師走を迎え何かと気忙しい毎日ですが、みなさまお元気でお過ごしでしょうか。日頃は大変お世話になっております。誠にありがとうございます。
さて、先月のブログでは、ドラッカーの「顧客は何を買うか」という問いをご紹介しました。その続きを読んでみます。
最後に、「顧客は何を価値あるものとするか」「製品を買うとき何を求めているか」という最も難しい問いがある。
これまでの経済理論は、この問いに対し一語をもって答える。「価格」である。だがこの答えは誤解を与える。確かに価格が重要な要素の一つでない製品はほとんどない。しかし、まず第一に、価値としての価格が単純なコンセプトではない。第二に、価格は価値の一部にすぎない。第三に、サービスをはじめとする顧客側の価値観がある。
顧客が価値とするものは、あまりに複雑であって彼らにしか答えられないものである。憶測しようとしてはならない。常に顧客のところへ行って答えを求める作業を系統的に行わなければならない。
『現代の経営(上)』 p70-73より引用
価格だけで消費活動が決まるなら、企業のとる行動は安売りのみとなりますが、現実はそんなに簡単ではありません。経済学が想定したのは経済的合理性のみに基づいて個人主義的に行動するホモエコノミクスという架空の人物像でした。かつては経済モデルを構築するためにこのような単純な人物像を想定せざるを得ませんでした。(現代の経済理論はこんなに単純ではありません。)しかし、自分のことを考えれば分かるように、価格だけで消費を決めているわけではありません。
最近、出張用に数年間使ってきたスーツケースが壊れてしまったのですが、このスーツケースは車輪が小さくて滑りが悪く、段差に引っかかりますし、ジッパーも閉まりづらく、不便な思いをしていました。また、40歳代の頃は、どんなに重いカバンでも平気でしたが、最近は重いものは重いと感じるようになりました。買い替える時には、少々高くても、軽くて動きのよいものがいいな、と思っております。
お客さまの声をお聞きする仕組みがなくては、当社の商品、サービスは、当社のお客さまが価値ありと考えておられるものからどんどん離れていってしまうことになります。
本年も大変お世話になりました。心より御礼を申し上げます。みなさまどうぞ良いお年をお迎えください。

参考文献:
『現代の経営[上]』 P.F.ドラッカー (ダイヤモンド社)
Hitoshi Yonezu at 10:00
| ささやタイムズ記事