご著書は、よく売れているそうですが、どんな分野においてもほとんどのものがレベルの高い読者を想定していると思います。)
何かのイベントに誘われたり、会合の出欠席を問われたとき、私はその場でどちらかのお答えをすることにしています。
行きたければイエス、行きたくない、もしくは別の予定が入っていればノーでよいと思います。
すぐお答えすることによって、締切ギリギリ、もしくは締切を忘れてしまってから「どうしようか?」と迷うことがないのです。緊急で重要な予定と重なってしまったら、その時点で変更すればよいことではないでしょうか。
答えは決まっているのに、その場では答えなかったり、どっちにするか決めないで浮動にしておくというのは、後々余計な仕事を増やしてしまうことです。
皆様にご迷惑をおかけしないために、イエスでもノーでも責任を持って行動出来るように私自身が人格を磨いていきたいと思います。
世の中のいろいろな問題が少しずつ解決しますこと、そして、皆様が明るく楽しくお元気にお過ごしくださいますことを、こちら信州上田のささや株式会社よりお祈り申し上げます。
参考資料
『イエスマン "YES"は人生のパスワード』ジム・キャリー主演、ペイトン・リード監督
この映画は、明るくて軽くて面白いコメディですので、ぜひご覧になってください。
『断る力』勝間和代(文春新書)
この本は、嫉妬されたり、嫌われたりする理由を分析しているところなど面白いところもたくさんあるのですが、著者の非常に高い自由意志が感じられて、少々辟易する部分もあります。
Hitoshi Yonezu at 00:00
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